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Vol 39:Th1 / Th2検査 免疫抑制剤でTh1を下げるタイミングのポイント|免疫と不妊治療の関係

Tiempo de lectura: 2 minutos
吉田 淳 先生、アンディさん

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「Th1/Th2検査とその成功例~妊娠と免疫について~」。

番組情報

放送分:2019年1月27日放送分
ゲスト:木場公園クリニック 院長 吉田 淳(よしだ あつみ) 先生
テーマ:Th1/Th2検査とその成功例~妊娠と免疫について~
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日は木場公園クリニックにお伺いして、院長の吉田淳先生に出演していただきます。テーマは『Th1/Th2検査とその成功例』についてです。

西村: それでは今週も木場公園クリニック院長、吉田淳先生のご登場です。吉田先生、よろしくお願いいたします。

吉田: よろしくお願いします。

西村: 二週にわたってまずはお話しいただいて、そして今日が三週目の放送でございます。先生、この収録慣れてきました?

吉田: いえ、やっぱりなかなか難しいですね。なんか、魂を抜かれそうな感じですね。まあ顔が出ないので大丈夫か、と思って引き受けた訳ですけれども、ラジオもやっぱりなかなか、非常に大変だなというのが僕の印象です。

西村: ぜひ、この暖かいお声をね。吉田先生のお声を皆さん全国から聴いていただいていると思いますので、まず先週の振り返りを。吉田先生、お願いできますか?

吉田: そうですね。先週お話しさせていただいたのは、子宮内環境が非常に大事なんだ、と。着床に向けて、また、われわれのゴールというのはやっぱりお産、お子さんを得るということですので、妊娠中に向けても子宮内環境が非常に重要なんだ、と。その子宮内には乳酸桿菌(かんきん)という良い菌がいる、と。それはまあ90パーセント以上いることが大切なんだ、というお話を先週はさせていただきました。

西村: そして、三週目の今週は。アンディさん。

免疫と不妊治療の関係

アンディ: 今週は先生から、Th1/Th2検査とその成功例について伺いたいんですけれども、先生、やはり不妊治療と免疫は非常に大事ですかね?

吉田: そうですね、切っても切り離せないと思うんです。妊娠ということは免疫学から言っても非常に重要ということになるんです。
それは何でかと言うと、女性の患者さんにとって卵子は自分のものだから、セルフ。精子は自分のものではない、だからノンセルフと言うんです。セルフとノンセルフとが合体してできたものが、妊娠しているものとなる訳です。でも本来は人の免疫というのはそのノンセルフの部分が少しはあるんだけれども、そこは目をつぶって、妊娠しているところは攻撃しないようにしているんですよね。ただ、体質的に攻撃しやすい人がいるっていうのが最近では分かってきました。
免疫を司ってる細胞にリンパ球があるんです。そのリンパ球の中にヘルパーT細胞という細胞があります。このヘルパーT細胞は免疫系の親玉みたいな司令塔の細胞なんです。エイズはその司令塔をおかしくしちゃうので免疫がずたずたになると言われている病気なんですけれども、このヘルパーT細胞にはⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型がTh1、Ⅱ型がTh2なんです。このTh1の値が非常に高いと妊娠を攻撃してしまうと最近では言われています。

免疫抑制剤を使うタイミングは症状に合わせて調整が必要

西村: このTh1、Th2検査を受ける必要がある患者の皆さまは、まずどのように?

吉田: はい、そうですね。着床障害がある患者さん、これは必須かなと最近思ってますけれども、全例でルーチン検査としてやっておいても良いのかなと。全例に、胚移植前にやっても良いのかなとは捉えています。
ただこの治療となると、免疫抑制剤のお薬を飲むということになるので、そう簡単に始められるものでもない、というところがあったりして。若い方で、胚移植を一回もしたことが無いけど引っかかってるよ、という方の場合には抑制剤を使わないで普通に一回目はトライするというふうにしてますけれども、例えば40歳過ぎで、大事な胚盤胞がもうこれ一個しか無いよ、というような患者さんについては、このTh1/Th2検査の結果が異常値であれば、免疫抑制剤のお薬を使って治療するようにしています。
この使い方も、例えば一回も着床したことが無いよという方に対しては胚移植日、または胚移植の数日前からこの免疫抑制剤を使ったら良いと言われてます。
着床はする、でも途中から攻撃を受けちゃうよ、と。つまり着床したんだよと、ある患者さんでは、このきれいな卵を戻した、で、妊娠判定もすごい値が高かった、でも次の週に見ると袋がちょっと小さい、赤ちゃんが見えてこない。ってこういう患者さんを調べたことがあったんです。そうすると、超攻撃タイプなんです、ええ、これはいかんかったなと。やっぱりこれは攻撃されてたんやなあと思って、そういう方の場合には、うちでは妊娠判定を早める。
つまり着床はするんだけれども後で攻撃を受けるという方の場合には、あんまり早く、胚移植の日から飲んじゃうと逆に着床が抑制、阻害されることがあるので、そうではなくて、例えば融解胚盤胞移植であれば胚盤胞移植をした一週間後、早めに妊娠判定をして、そこで陽性だったら免疫抑制剤を使うというふうにしています。免疫抑制剤もいろんな種類があるんですけれども、プログラフ、タクロリムスというお薬を使っています。

