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Vol 61:養子縁組の現状や課題について~新しい家族の形~

シルバンさん、小川さん

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「養子縁組の現状や課題について~新しい家族の形~」

番組情報

放送分:2019年6月30日放送分
ゲスト:アクロスジャパン 代表 小川多鶴さん
テーマ:「養子縁組の現状や課題について~新しい家族の形~」
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのシルバンさんです。シルバンさんよろしくお願い致します。

番組内容

シルバン: よろしくお願いします。

西村: さらに今日はアイジェノミクスのオフィスにて、アクロスジャパン代表の小川多鶴さんにお越しいただいております。今日のテーマは「養子縁組の現状や課題について」です。小川さん、よろしくお願いいたします。

小川: よろしくお願いいたします。

西村: さあ、始まりました『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。人形町のアイジェノミクス・ジャパン、オフィスにてお届けさせていただきます。
 シルバンさん、このオフィスに、もう来社するようになって、お勤めになって何カ月?

シルバン: えっと、もうすぐ5カ月になりますね。

西村: もうすぐ、半年経つ訳ですね。

シルバン: そうですね、もうすぐですね。

西村: どうですか、このオフィスの環境? もうだいぶ慣れた頃じゃないですか?

シルバン: そうですね。オフィスとしてすごく興味が出ましたので、すごく良い会社だと思います。特に、人を手伝えるので、そういうことで絶対に入ろうと思ってて、すごく満足しています。

西村: はい。シルバンさんがアップをしておりますアイジェノミクス・ジャパンのブログなどもございますので、ぜひ皆さんそちらもご覧いただければと思います。

シルバン: お願いします。

西村: さて、今日もゲストにお越しいただいております。アクロスジャパン代表の小川多鶴さんでございます。小川さん、よろしくお願いいたします。

小川: よろしくお願いします。

西村: 改めてアクロスジャパン、どんな会社かご紹介いただけますか?

養子縁組を含む妊娠葛藤相談、養子縁組相談

小川: はい。アクロスジャパンは非営利団体でして、養子縁組を含む妊娠葛藤相談および子育て支援の相談事業を行っています。

西村: 今年で何年目で?

小川: 今年でちょうど10年になります。

西村: 10年。なのでいろんな実績というか、いろんなケースだったり。あと、このアメリカと日本の現状の違い。ここ、シルバンさん、すごい興味深かったですよね。

シルバン: そうですね。

西村: シルバンさんも初めて聞く情報、結構あったんじゃないですか?

シルバン: そうですね、本当に。

西村: 今週は養子縁組の現状、それから課題について。こちらについてお話を伺っていきたいと思います。まずは、シルバンさん。

6度目の体外受精のあと、養子縁組を決意

シルバン: はい、養子縁組の話はそんなに日本では聞いたことがあまり無いので。すごく興味があるのは、アクロスジャパンを始めたきっかけは何でしょうか?

小川: 実は、私自身がアメリカに住んでいますが、当時カリフォルニアにいるときに不妊治療を長くして、6回IVFをやった末に、「もう養子縁組で子ども迎えたら良いんじゃない?」って夫の一言があって。それで、養子縁組で息子を日本から迎えた、っていうのが一番最初のきっかけです。

シルバン: へえー、そうですか。

小川: その後あちらの、アメリカにあるハーグ認定団体という、その養子縁組支援団体からお声がけいただいて。私たちは日本でのそういういろんな関わる子どもたちの支援をしたいので、あなたも手伝ってくれないか、ということで。米国にある養子縁組支援団体のコーディネーターになったのが2006年です。
そこからずっと日米間の仕事をして、日本がいかに遅れているかということを知り、アメリカのように養子縁組というものが望まれたものでもなく、祝福されるものでもなく、恥ずかしくて隠すものだっていうのを散々見せられたので、ある日主人に「ちょっと日本に行ってこういう事業を立ち上げます」って言って、2009年の10月に息子を連れて二人で帰国しました。

