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Vol 14: 流産の原因と残留受胎生成物検査

Tiempo de lectura: 1 minuto
西村さん、松岡さん、アンディさん、河内谷 敏 先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「流産の原因と残留受胎生成物検査」。

番組情報

放送分:2018年4月8日放送分
ゲスト:神戸元町夢クリニック 院長 河内谷 敏 先生
テーマ:流産の原因と残留受胎生成物検査
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術を紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさん。そして、技術責任者で、工学博士のトシさんです。アンディさん、トシさん、今週もよろしくお願い致します。

番組内容

(二人): よろしくお願い致します。

アンディ: 今日のテーマは、流産の原因と残留受胎生成物の検査についてご紹介していきたいと思います。今日はゲストがいらっしゃいます。神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生にお越しいただいています。先生、よろしくお願いします。

河内谷: 神戸元町夢クリニックの河内谷です。今日はよろしくお願いいたします。

(全員): よろしくお願いいたします。

西村: それでは先生も一緒に、今日はお届けしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。まず河内谷先生、クリニックのご紹介を皆さんにお願いできますか?

河内谷: はい。私たちのクリニックは、神戸の元町、旧居留地地区というところの、観光地の真ん中にあるような場所に位置してます。ドクターは常勤5名、その他スタッフ総勢70名ほどで、不妊治療専門に行っております。
まあ、神戸は周りいろいろ観光地たくさんありますので、よろしければ皆さま、ぜひお越しください。

西村: アンディさんも、トシさんも?

松岡: ええ、僕は関西出身なので、よく神戸の方には行きましたね。

アンディ: 私も大好きですね。街自体は非常におしゃれで、本当に港でもあるので、非常にインターナショナルな感じの街になりますね。

西村: 先生。ぜひ神戸に来たらここは寄って欲しいよっていう、先生のイチオシスポットはどこですか?

河内谷: はい。クリニックからも歩いてすぐのところに港がありますね。非常にきれいな神戸港ですので、ぜひ皆さん、神戸に来たら神戸の港を見ていってください。

西村: ありがとうございます。本日のテーマなんですが、流産の原因と残留受胎生成物検査、こちらについて先生と一緒にお話進めていきたいと思います。まずアンディさん、お願いします。

アンディ:  じゃあ、私からちょっと先生に伺います。自然妊娠もそうなんですけども、もちろんそのIVF、体外受精で妊娠した方も実際、流産の例も良くあるかと思うんですけれども、自然流産とか習慣性流産に関して、先生、もう少しお話をいただけますでしょうか?

河内谷: IVFに限らず、流産する率というのは年齢とともにどうしても高くなってきてしまいます。自然流産の原因は染色体の異常とかいろいろあるんですけれども、いわゆる習慣性流産、連続して三回以上流産するような方の場合は、染色体異常の他に免疫系の異常ですとか、血液の凝固系の異常ですね、あるいは子宮の形の異常とか、そういった原因が含まれることもありますので、詳しい検査が必要になってくると思います。

アンディ: 先生。実際に先生のクリニックでこういった例は見たことがあると思うんですけれども、統計的にどのような原因が一番多かったのか、どのような現象が見られたのか? 例えば残留受胎生成物の検査をして、どのような結果が見られてるのか、少しお話をいただけますでしょうか?

河内谷:  私たちのクリニックで過去七年間に、111例の流産をした患者さんの染色体の分析検査、いわゆるPOCの検査を行ったんですけども、染色体の数が正常だった方は16%だけだったので、ということは80%以上の方がどこか一カ所以上の染色体の異常が見つかってます。

松岡:  想定より多いですね。

河内谷: 年齢が高い患者さんが多い、ということもあるのかもしれませんけども、私たちのクリニックの結果ではそのような形になりました。

アンディ: その中で、説明していただける症例とかありますか?

河内谷: 私たちのクリニックで体外受精を受けた40歳の方なんですけども、この方は今まで一度も妊娠されたことが無くて。当院で体外受精を受けて、胚移植をして妊娠されたんですけども、妊娠の8週目ぐらいで、順調に育っていたんですけども、胎児の心拍が消失しまして。それで、残念ながら流産の手術をさせていただきました。
その結果、16番目の染色体が一本多いという結果が出たんです。16番目の染色体が一本多いトリソミー、16トリソミーというのは、流産組織検体の染色体検査では比較的頻度が高いものですが、残念ながら16番目の染色体のトリソミーは100%流産すると言われております。
ですのでこの患者さまには、今回の流産の原因は赤ちゃん側の、胎児側の方の染色体異常が原因ですよ、ってことをお話ししまして、それでもう一度頑張って不妊治療されて、半年後に今度、無事また妊娠されて、元気な女のお子さんを自然分娩されたんです。

アンディ: 検査して流産の原因が染色体と分かった場合、積極的な対処法というのはありますでしょうか?

河内谷: 今ご紹介したような、16番目の染色体が一本多いですよっていうのは、これはもう、たまたま発生するものなので、あらかじめ対処する方法ってのはなかなか難しいんですけども、中にはご夫婦どちらかの染色体に転座って言って、一部分がひっくり返ってるところが見つかる場合があるんです。その場合は体外受精が必要になるんですけども、体外受精をして胚盤胞を作りまして、そこから移植をする前に細胞を取り出して、ご夫婦の染色体異常の部分が無い、移植をしても順調に育つ可能性がある受精卵を選ぶ、いわゆる着床前診断というものの適応にはなってくるかな、と思います。着床前診断の技術を使えば、そういった異常をあらかじめ知ることはできるかなと思います。

アンディ: 着床前診断について、これはいつの放送でしたっけ?

