妊活ブログ

アイジェノミクス・ジャパンの妊活情報配信ブログ

Vol 62:精子ドナーを使った人工授精は日本でも1,000例以上~精子提供について~

Tiempo de lectura: 2 minutos
トシさん、伊藤さん

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「精子ドナーを使った人工授精は日本でも1,000例以上~精子提供について~」

番組情報

放送分:2019年7月7日放送分
ゲスト:クリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター 伊藤ひろみさん
テーマ:「精子ドナーを使った人工授精は日本でも1,000例以上~精子提供について~」
FM西東京のページ:こちら

番組を聴く

番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのラボマネージャーであり工学博士のトシさんです。トシさんよろしくお願い致します。

番組内容

トシ: よろしくお願いします。今日はスタジオにクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクターの伊藤ひろみさまにお越しいただいています。今日のテーマは「精子バンクについて」です。

西村: さあ、今週も始まりました『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。トシさん、今日のテーマが「精子バンクについて」ということで。

トシ: そうです。今日は、これまでに無いですね、精子バンクについての話は。初めてです。

西村: それではゲストの方、ご紹介させていただきます。スタジオにお越しいただいておりますのは、クリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター、伊藤ひろみさんです。伊藤さん、よろしくお願いいたします。

伊藤: よろしくお願いいたします。クリオス・インターナショナルの伊藤と申します。

西村: まずは、今日本当ね、トシさんもおっしゃられてましたけど、精子バンクについてっていうお話は、この妊活ラジオ始まって以来というか。

トシ: そうです。本当にこう1年以上やらせてもらって、初めてのテーマです。

西村: まずはこのクリオス・インターナショナルについてご紹介いただけますか?

精子ドナー数世界No.1の精子バンク

伊藤: はい。クリオス・インターナショナルは、デンマークで1987年に創業された精子バンクです。実はギネスにも登録をされています。何で世界一かというと、精子のドナーの数が各国にあります精子バンクの中で一番多い。一番最新のデータですと、1,179名の精子ドナーを私たちは提供しています。

トシ: すごいですね。

西村: ねえ。で、日本事業部はいつ立ち上がったんですか?

伊藤: 日本事業は今年の2月から開始しています。ただ、法人を設立した訳ではありませんので基本的には私はデンマークのクリオス・インターナショナルに勤めているんですけれども、デンマークのオーフスという都市とアメリカのフロリダに拠点を持っております。

西村: ギネスにまで載っている。

トシ: そうですよ、すごい。

西村: 世界。

トシ: 1位の。

西村: すごい(笑) でも、具体的に精子バンクってどんなところなんだろうってのはぜひ教えていただきたいと思います。まず、今日のテーマなんですが、その精子バンクについてお話をまず、一番最初は、トシさん。

トシ: そうですね。よくこう、AIDという言葉が出てきますが。

西村: AID?

トシ: 私自身もちょっと、何だろう? と思ったんですけれども、ちょっと伊藤さん、分かりやすく。

男性の100人に1人が無精子症

伊藤: はい。AIDというのは、英語でArtificalInsemination by Donor Sperm。with Donor Spermの場合もあるんですが、と言われるものの略称なんですが、主に提供された精子を使って人工授精を行うことを意味しています。
 世の中にはいろいろな不妊の症状の方がいらっしゃいますけれども、だいたい男性の100人に1人が無精子症だと診断されています。

トシ: 意外と多いんですね。

伊藤: そうですね。無精子症にもいろいろな症状はあるんですけれども、その100人に1人のうち、約半数の方というのは手術などを行っても精子を得ることができず、残念ながらご自身の遺伝的なお子さんを持つことはできない状況なんですね。
 そういう方々の中でこのAIDという治療、つまりドナーさん、第三者の方の精子を使った治療を奥さまと一緒に行うことによって、奥さまとだけにはなってしまうんですけれども、遺伝的につながったお子さんを持つことを実現するのがAIDという治療です。

トシ: クリオスという会社なんですけれども、今回こう伊藤さんと出会って、聞いたら本社がデンマークにもちろんあって。で、私たちの本社、アイジェノミクスはスペインにあるんですが、本社同士はもう仕事の付き合いはあって。
それを聞いたときは驚いたんですけれども、実際に精子の遺伝に問題無いかとか、そういったのを調べるために弊社アイジェノミクス、スペイン本社の方で検査をして。

西村: はあー、なるほど。

トシ: そういった検査を受けて調べた上での精子バンクとしての数がたくさんあるということなんですよね。

伊藤: はい、そうですね。遺伝的疾病などにかかっていない方を選別しまして、非常に健康な男性の方々から精子提供を受けまして、必要とする夫婦に届けております。

候補者の5~10パーセントしか精子ドナーにはなれない

トシ: これちょっと、私の興味なんですけれども、例えば私が精子提供の一人として提供したいと思ったときに、どういったプロセスでこう、なんですかね。

伊藤: まずは弊社のデンマークのオフィス、もしくはフロリダのオフィスにお越しいただきまして、検査を受けていただきます。
精子提供ですので当然、精液検査を行っていただくんですけれども、それ以外に血液検査も行いますし、健康診断、一般的なものですけれども、医療従事者による検査を行いまして、そのドナーの候補者の方の健康状態をくまなくチェックさせていただきます。

