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PCR検査について。PCR検査の原理と問題点

FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。毎週さまざまな先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。

番組内容

2020年6月7日放送分

 

西村: 妊活ラジオ、先端医療の気になるアレコレ。今週もSkype収録をしてリモートでこの番組を放送しております。トシさん、リュウタロウさん、よろしくお願いいたします。 

(二人): よろしくお願いします。

西村: このSkypeで番組を収録して早一ヶ月以上、 もう二ヶ月ですね。あっという間でございます。少し状況が落ち着いてきたのかなというところもありますが、そうは言っても私どもがいます東京は「東京アラート」なんかも話題になっております。

さあ、落ち着いてきたコロナの状況ですけれども、トシさん、リュウタロウさん、会社の方はいかがでしょうか。 

リュウタロウ: 検査自体はずっとやっていましたので、ラボのメンバーは出勤しています。お客様からのお問い合わせも増えてきていますので、スタッフをしっかりローテーションしながらですが、今週は若干出社の必要が増えたかな、という感じです。

西村: そしてこの妊活ラジオでは初めてのコロナの検査についてのお話なんですよね、トシさん。

トシ: もう何度もテレビ等で話題になっているので、皆さん聞いているかとは思うんですが、妊活ラジオでも取り上げようと思いまして。今日は、PCR検査の原理と問題点をお話ししていきたいと思っています。

西村: アイジェノミクスは遺伝子検査会社ですが、PCR検査にも関わりがあるんですか?

トシ: そうですね、関わりは結構強いです。PCRは、私たちの行う遺伝子検査に欠かせない技術ですね。

リュウタロウ: アイジェノミクスの場合、PCRは検査というよりも「ERA」「EMMA」「ALICE」といった検査の前処理的な途中の工程ですね。途中の工程でPCRというテクニックを使って、その後でシークエンサーという装置にかけるという。今、COVID‑19でやっているのは、PCRそのものがメインの検査なんです。アイジェノミクスの場合はPCRを前処理で使っているという現状なので、すごく親しみのあるテクニックですね。

西村: そうなんですね。では、今日はコロナ検査、PCRの原理と問題点について是非お二人とも教えてください。

(二人): よろしくお願いします。

実は古かった!PCR検査の歴史

 
リュウタロウ: PCRっていう単語を、2月位から急に、毎日のように耳にするようになって。僕も学生の頃はよくやっていたし、アイジェノミクスで新入社員が入ってくるとトレーニングでPCRについて解説することもあったんですけれども。なかなか今まで馴染みのなかった言葉が、急にメジャーな単語になりましたよね。

トシ: 元々PCRっていうのは、日本語で言うと「ポリメラーゼ連鎖反応」という言い方をします。技術的には、学生実験でまず最初に学ぶものですね。

リュウタロウ: 結構古いですよね、これ。

トシ: はい、この技術は結構古くて、歴史で言うとキャリー・マリスという博士が1980年前後に発見したものです。

この技術のすごい点は、目的のDNA断片を増やせるという画期的なところ。何故画期的なのかと言うと、何かを調べたい時にはモノがたくさんないと調べにくいからです。この技術がなかった時代は、とても大変だった。と言うか、できなかった。分子生物学実験というものを、なかなか深掘りできなかったんですよ。でも、この技術の開発のおかげで一気に発展したので、1980年から1990年にかけてすごく流行りました。

その技術は今でも使える技術なので、遺伝子機能解析などに使われているわけです。先ほどお話にあったアイジェノミクスの「ERA」「EMMA」「ALICE」という検査でも、前処理としてこの方法が使用されています。

リュウタロウ: うちの検査だけじゃなくて、例えば警察の科学捜査で血液一滴から個人を特定したり。そういうところでも、まずPCRで遺伝子を増やして、そこから特定する。馴染みはないんですが、生活に入っているんです。周りにすごく浸透しているなっていう感想ですね。

トシ: 微量なものから多く増やすことができるというのは、本当にすごいことですね。

西村: コロナの影響があるまでは聞いたことのない名前でした。PCR検査って。

トシ: いや、そうだと思います。

リュウタロウ: テレビでは聞かないですもんね(笑)

トシ: テレビで説明しだした時に、これを一般市民に説明する時が来たんだなと思いましたね。

リュウタロウ: 実際、PCRって簡単に言うと何をやっているの?

トシ: 元々増やしたいサンプルがまずあって、その中にDNAの元となるATGCという塩基配列がある訳です。それぞれの材料を溶液の中に入れてあげます。そして、DNAポリメラーゼという酵素を使って、目的の配列を増やす操作をします。そうすると一時間位で、1個だったものが2倍、2倍、2倍……と2乗でどんどん増えていくことになります。

リュウタロウ: 一回増やすのに数分ですからね。だから、一時間もあれば何百万倍にも増える。

トシ: そういうことになります。すごい方法を考えたな、と思います。

リュウタロウ: 実際、PCRを考えた博士はノーベル賞を獲っていますよね。

トシ: そうですね、1993年にノーベル賞を獲っています。時間があれば、このキャリー・マリス博士についてウィキペディアを見てみてください。ドライブ中にこの技術をひらめいてメモを取ったそうなんですけど、自分が思いつくくらいなら誰かやっているだろうと論文を調べたらしいんですよ。でも誰もやっていないということが分かったので、自分が発表したという面白いエピソードが書かれています。