(二人): へえー。

西村: 結構私、映画を観るのが好きで。いろいろハリウッド映画のワンシーンとかに、ファミリーの中に養子で来た男の子とお父さんとお母さんととか、そういういろんな家族の形態が映画の中にポピュラーにすごく出てくるシーン、ありますよね。
私はそれを見て別に何の違和感も無かったんですけど、今お話を伺ってて、確かに日本でそういう、映画のワンシーンでもそんなシーン無いなっていう。養子の子どもがいるファミリーの、アットホームな家族だんらんのドラマとか映画とか、日本無いですね。

養子縁組に対する日本人の偏見・差別を目の当たりに

小川: はい。やっと最近、養子というキーワードが社会に出てもあんまり変に見られなくなりましたけど、でも本当おっしゃったように、10年前だと「養子縁組で子どもを迎えたんです」と言うと、みんなが私を見る目は罪を犯した者のような(笑)。

西村: えーっ?

小川: 冷たいものでしたし、息子が赤ちゃんのときに日本で熱を出して病院に連れて行ったんですけど、母子手帳を見て養子って分かったので「うちでは見れません」って言って。

西村: えっ、なんでなんで?

小川: 私が、産んだ子どもじゃないから。

(二人): ええー。

小川: とか、保険証の作成とかでも、住居が同じであっても違う人間だから駄目です、と言われたり。とにかく養子縁組ということ自体を受け止める社会ではなかったのが現状です。

西村: でも、伺うと結構ショッキングというか。養子でも別に、ご自身のお子さんじゃないですか。私の子どもなのに何で? っていう思いは、当時すごくあふれたときはあるんじゃないですか?

小川: はい。やっぱり私、アメリカにそもそも住んでて、不妊治療をしての養子縁組なので。アメリカだと養子縁組と言われると「おめでとう」だし、この仕事をしていると、「なんて素晴らしい仕事をしてるの」、としか言われたことが無かったんですが。
日本に帰ってきてこの事業を立ち上げると、何でそんなことするんですか? みたいな立ち位置にいきなりなってしまって。やっぱり社会的に養子縁組というところは迎えられてないな、って強く感じました。

西村: なるほど。そういったアメリカでのいろんな養子の縁の考え方と、ちょっと違う考え方の日本。そこを、考えを導入していくっていうのもご苦労があったりするんでしょうか?

小川: もうとっても苦労しました。帰国してすぐは、この事業を立ち上げることに際しても理由なく反対される機構がたくさんありましたし、まずお金をかけてするんではないとか、こういうものはかわいそうな子どもを迎えるものなので、そういうあちらでのソーシャルワークをこっちに持ってきて植え付けようとしたんですが、そういうものは関係無いですとか、理不尽なことしか起きませんでしたし、社会の中で子どもを育てたいという人を見つけることもとても困難でしたし、そういう方がご相談になかなかリーチできないという現状もありました。

西村: なるほど。今、家族っていう言葉ってすごく多様化してて、シンプルじゃないですよね。昔とは全然。
本当にたった数年でも家族っていう考え方、概念がいろいろ変わってるところだと思うんですけれども、ここの考え方に柔軟に意識を変えていく、変えていけない、いろんな考え方がある訳ですよね?

子供を産む機会に恵まれなくても家族を持つ権利はある

小川: はい。それはやっぱり不妊治療にもすごく関わっているのかなと思いますが、アメリカでも実は昔々から養子縁組がとっても素晴らしいもの、という認識があった訳ではなくて。家族というのは血縁があるものっていう考えが1970年ぐらいまではありました。
ただ、そのときにちょうど不妊治療が始まって、ばーっとブーミングしたのが1980年代後半。そこからどんどん不妊治療が進んで頭打ちになったときに、血縁っていったい何だろう? っていうのがアメリカでも確かにあって。そこから政策も手伝った中で養子縁組というのが広がったんですが、日本が今ちょうどそこに来ているのかな、とは思います。
 着床前だったり、もちろんいろんな不妊治療の最先端がいろいろある中で、血縁だけが家族じゃないよねっていう。要するに、弱者も権限を持っているんだよねっていうのも、やっと近年でなったのかな、という思いはあります。だから、家族の多様性、家族も外国人の方がいらっしゃったりというのも増えましたし、そういったものも受けて入れていく力ってのもやっとついてきた中で、やっと養子縁組という違う家族の形もあったのかな、と思います。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日はアクロスジャパン代表、小川多鶴さんと一緒に、養子縁組の現状や課題についてお話を伺っております。後半もよろしくお願いいたします。

小川: よろしくお願いします。

西村: さて、アイジェノミクス・ジャパンのシルバンさんから、引き続きご質問を小川さんにお願いします。

シルバン: はい。次の質問は、倫理観と権利についてお話を聞かせていただけますか?