Th1/Th2の正常値・異常値

アンディ: Th1/Th2の検査というものを、私ちょっとだけ読ませていただいたんですが、その比をとるんですよね、そのTh1/Th2の数値を。

吉田: そうですね、これはいろんな施設によって正常値、基準値ってのはまだ変動中であるのかな、とも思うんですけども、Th1/Th2の比が10.5以上が異常だとしている施設もあるし、15.5からが異常だとしている施設もあると思うんですけど、木場公園クリニックではTh1/Th2の比が15.5から19の方はプログラフを1日に1錠。それから19から22.5の方は1日に2錠、22.5以上の方は3錠というようにしています。
また、比ではなくTh1単独でも見ていて、Th1の値が29以上の場合には1錠追加をするというふうにしています。
本当に典型的なTh1/Th2の比がすごく高くて、Th1単独でも高い人って、聞いてみると「私、風邪ほとんどひかない」って言うんです。それぐらい、菌に対しては攻撃しやすい良い体質を持ってるんでしょうね。けれども、妊娠に対しても攻撃してしまうというタイプの人もいて。この前お話した患者さんなんか「旦那は弱くてすごい風邪ひくんだけど、私全然ひかないんですよ、うつりもしません、横にいても」なんて言うんですね。

西村: それって、健康で良いことなのかなって。

吉田: まあ、そういう点では良いんでしょうけど。

西村: ねえ。だけど。

吉田: 妊娠という点ではやっぱり、悪さをするケースもあるということですよね。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日は木場公園クリニック院長、吉田淳先生にTh1/Th2検査についてお話を伺っております。先生、後半もよろしくお願いいたします。

吉田: よろしくお願いします。

西村: さてアンディさん、後半なんですが。

海外からの最先端の情報・技術も積極的に取り入れ患者様へフィードバック

アンディ: ちょっと先生に伺いたいんですけれども、ERA検査、それからEMMA検査ALICE検査と今週のTh1/Th2検査を着床不全の患者さんに推奨されているということなんですけれども、やはり着床不全と判定した場合は、こちらの検査も全部推奨されるんですか?

吉田: そうですね。着床不全と判定したら必ずこれは、僕はやった方がいいなと。3つとも検査をした方が良いと思いますし、やっぱりご高齢の方で、そんなに胚盤胞が今後もできるチャンスが非常に少ないよ、という方の場合には、着床障害が無いとしても、この検査をしても良いのかなと考えてます。

アンディ: Th1/Th2に限ってですけれども。例えば着床不全、もしくは高齢の方の検査をセットでしました、と。ERA検査EMMA検査ALICE検査とTh1/Th2。
Th1/Th2だけ異常が出た患者さんもいらっしゃった?

吉田: はい、もちろんいますね。

アンディ: それで処置して、妊娠をした?

吉田: はい、妊娠できたもいっぱいあります。たくさんたくさん、many manyです。信じられないぐらい聞きますね、僕の印象としては。だから、これぐらいやっぱり免疫性不妊が多いのだということをすごく感じてますね。

アンディ: なるほど。

西村: 実際に患者さんからのお声で、そういうことを、自分の体のことを知ったとき、どんな反応が皆さんおありですか?

吉田: すごく悪い反応がある訳ではなくて、そういうところに引っかかっているんであればこのお薬を使ってみたい、と。
プログラフ自体はもともと昨年の9月の前までは納付書上、薬の箱の中に入ってる紙がありますよね、あれ妊娠中は実は使用禁忌と日本はなっていたんです。欧米のほとんどの国は使用禁忌でなかったんだけど、日本は使用禁忌になっていた。でも、もう9月以降は使用禁忌から外れたんです。
もともとベースとして、このプログラフを飲んで、例えば生体腎移植とかって結構行われてますね、生体腎移植を行っている患者さんっていうのは結構プログラフを飲んで今まで妊娠していたっていう例が多数あった訳です。そのプログラフを飲んで生まれてきたお子さんと、飲んでなくて生まれてきたお子さんの奇形児が生まれる発生頻度とかを見たらそれは変わらなかったっていうのがベースにあるんです。なので、木場公園でもこのプログラフを飲んでもらうときには同意書をもらっていたんですけれども、その納付書から、禁忌から外れたことによって、より使いやすくなってはきたかと思います。
ただ、やはりまだ、お産をやってる先生に浸透している訳ではないんです。だからそういうところの啓蒙(けいもう)活動というのはわれわれ今後一生懸命やっていかなければいけないな、と思います。それらに伴って、自分のところで出生前診断なども行っているんですけども、妊婦さんも、まあエコー、僕結構見たりしてですね、八カ月ぐらいまで見て、プログラフを出して、Th1/Th2の管理をして、ということを行っております。

西村: 先生は学会などの関係で結構海外にも行かれる機会って多いんじゃないですか?

