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Vol 63:日本の精子提供の問題点~海外と日本の精子提供~

トシさん、伊藤さん

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「日本の精子提供の問題点~海外と日本の精子提供~」

番組情報

放送分:2019年7月14日放送分
ゲスト:クリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター 伊藤ひろみさん
テーマ:「日本の精子提供の問題点~海外と日本の精子提供~」
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのラボマネージャーであり工学博士のトシさんです。トシさんよろしくお願い致します。

番組内容

トシ: よろしくお願いします。今日もスタジオにクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクターの伊藤ひろみさまにお越しいただいています。
今日のテーマは先週に引き続いて「日本における精子提供の問題点について」になります。

西村: さあ今週も、先週に引き続きましてクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター、伊藤ひろみさんにお越しいただいております。伊藤さん、よろしくお願いいたします。

伊藤: よろしくお願いします。

西村: まずは、先週の振り返りを、ぜひ。

トシ: 先週、その精子提供を使った生児出産率というか妊娠率、日本と海外での差がすごかったんですね。日本ではたった3.7パーセント、一方海外では3割を超える数値が出ているということで。前回、そのときに運動率の話があったんですけれども、その他の理由というのは分かっているのでしょうか?

日本では人工授精以外の選択肢がない

伊藤: そうですね。先週お伝えした妊娠率のデータはどちらも人工授精によるものだったんですけれども、例えば妊娠率を上げる方法として、人工授精以外に体外受精、顕微授精というものがございます。
 一般的な不妊治療であれば人工授精を平均的には6回程度行って、妊娠しない方はステップアップをして体外受精や顕微授精を行っていると思うんですが、日本では、日本産科婦人科学会のルールによって人工授精しか行うことができないんですね。

トシ: そうなんですね。

伊藤: どんなに妊娠しなかったとしても、ひたすら人工授精を繰り返さなければなりません。ですので、残念ながら20回、30回とやって諦めてしまう方が大勢いらっしゃるのが現状です。
 ただ、海外ですと人工授精で妊娠しなければドナー精子を使った体外受精に進む方がたくさんいらっしゃいますので、人工授精では駄目だったけれども体外受精になったらすぐ妊娠した、という方がたくさんいらっしゃいます。

トシ: いやあ、私はもう、そうなってると思ってました。体外受精に進んで、しかも顕微授精に進むという流れがあるものだと思っていました。日本では人工授精まで、という決まりなんですね。

伊藤: はい。学会ですとか厚生労働省などが協議は行っているんですけれども、体外受精を認めてしまうと今度は、現在日本では正式には行われていない卵子提供の議論も巻き込んで、大きなディスカッションになりますので。

トシ: 難しくなりますね。

伊藤: 本来であれば行わなければいけないとは思うんですけれども、なかなか議論が進まずに今に至るという状況です。

トシ: なるほど、そういうことなんですね。確かに、産婦人科のところの分野でも、生殖の分野というのはやはり遺伝という問題がある分、簡単には進めないところってのがあるかと思うんですけれども。ただ、それにしても今、子どもをもうけたいと思っている人たちにとってはなかなかもどかしいものが残りますね。

海外で治療を受ける人も増えている

伊藤: そうですね。やはり日本でじゅうぶんな望む治療が受けられないということで、海外での精子提供を受けていらっしゃる方が年々増えていらっしゃいますし、それは精子提供だけではなく卵子提供においても同じ状況です。

トシ: なるほど。これ、精子提供の場合、もし私がクリオスさまの会社さんの精子提供を受けてどうしても子どもを持ちたいな、となったら、まずどこにコンタクトを取って、とかなるんですかね?

伊藤: 私どものホームページに日本語版を今年から公開しておりますので、ぜひそちらをご覧いただきまして、精子提供とはどういうことなのか。どのようなドナーがいるのかというものをご覧いただいて、もしご関心がございましたらお問い合わせ欄に私のメールアドレスが書いてありますので、ぜひご連絡ください。

トシ: なるほど。あと、私気になっているのが、精子提供を使って、出自って言うんですか? 漢字で「出」るって書いて自分の「自」で出自っていうのがあるんですが、誰が遺伝的、親なのか? これをお聞きしたいんですけども。

自分の出自を知ることは認められていない

伊藤: 精子提供を受けて子どもをもうけた場合には、基本的には父親となるのは、その提供を受けた女性の婚姻している相手となりますので。精子提供を行った人ではなく、無精子症の夫が父親となります。