西村: 養子縁組の、血縁関係の方の養子縁組への考え方ということでしょうか、シルバンさん?

シルバン: はい。そうです。

血のつながりがなければ家族になれないのか

小川: 日本はですね、家族と言うとまず一番最初に出てくる言葉が、血のつながり、なんですね。自分で産んでない子イコールかわいそうな子であったり、そこに家族間のつながりを持つのはとっても難しいのかな、と思います。
 やっぱり単一民族が長く来たっていうのもあると思いますし、鎖国が長かったというのもあると思いますが、今見てもらっても日本全体だと、やっぱり日本人という顔がとても多い、というふうには見受けられますので、そこで養子、要するに自分で産んでない子どもを迎えて家族になるというのを違うものと捉えて、とっても難しく考えてしまいがちなのかな、と思いますが。
私がそのシフトチェンジをしたくて帰国してから皆さんにお話ししていることというのは、例えば連れ子再婚のお子さんであってもそれはまあ、いわゆる養子な訳でして。それが家族じゃないかというと、やっぱりそれは家族の形である訳なんです。それと同じように夫婦間の中で、自分たちの子どもの血縁が無いとしても、でもやっぱり子どもを迎えて家族になるというのは、違う家族の形の一つだというふうに捉えていきましょうというのを、いま一生懸命やっているところです。

西村: 実際に、先ほど前半の中で「えっ、そんなお話が十何年前はあったの?」なんて私、思わず言ってしまったんですが、その養子縁組をした養子の方への、権利の問題? 日本は、やっぱりアメリカと大きく違うところいっぱいあるんじゃないですか?

さまざまな家族の形を認められる社会であることが大切

小川: はい。この事業してて時々ですが「自分が養子だ」っていう成人した方がお越しになります。大抵の方はとても怒ってらっしゃったり不幸だったりするみたいなんですが、お話を聞いている中で、自分は大人になって初めて母親が亡くなるときに養子だって分かってとってもショックを受けた。それまでは自分は養子だって知らなかったのに、自分の人生が全部ぶち壊された、みたいなことをおっしゃる方もいらっしゃいました。
 でも、それはやっぱり小さなときからちゃんと受け止めてもらって、ありのままの自分のそのアイデンティティーをとっても良いことなんだよ、って教えてもらうことがあれば、きっと彼らもそんなふうにならなかったのかな、と思うんです。
社会がやっぱりそういう位置を確立してあげないと、家族もやっぱりそういう位置の確立を子どもに対してできない訳ですから、そういったところでやっぱりみんなが一人ずつ考えていって、そういう位置をちゃんと確立してあげれば良いのかな、とは思います。

西村: 今のお話に挙がったその亡くなられたお母さまも悪気があって言わなかった訳なくて、お子さんへの愛があるからこそあえて言わないでいたんでしょうね。

小川: はい、そうだと思います。やっぱりそこでもし伝えてしまうと子どもがふびんなんじゃないかって思う、生まれたその思いだと思いますが、やっぱりそれがうまく大人になった彼には伝わらなかったのかな、と思いますので、社会がやっぱり受け止めてあげることも大事かなと思います。

西村: この辺りは難しいですよね。お母さまは多分、言うタイミングはいつなのかしら、ってずっと思いながらお過ごしでしたでしょうしね。

小川: アメリカはやっぱり小さなときから伝えるっていうのがスタンダードなので2、3歳のときから、3歳には3歳に、10歳には10歳に分かるようにちゃんとしっかり伝えていきますので、質問はどんどん変わっていきます。

西村: なるほど。そういう言い方もどうしたらいいのかしら、っていうお母さまの悩みを、寄り添えるようなモデルケースというか。

小川: はい、それがまさしく私たちが狙っている養子縁組支援団体のミッションの一つでして。そういった方が今後、子どもにどうやって伝えれば良いのかという話もちゃんと研修なんかでさせていただいてます。

西村: はい。そしてシルバンさん。なんかあの、以前、お話を小川さんとされたことがあるんですか?