吉田: そうですね、やはり欧米とかの学会の中で、やっぱり最も大きい学会というのはESHRE(エシュレ)というヨーロッパの医学会、それからアメリカのASRM(アスラム)という学会ですね。そういうところで発表をしたり講演を聞いたりして、最新の知識を得て、それをやっぱり患者さんにフィードバックをするというのが僕ら臨床医の役目なんだろうなと思うんです。
でも、こう思ってるんです、今はもしかしたら世界でトップクラスにいるかも、かもですよこれ、まったく分かりません。かもしれないけれども、落ちていくのは簡単なんだと思うんです。ずるずるっと、行かなくなればあっという間に落ちていくと思うんです。常にやっぱり、僕学生時代そんなに勉強好きだった訳じゃないんですけども、勉強をし続けるってことは重要なのかなと感じてます。

西村: この5年、10年、もっと長いスパンで考えても、やっぱりこの妊活という言葉がまず世の中にポピュラーになったこと自体もまず前進かなと思うんですが、それ以外にもやっぱりすごく先端医療が浸透してきている部分、先生も実際。

吉田: そうですね。今生まれてくるお子さんの約20人に一人は体外受精児、顕微鏡受精児という時代にもう入ってきたので、昔で言われているような試験管ベビーという時代ではもう無くなってきた、特殊な医療では無くなってきたということは言えると思います。でもまだまだ、やっぱりちょっと偏見を持っているような方も中にはいらっしゃるので、そういうのをぜひやっぱり無くしていきたいな、と思いますね。

アンディ: 先生。最先端の技術が導入されているんですけれども、患者さんにはその最先端の技術はどのように説明されてますか? 患者さんはやはり理解して、受けます、というまでは、分かりやすく説明、どう。

吉田: なるほど。不妊症のセミナーというのを月に2回、全部で4本自分でやってるんですけれども、その時にいつもお話しするのは、体外受精、顕微鏡受精の治療というのはわれわれにとって非常に怖い治療なんだ、と。なぜかというと、普通は夫婦生活だったら膣内に精子が射出される、つまり、外に出ることは無い、間違えようが無い。ただやっぱり体外、顕微だと、卵も外に出す、精子も外に出す。合体させたものをまた元に戻す、という訳です。
だから、一番この不妊治療において大事なのは、もちろん技術も大事、疑念も大事なんだけど、安全なんだと思うんです。安全であること、ということがまず一番大事なポイントだと思います。ダブルチェック、大事なところはトリプルチェックするというようなところですよね。そういうところで履歴をリアルタイムで残していくようなことをするということ。
それと、これだけ最先端なことをやってるからこうです、というのはあんまり僕は売りたいと思っている訳ではなくて。それはなぜかというと、自分の中で当たり前の医療をしているからです。それはやっぱり国際学会に出て行ったりして、声を聞いて、いろいろ勉強をしていることによって、それが自分の中ではもうスタンダードになっているということになるのかな、と思います。

西村: さて、三週にわたって先生にはいろいろお話を伺ってまいりました。吉田先生、ぜひリスナーの皆さんにメッセージを頂戴できますか?

吉田: そうですね。不妊症の患者さんが受けているストレスは、がんだと宣告された人と同じと言われています。なので、すごく大きなストレスを受けている。ずっとお子さんが欲しいというすごく大きなストレスを受けているんですね。その中で治療をしている。周りの人もなかなか理解してくれない。子どもはまだなの? なんて人もいたりする。
でも、やっぱりそういうのはあんまり気にしないで、前向きに堂々と治療していただければ良いと思いますし、あと、お話をしたいのは、特に、卵子や精子は自分たちの体から作られるので、良い体作りは不妊治療においては必須ですね。やはり健康な体作り、睡眠だったり、食べ物だったりいろんなトータルで良い体作りをするということ。
それと、患者さんにいつもお話ししてるのは、不妊治療に全力を注がない。100パーセント持って行っちゃったら、逃げるところが無くなっちゃいます。80か90で良いんですよ。10パーセントは遊びがなきゃいけない。趣味でも良いし、何でも良いし、遊びがなきゃいけない。
われわれ不妊症の治療をやっている先端のドクターというのはもう死に物狂いでやってます。なので、僕はスタッフにも「待合はね、もう患者さんから射るような視線を感じるんだよ」ってお話をします。妊娠させろ、させてくれ、という視線を感じるよ、と。ただ、一たび外に出れば自分もリフレッシュをして、運動したりして切り替えるってことも重要だと思います。だから患者さんにもぜひやっぱり何か趣味を持ちながら、二人で夢に向かって治療してもらったらな、というふうに思います。

西村: 三週にわたってゲストでご出演いただきました、木場公園クリニック院長、吉田淳先生でした。先生、ありがとうございました。

吉田: どうもありがとうございます。

西村: またぜひ、いつの日かこの番組でご一緒させていただくことを楽しみにしておりますので。

吉田: ありがとうございます。

西村: はい、またよろしくお願いいたします。

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