トシ: なるほど。

伊藤: しかしながら、やはり遺伝上の父親、まあ父親というのは不適切かなとは思うんですけれども、遺伝的には精子ドナーの方がその子どもたちとつながりを持っている、ということになるんですが、残念ながら日本ではその子どもたちが自分の出自、遺伝的な親を知ることが認められていませんので。ドナーは全員匿名ですし、血液型以外の情報は開示されておりません。

トシ: なるほど。これは前々回の養子縁組の話とちょっとかぶる部分がありますね。あのときも確か、小川さんに出てもらったときにその話があったかと思います。あの方も養子をもうけて、日本で、役所であったりとかそういったところで登録が、戸籍の方がなかなか難しかったという話がありました。
 これはやっぱり精子の提供に関しても今はまだ難しいってことなんですね。

伊藤: はい、やはり日本では戦後すぐの頃からひっそりと行われてきましたので、精子提供をとても、まるで悪いことのように扱ってきまして。お医者さまも皆さん、患者さんに「これは絶対に誰にも言うな」というふうに話して治療を行ってきましたので、実際にそうして生まれた子どもたちにもその事実を告知していなかったというケースが大半でした。
 告知にも2つの告知がありまして。1つは、子どもがドナーで生まれたということを告知すること。そしてもう1つは、ではそのドナーが誰なのかを告知するということ。2つがあると思うんですけれども、どちらも日本では行われてきませんでしたので、子どもたちは他の夫婦間の生殖行為によって生まれた子どもたちと同じように、自分の両親が遺伝的な両親だと思い込んで過ごしてきたケースが大半でして。
ただ、例えば父親の病気だとか、何かしらアクシデントがあったときに偶発的に事実を知ってしまって、そしてそれまで築いてきた家族が一気に崩れてしまったというふうに、この治療に対して不満を抱いたり、改善すべきだというふうに反対の声を上げる方々が日本でも出てきています。

トシ: なるほど。

西村: でも、その逆の側面を見ると、海外ではそれによって良好な家族関係を築いているファミリーの方々もたくさん、多分、いらっしゃる訳ですよね。

トシ: そうですよね。

本当に望まれて生まれてきた子どもだということ

伊藤: そうですね。海外では無精子症の方々のみならず、レズビアンのカップルですとか、選択的なシングルマザーですね。自らシングルで精子バンクを使って妊娠、出産を選ばれる方がたくさんいらっしゃいまして、そういう方々にも精子バンクの精子を提供しているんですけれども、もっとこのドナーによって子どもを持つということがポジティブに受け止められていまして。
 例えばデンマークでは、匿名のドナーに加えて非匿名のドナーも提供しておりますので、使う患者さんがご自身でどちらのドナーを選ぶのか、選ぶことができます。国によっては非匿名のドナーのみしか利用を認めていないケースもございますので、そうした国では子どもの出自を知る権利が最大限保証されていて、遺伝的なドナーの父親の情報について皆さん知ることができるようになっています。
 ただ、精子バンクとして私たちがさまざまなこれまでの研究から判断しているのは、どちらが良いと決めつけるのは非常に難しいことだ、と。やはり、例えば無精子症というのは非常にデリケートな問題ですので、子どもがドナーから生まれたということを例えば周りの人に言うということは、ご自身が無精子症であるということを言うことと同義になりますので、どうしてもそれは避けたいと考える方も当然ながらたくさんいらっしゃいます。
 私たちはそういうさまざまなニーズに応えられるようにさまざまなタイプのドナーを用意しておりますし、何よりも大切なのは、先ほど告知にも2つあると申し上げましたけれども、ドナーが誰かを伝えるということ以上に、まず子どもがドナーから生まれたということ。そして、なぜそういうふうにドナーから生まれたのかという理由をお伝えして、ただ、本当に望んで生まれてきた子どもだということをできるだけ。

トシ: そこが一番大事なところですね。

伊藤: 幼いときから伝えて、理解して。家族の間で嘘をつかずに育っていくということが、子どもにとっては最も大切なことなのではないかな、というふうに考えています。

西村: さあ、後半もクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター、伊藤ひろみさんにお話を伺っていきます。後半もよろしくお願いいたします。

伊藤: よろしくお願いいたします。

ドナーに関する情報はどの程度知ることができる?

トシ: あの、もう一つ質問があって。その精子の選択なんですけれども、精子提供を受けるときに私たちからこう、選択することができるのは、どういった精子が良いとか。そういうのはありますか?