リュウタロウ: 実験自体は結構手軽ですよね。チューブに試薬を混ぜて、あとは機械で温度を変えていくという。

トシ: すごくシンプルだと思います。

PCR検査の目的と問題点とは

 
トシ: テレビでも言われているように、PCR検査の何が問題でこんなに広まっていないのか。PCR法のそもそもの目的と問題点をご紹介したいと思います。

西村: はい、お願いします。

トシ: まず一番に伝えたかったのは、PCR法はそもそも何のために使われるのか。研究目線から言うと、研究分野でPCR法が使われているのは、そもそも生き物にDNA配列が存在しているかどうか、存在の有無を調べるためだったんです。ですから、それがどれだけいるのかというのは分からなかったというのが一番最初です。1コピーでもあれば存在したと言うのか、10コピーあれば存在したと言うのか、1000コピーあれば存在したと言うのか、という問題は当初はなかった訳です。いるかいないか、検出できるかどうかという話だったので。

それから技術が発展して、存在の有無ではなく、一体いくつの量がそこに存在しているのか測定したいという目的が出てきました。厳密に言うともちろん推定ではありますが、そのサンプルの中にDNAが何本入っているのか分かるようになったということです。2000年くらいから、そういう技術が生まれてきたんですよ。

今回のコロナ検査でも、存在しているかどうか、そして量はどれくらいなのかが気になる訳です。何故なら、1コピーだけ存在していたことが分かっても、多分その人は発症していないんですよ。何も問題がない訳です。これがPCR検査の問題点に繋がるんですが、検査ではいつも精度と感度が話題にな上がります。精度と感度は同じような意味に聞こえるかもしれませんが、バランスが大事です。精度をどんどん上げていくと感度が悪くなり、感度をどんどん上げていくと精度が不十分になってしまうんです。

リュウタロウ: その辺が、検査と実験の違いというところでしょうか。

トシ: そうですよね。だから、研究分野ではPCR法と違った技術の方法で調べる。一つのことを証明するのに、PCR法だけで話をしない訳です。ただ、検査となると、PCR法の結果だけでものを言わなければいけない。よくテレビで言われるのが「偽陽性」「偽陰性」という問題。これはずっとついて回ります。仕方がないですよね。

「偽陽性」「偽陰性」の違い、PCR検査で分かる範囲

 
リュウタロウ: 「偽陽性」「偽陰性」ってなぜ発生するんですかね?

トシ: まずそれですね。リュウタロウさん、「偽陽性」「偽陰性」の違い、わかりますか?

リュウタロウ: 陰性なのに陽性と出てしまう人、あるいは陽性なのに陰性と出てしまう人。つまり、逆の結果が出てしまう人ですかね?

トシ: その通りです。何故そういった結果が出てしまうのか、二つ理由があります。一つは、もちろんPCR法の技術が完璧ではないこと。そしてもう一つの理由は、個人差です。これはもうどうしようもないところがありますね。データをたくさんとって蓄積していくことで補正されるので、いずれは検査精度が上がっていくでしょう。しかしこの検査は始まったばかりで、現場ではデータの蓄積が少ない。その上で、調整していかなければならない。実際、研究でPCRを行なっていた者として言えるのは、目的の配列を増やすために行っていても、違った配列を増やしてしまうことがあるということです。そうするともちろんPCR法では間違った結果になってしまいます。「偽陽性」「偽陰性」に関しては、どのくらいのバランスで検査を止めるのか、検査として認めるのかというところが、すごく難しいと思います。

リュウタロウ: 「偽陽性」「偽陰性」とともに、形質の限界が混ざって議論されちゃってるかなという印象を受けるんだけど。

トシ: その通りですね。そこは仕方がないところがあるので、その線引きをどこでするのかが論点になってしまうんですよね。

リュウタロウ: やっぱりこういう技術は限界点があるから、どうしても計数できないケースがあるのは前提なんだけれど。でもやっぱり検査となると「見つけられないじゃないか」ってすごく言われてて。

トシ: 今までの検査は「あなたは病気ですよ」あるいは「病気じゃないですよ」というどちらか、マルかバツだったので。PCR検査の登場で「そうじゃないんだ」「この検査は使えないじゃないか」と思われて話題になっているんですが、これは検査技術の限界なんです。

リュウタロウ: そうですよね。それを踏まえた上で、この技術を使わないと、間違った結論になっちゃうのかな、とすごく気になっています。

トシ: そこで、個人差の問題やデータの蓄積はいつになったら解決できるのかという話になると思うんです。でも、これはすごく難しい問題です。人種間の差という問題も、きっとあると思います。その他にも考える必要がある点は色々あって、例えば検査キット。検査キットを出している会社は一社ではないです。また、キットを出している会社ごとに精度や感度の設定にばらつきがあると思います。今後一定になっていくでしょうが、マルかバツかという結果にならないということは確かです。

リュウタロウ: そうすると、やっぱりPCRというひとつのやり方だけに依存するんじゃなくて、他の目線と組み合わせていくのが大事なのかな。

トシ: おっしゃる通りです。最近は「バイオパスポート」という陰性の証明書の話題が出ていますが、それこそPCR法だけでは限界だと思いますね。

西村: リュウタロウさん、スペインの本社では実際にコロナの検査を行われていらっしゃるということなんですよね?

リュウタロウ: そうですね。アイジェノミクスは元々要素技術を持っている会社で、スペインでも感染が爆発した経緯があるので、スペインの本社ラボで検査をやっています。ただ、先ほどの議論のようにPCRだけで判断するのが難しいという背景もあるので、アイジェノミクススペインとしては、PCR検査と抗体検査を組み合わせてコロナの検査に貢献していこうという動きが始まったところです。

西村: 是非来週はその辺りを詳しく教えてください。よろしくお願いします。

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