トシ: そこまで見て、何も問題が無いですよといったのが分かってから初めて登録されるという。

伊藤: そうですね、実はドナーになりたいといっても皆さん全員が登録できる訳ではないんですね。

トシ: もちろんね、ええ。

伊藤: 残念ながら選考がございまして。だいたい候補者の方々の中から5~10パーセントの方だけがドナーになることができます。

トシ: 結構厳しいですね(笑)

伊藤: そうですね。やはり検査は複数回行われますので、途中の段階でどんどん選別されて落ちていってしまいますし、それから、当然ながらドナーの方々には、なぜドナーになるのか、ですとか、ドナーになったらどのような影響が発生するのか、といったことをしっかりとカウンセリングさせていただいて、やはり途中で、それであれば辞めますというふうに辞退される方もいらっしゃいますし、社会的な意義のあることである一方で、ドナーの家族に対する影響も持ちますので、しっかりとご理解いただいた上でご登録いただいております。

ドナー自身の人生にもさまざまな影響がある

西村: そのご提供いただく方々っていうのは、ご自身の融資で、まずはアクセスされるんですか?

伊藤: そうですね、ご自身からご登録いただくことが多いですし、あとは私たちも大学ですとか、さまざまな街中で勧誘をさせていただいておりまして、ご関心を持たれた場合に検査を受けていただいています。

トシ: まあ、そのためにはデンマーク、もしくはフロリダのオフィスで実際に調べる、と。

伊藤: そうですね。やはりドナー一人を獲得するためには非常にたくさんの検査を行いますし、先ほどお話ししたような血液検査、尿検査、健康診断、精液検査を複数回行いますし、それ以外にも性格診断テストなども受けていただいて、ドナーの情報としてお使いになる方に提供させていただいています。

西村: いま確かにお伺いしていて、個人のことではなくて、その精子を提供される方の家族とかにもやはりご理解が無いと、っていうところですよね。

トシ: そういうことですよね。

西村: そこはかなり重要ですよね。

伊藤: 私たちのドナーは、匿名のドナーだけではなく非匿名、アメリカではオープンドナーと呼んでいますけれども、つまり自分自身の情報を将来産まれる子どもたちに開示するという契約でのドナーの方もいらっしゃいますので、子どもたちが一定の年齢、例えば18歳になったときにドナーに対して連絡を取る可能性がございます。
それについてはドナーさんにお選びいただいて、匿名もしくは非匿名、どちらが良いか選んでいただいてるんですけれども、非匿名を選んだ場合はやはり将来、ドナーさん自身もご自身のお子さんがいたり、当然パートナーがいらっしゃったりする中で、そのようなコンタクトを受ける可能性がありますので、しっかりとご理解いただいた上で行っていただく必要がございます。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。後半もスタジオにはクリオス・インターナショナル日本事業 担当のディレクターでいらっしゃいます、伊藤ひろみさんにお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

伊藤: よろしくお願いします。

トシ: 私、ちょっと聞きたいのが、日本の現状をまずちょっとお聞かせ願えますか?

日本では民間の精子バンクは認められていない

伊藤: はい。日本では、民間の精子バンクの営業が認められていませんので、現在は公的なもの、つまり病院での精子提供のみが行われています。

トシ: 日本の病院というのはもう、何処ってのはもう分かる?

伊藤: そうですね。日本産科婦人科学会が12の施設をこのAIDを行う施設として認めておりまして、そちらに行かれれば。すべての病院で提供が受けられる訳ではないんですけれども、じゅうぶんなドナー精子がある病院にてカウンセリングなどを経た上で提供を受けることができます。

トシ: なるほど。もしご存じだったらで良いんですけれども、そういった病院の使用される精子ってのはどこで手に入れてる、というか、どういった。ちょっと私、前半で聞いた、厳選された精子バンクを持たれているクリオスさんと日本では病院では、どういうふうな形の提供された精子なのかな、と。

伊藤: 日本の病院の精子の場合は、基本的には、例えば大学病院の医学部の学生さんがボランティアで提供したものですとか、あとはクリニックで通常の夫婦間の不妊治療を行って成功された方で、もし良かったら、というふうに病院から声をかけられて提供された方の精子になっています。