西村: 今日は、4月の8日ですよ。

アンディ: 3月の、最初ですかね? 最初の放送だったと思いますけども、先生がおっしゃったように、まず体外受精した後に、移植する前にまずその受精卵の中から数個の細胞を取り出して、染色体の異常があるか無いかですね。特に16番の染色体が三本ある場合は、先生がおっしゃったようにほぼ100%流産するので、そういった胚はあんまり使えないですよね。

河内谷: そうですね。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生にお越しいただいております。先生、後半もよろしくお願いいたします。

河内谷: はい、よろしくお願いいたします。

西村: さて後半なんですが、アンディさん。

アンディ: はい。実は、この残留受胎生成物検査について、私も実際、経験者なんです。これは、本当はこのラジオを始める、初回のときにも言おうと思ったんですけど、実は私の妻も二回流産した経験があります。
二回目の流産をしたときにやはり先生から染色体検査をしませんか、と言われたんです。もちろん、三回以上じゃないと習慣性流産とは定義されないので、自費で払わないといけないんですね。値段も高いのでどうしようかと悩んでるときに、まあ、私も遺伝子関係の仕事をしてきたので、ぜひ検査を進めましょうと妻に言って、検査に出したんです。
その結果、報告書を見たときに、まったく正常だった、っていう結果でした。この検査の方法は、前回トシくんが言った分染法です。あんまり解像度が高くない方法なんですけども、染色体を染めて、だいたい大きな異常があるか無いかっていうような方法なんですけど、それが正常だったということなんです。
その報告書をよく見てみると、(検査をしてくれたのが)私が前職のときのお客さんだったんです。知ってるところだから、もしDNAが残ってれば、もっと高い解像度で検査してみようと思ってその会社に電話しました。「DNA残ってればいただけないか?」という話をして、残してもらいました。
それで、会社に持って(いって)部下に実験してもらおうと思ったんですけど、そこの検査会社に非常に親切にしていただいて。じゃあこちらでやりましょうか、ということで、非常に解像度の高い検査だったんですね、マイクロアレイっていう技術を使って。それでも、異常が無かった、ということです。
じゃあ、染色体じゃない。河内谷先生がさっきおっしゃった16%の中に入るんです。非常に珍しいケースではあるので、じゃあ、別の問題だから、他を当たってみようと考えて慶応大学の先生にお願いしたところ、これも血液凝固関係の問題で、抗リン脂質抗体がちょっと足りなかったということを言われて、三回目妊娠したときに、妊娠初期からもうアスピリンを飲み始めて、それで28週まで飲んだんです。それで、ずっと順調に妊娠が続いて、子どもも元気に生まれました。
これはもう私の思いでこの遺伝子会社に入って、去年からスタートしたのもあるので。

西村: アンディさん、今、お子さんおいくつなんですか?

アンディ: もう一歳三カ月ですかね、はい。ですから、こういった遺伝子検査の知識もぜひラジオで、一般の方にも知ってもらいたいと思います。

西村: 先生。今、アンディさんから実体験というか、こういうお声もありましたけれども、先生のもとに、こうクリニックに通ってらっしゃる方々もいろんな体験あるんじゃないでしょうか?

河内谷: そうですね。染色体分析をして異常が無かったよ、と言った場合はやっぱり僕らの方もいわゆる不育症の検査、今アンディさんがお話しされたような抗リン脂質抗体ですとか、その他の免疫症と血液凝固系の異常、あと先ほどお話ししましたけども、子宮の方に問題があって、流産の原因を起こさないかどうか、っていうような子宮の形の異常ですとか、その他の検査をお勧めしています。もしそこで異常が見つかった場合はお薬の内服、あるいは手術等で流産を回避できる場合もありますので、そういった方法もお勧めしております。

西村: トシさんは、先生に何かご質問等ございますか?

松岡: やはり、なかなか染色体以外の原因っていうのをこう、お話を聞く機会が無かったので。さっき、こう免疫っていうのを聞いてですね、やはりそういったケースも結構その、どこら辺で分かるもんなんですかね? こう、免疫関係が原因だったとか、そういった。

河内谷: 血液検査で。免疫系の。

松岡: あっ、血液検査で分かってしまうんですね。

河内谷: 自分の赤ちゃんを異物として攻撃するような体質をお持ちでは無いかどうかとかいう検査。それで異常があった場合は、いくつかの薬の投与でその攻撃を和らげる。それで妊娠に、着床、あるいは流産しないように持っていくっていうような方法も報告されております。

松岡: ありがとうございます。

アンディ: 先生。残留受胎生成物の検査で染色体異常が原因で流産した場合、防ぐ方法として着床前診断というのが使われる、と考えていらっしゃると思うのですが。先ほどは、構造異常の場合は防ぐことができるとおっしゃられましたが、他にはどういう場合の異常を防ぐことができるでしょうか?

河内谷: 先ほど私たちの症例を示しました16番の染色体が単純に一本多いような、構造異常を伴わない数の異常。数が一本多いですとか、まあ、少ないのはめったに無いんですけども、数が一本多いってものに対してももちろん、着床前診断で事前に診断することはできます。
ただ、これはまだ日本では、前の放送でも紹介されてるように、まだ産婦人科学会の認可が下りてない検査ですので。将来、認可が出れば、そういう検査が広まってくるのではないかなと考えております。

西村: さて、お時間となりました。今日のゲストは神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生でした。先生、ありがとうございました。

河内谷: ありがとうございました。

西村: 来週も先生、よろしくお願いいたします。

河内谷: よろしくお願いいたします。

西村: 来週のテーマなんですが。

河内谷: 来週は、遺伝子疾患保因者検査の現状と将来というテーマについて、お話ししたいと思います。

西村: 来週もよろしくお願いいたします。

(全員): よろしくお願いします。

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