日本人かどうかを決めるのは見た目?

シルバン: 私は日本にいる経験は17年です。日本に初めて来たときにちょっとびっくりしましたのは、ソト・ウチっていう違いです。なぜかと言うと、例えば外国人は外国人で、日本人は日本人で。入りにくいってことですね、すごく。まあ、仲が良いとかそういうことがあるんですけど、やっぱりちょっと差がありますね。
私は子どものとき、学校に行ってた頃にはいろんな国からの方が、もちろんフランスなので歴史的にヨーロッパからでもアフリカからでもいろんな方が来てて当たり前、黒人と白人が交ざっているのは当たり前でした。日本に来てから、やっぱり考え方が違うと思いました。
私は一人目の子どもができて、日本人と結婚しているのでその子はハーフで金髪です。目は日本人ですけど金髪なので私はすごくかわいいと思いますが、やっぱり日本人の目からは日本人に見られてないですね。外国人の血が勝っているってことなので、もしかしてその先ほどやってた血縁の話とちょっとつながってるかなって(笑)小川さんは、どう思いますか?

小川: いまシルバンさんがおっしゃったことはまさしく、日本ではとっても不得意なところだと思います。
私の主人はアメリカ人なんですが、日系アメリカ人なので見た感じはまったく日本人のおじさんなんです。ですが、まったく日本語が話せないので、日本に来たときには誰も外人だと思わない。でも、いったん話すと「何なのこの人は?」ってなりますし、私の主人がアメリカ人、って言葉だけで知ってる人がいきなりうちの主人を見ると「えっ、だってアメリカ人って言ったよね?」みたいに、皆さんの中では彼はアメリカ人ではないカテゴリーに入ってしまう訳なんですね。
日本で、自分というものを持つのは外国のルーツを持つ方はとっても難しい。うちの息子も日本人でありアメリカ人という重国籍なんですが、彼は「アメリカ人じゃないよね?」ってみんなに言われてしまう、それは見た目が日本人だからであって。確かに彼は日本のお母さんから産まれましたけれども、でも彼は、自分のアイデンティティーの中に日本とアメリカっていうのを持ってますから。
そういったものを認めていく、自分とは違うものを認める多様性というところで、日本もこれから頑張っていかなければいけないのかな、と思います。

西村: お話伺ってまいりました。最後に、アクロスジャパンのご紹介をぜひ、ちょうだいしてよろしいでしょうか?

小川: はい。うちの団体は本国籍とか外国籍とか関係無く、どんな人種の方でも皆さん相談支援に乗っています。去年から厚労省の方で啓発事業も始まりまして、養子縁組をもっと広めましょうというところで、私も僭越(せんえつ)ながらアドバイザーとさせていただいてまして、いまサイトが新しく立ち上がっています。そこでいろんな有識者の先生ですとか私も含めまして団体いくつかと、それから当事者の方がそれぞれお話しになったユーチューブなんかも流れておりますので、ぜひ検索してご覧いただければと思います。

西村: さて、お時間となりました。今日はアクロスジャパン代表の小川多鶴さんをお招きして、アイジェノミクス・ジャパンのシルバンさんと一緒にお届けしました。
 シルバンさん、この番組ね、不妊治療についていろんな最新情報をお話ししてますけれども、そこからさらに幅を広げて、養子縁組、子どもを持つことについて今日はお話いっぱい伺えて良かったですね。

シルバン: そうですね、すごく良かったです。個人的にも、今までそういうこともあまり考えてなかったので、私のもう一つの選択になりましたね。ありがとうございます。

西村: ありがとうございます。

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