伊藤: クリオスの場合は、全てのドナーについて基本的な情報としていくつか開示していることがあります。人種、民族。世界100カ国に提供しておりますので、やはり通常は自分と同じ人種もしくは似たような人種を選ばれる方が大半になっています。
 それから、目と髪の色。身長、体重。職業。あくまで、提供時の職業です。血液型、そして、そのドナーの方から妊娠した実績があるかということは、全てのドナーについて開示をしています。
 加えまして、詳細なプロフィールを開示しても良いと許可をしたドナーさんについては、本人の手書きのメッセージ、音声メッセージ。

トシ: へえー。音声メッセージ?

伊藤: なぜドナーになったのか。僕は人助けをしたいんだ、というようなメッセージ。それから、子どもの頃の写真。一部のドナーについては、現在の写真も公開しています。それから、性格診断テストの結果。これは、外交的なのか、内向的なのかとか、計画的なのか、それとももっと突発的なのかとか。そうした人間性が分かるようなテストの結果。

トシ: すごいですね。

伊藤: それから、クリオスのスタッフが何回もドナーに面接をしていますので、その面接を通じて持った印象。そして、家族の病歴や体質の情報。例えば、えくぼがあるかどうかとか。これまでどんな病気にかかったかなどを公開しています。
 ですので、かなり詳しい情報を知ることができまして、そしてご自身の好みに応じて。好みといっても、少なくとも全てのドナーが現在の外見を公表している訳ではありませんので、外見でと言うよりは中身で、ということになるかと思うんですけれども、こんな人が良いなと思える相手をお選びいただくことができます。

トシ: へえー。ちょっと思った以上に詳しく。すごいですね。

伊藤: ドナーの情報に加えまして、精子の運動率によって値段を変えておりますので、同じドナーの方でもいろいろな運動率の精子が用意されていまして、それに応じて値段が少しずつ変わっています。

トシ: よく分かりました。ありがとうございます。

西村: いま、お伺いしてて。その方の、ドナーでご提供いただく方の声のメッセージって。すごいそれ、聞いたらきゅん、って(笑)

トシ: ねえ。思います。

西村: ね。そうやっていまお伺いしてると、家族というか、絆を作る、そういったお仕事でいらっしゃるんだなっていうのをすごく感じたんですけれども、やっぱり伊藤さんがこのお仕事をされていらっしゃってぐっと来る瞬間とか、やりがいを感じる瞬間ってあるんじゃないですか?

精子バンクに対する誤解

伊藤: そうですね。日本では精子バンクというのはほとんど知られていませんのでいろいろな誤解があるかと思います。例えば、一流大学を出てる人だとか、モデルだとか、そういうドナーを高いお金を払って選んで、自分の子どもをパーフェクトベビーを目指してデザインするような報道がアメリカなどではされてしまっていますけれども、そういうことではなく。
やはり自分が子どもを持ちたいと思ったときに、信頼できるドナーの方から提供を受けたいと思っている方がたくさんいらっしゃって、そうした方々の夢をかなえるというのを私たちの会社のミッションにしておりますので。私も普段お電話やメールでそういう患者さまとお話しして、本当に皆さん切実に子どもを持ちたいと思っていらっしゃるので、そうした方々に一つの選択肢を与えられるというのはとても喜びのある仕事ですし、実際にそうして妊娠、出産された方から喜びのお手紙などいただくのが本当に嬉しい瞬間ですね。

トシ: 嬉しいですね。やっぱり、子どもを持ちたいと思ったときにその選択肢が無いのが一番つらくて。で、こういった選択肢がある。実際に海外に行って受けられて、子どもを持つ夢がかなうという。そこから新しい家族のスタートというか、始まる訳で。

西村: ですから、スタッフの皆さんも、そのドナーの方、患者さん、いろんな方々に。先ほどもおっしゃられてましたけど面接で何回もお会いになったりすると、人と人との心のつながりが新しい絆というか、ファミリーがどんどんこう広がっていくのかなって、伺ってて私もちょっと、ぐっと(笑)

トシ: 来ましたね。うん。

西村: ね。

伊藤: そうですね。日本でも、いろいろな家族の形が増えてきていますので、養子縁組のように完全に血のつながらない家族もあると思いますし、精子提供、それから弊社も卵子バンクもやっていますが、卵子提供を通じて、片方とだけ血がつながっているような家族というのもある、ということを皆さんに知っていただけたら良いな、と思っています。

西村: さて、お時間となりました。2週に渡ってクリオス・インターナショナル日本事業 担当ディレクター、伊藤ひろみさんにお越しいただきました。伊藤さん、ありがとうございました。

伊藤: どうもありがとうございました。

西村: さて、次回は東京HARTクリニックより小柳由利子先生にご出演いただき、化学流産についてお話を伺います。

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