トシ: なるほど。原則ボランティアで手に入れたというか。なるほど、そうなんですね。

伊藤: ボランティアといっても、実際には有償ボランティアという形で行われているようではあるんですけれども、ただ、やはり精子を売るということは禁止されております。

トシ: なるほど。日本ではまだまだこれからのところですね、

伊藤: そうですね。無精子症の患者さんというのは、男性が不妊検査を受けるようになったということもあって以前よりは増えてきてはいるんですね。

トシ: いや、そのとおりだと思います。

ドナー精子を使った人工授精は日本でも1,000例以上

伊藤: ただ、残念ながらこの非配偶者間の治療についてはなかなか世の中の方々にはまだ知られていませんし、ひっそりと行われてきたということもありまして、2016年のデータでは日本で1,146名の方がAID、ドナー精子を使った人工授精を行っていまして、その中で100名以上のお子さんが生まれているんですけれども、人工授精一回当たりの妊娠率は3.7パーセントと非常に低い状態なんですね。

トシ: うわあ、低いですね。日本で1,000名以上も例があるというのはちょっと驚いたんですけども結構あるんですね、思った以上に。僕が知らなかっただけかもしれませんけれども。

伊藤: この1,000名というのはあくまで無精子症と診断されて、男性の方が手術を受けて、精巣を切り開いて中に精子があるかどうか確認をする手術なんですけれども、それで精子が採れなかった方のみ、となっておりまして。

トシ: はあ、なるほど。

伊藤: 例えば、本来であれば乏精子症と言いますけれども、ゼロではないけれども少ししか精子が無くてなかなか妊娠できない、というような男性不妊もありますけれども、そういう状況の方というのはこの治療を受けることが日本では認められていません。

トシ: ええー、そうなんですね。

伊藤: ですので、潜在的なニーズというのはたくさんあるんですけれども、非常に厳しい審査を経た方しか治療を受けることができませんし、そもそもドナーが不足してしまっているので、なんとか受けられたのがこの1,100名の方々、という理解です。

トシ: その後の3.7パーセントとおっしゃったと思うんですけど、すごく低くて、ちょっと。

伊藤: そうですね。

トシ: 私、この3.7パーセントって普通の不妊の妊娠率と比較してもあまりに低すぎて。決してこれ、奥さまが高齢であるとかそういう訳ではなくて。

伊藤: そうですね、基本的には女性側には問題が無いケースがほとんどなんですけれども、それでもこの低い妊娠率になってしまっているのはやはり、そもそもボランティアですので、そこまでしっかりと選別をしたドナーになっている訳ではありませんので、ある程度の基準、基準というのは精子の状態ですけれども。

トシ: そうですね、運動性であったりとか。うん。

日本とデンマークではAIDの成功率に10倍もの差が

伊藤: 基準を満たした方であればほとんどドナーになれている状況なのではないかな、と思いますので、そもそもの精子の質が必ずしも優れている訳ではないんじゃないかな、というふうに推察しています。
 弊社のケースですけれども、デンマークにある大学病院で弊社のドナー精子を使った人工授精を行った方々の妊娠状況を確認した論文がございまして。それによると、もう20年近く昔のデータなんですが、一回当たりの妊娠率が22.3パーセント。特にその中でも、8年に渡る研究だったんですけれども、一番最後の年は34.6パーセントという数値が出ています。
それはやはり、精子の運動率が非常に高く、選別されたものだけを使っているということのおかげではないかな、と思っています。
 ちなみに、日本でも海外でも、基本的には凍結した精子を使っていますので、凍結によって精子の状態は多少悪化してしまうんですけれども、もともとの精子のクオリティーが高ければ、凍結して融解した後もそれなりの妊娠率を保つことができる状況です。

トシ: そういうことですね。そういったのがもう確立されていて、というのがさっきの日本での3.7パーセントとの大きな、10倍違うので。日本はこのポイントを、精子バンクについてはまだまだ本当これからっていうところだけれども、世界ではそういったデータで実際にもう始まっている、動いているという状況なんですね。

伊藤: そうですね、もう32年前から世界中に提供を始めておりますので。日本人の方でも、海外に来て弊社の精子を使った治療を受けている方がたくさんいらっしゃいます。

トシ: やっぱりそうなんですね。私も、たまにですけれども、弊社の検査として精子の染色体の異常を調べる検査などもあるんですけれども、なかなかその検査というものは、もし受けられて、患者さんに検査結果をお渡ししたときに「あなたの精子の何パーセントが異常がありますよ」といったレポートになってしまうので、そうすると患者さんとしてはもう諦めるか、また頑張るか、という選択しか無い訳です。そうなってくると何も助けることができないんですよね。
 精子ってよく、これは以前の話にあったんですけれども、日によって、自分の体の調子によって精子の数が変動するとかそういった話もあるので、そういった中で、本当に精子が無い方にとっての精子バンクという道。もうちょっと日本で進めば良いな、とすごく思いました。

西村:さて、お時間となりました。今日はクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクターの伊藤ひろみさんをお招きしております。来週もぜひお話伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

関連記事

コメントする

コメント無し

コメント無し