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Vol 66:数字だけでは評価しきれない 子宮内膜の「元気さ」を高める施術

小柳先生、小山先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「数字だけでは評価しきれない 子宮内膜の「元気さ」を高める施術」

番組情報

放送分:2019年8月4日放送分
ゲスト:東京HARTクリニック 小柳 由利子先生、六本木レディースクリニック(2020年現在は西船橋こやまウィメンズクリニック) 小山 寿美江先生
テーマ:「数字だけでは評価しきれない 子宮内膜の「元気さ」を高める施術」
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日は東京の本社に、東京HARTクリニックの小柳先生と、六本木レディースクリニックの小山先生にお越しいただいてます。
今日のテーマは「着床不全に対するさまざまな治療の工夫」についてです。

西村: はい、本日も『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』、ゲストは、東京HARTクリニックより小柳由利子先生、六本木レディースクリニックより小山寿美江先生にお越しいただいております。先生方、よろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

西村: さて、アンディさん。まず、先週のエンディングに先生がお話しくださったのが。

アンディ: そうですね、先週のエンディングに先生方から、着床の総合点の話があったんですけれども、小柳先生、着床の総合点というのはどういうことでしょう?

着床の総合点とは

小柳: 総合点というのは、いろいろな因子を全部合わせたときのトータルの着床力、ということで、100点じゃなくてもある程度、まあ8割とか超えてれば着床するっていう考え方を私は持っているんですけれども。
 一つの例としては、1人目の出産のときには5日目の移植で着床したのに、2人目では全然付かない。で、着床の窓を調べてみたら2日ずれてたとか、そういうことが実際に経験あるので。1人目のときは例えば内膜が厚かったけれども2人目のとき薄くなっていて、着床力が1人目のときは高かったから多少ずれてたけど付いた、みたいな。そういうことがあるのかなと思っていて。
 だから、一度うまくいってるからって大丈夫とは限らないと思って疑ってかかるようにしてるんですけれども、小山先生、どうですか?

西村: 小山先生もやはりこの着床の総合点というところには注目されていらっしゃいますか?

小山: はい。自症例なんですけれども、胚盤胞移植して5回うまくいかなくて、それでERA検査をして、そうすると1.5日から2日ぐらいずれていた方がいらっしゃったんですね。その方に6回目は1.5日から2日ずらして移植をしたんですけれども、うまくいかなかったんですね。で、7回目の移植で、患者さんとも相談してたんですけど、もう一回5日目に移植してみようということで5日目に移植をしたところうまく着床して、無事赤ちゃんの心拍を確認できたっていう症例があったんですが、これがまあその、着床不全の総合点に値するのかなと思ったんですね。

小柳: んー。何が良かったのか不思議ですけど、卵が元気だったら多少のずれはカバーできるような気もするし。

小山: そうですね。なので、この因子が駄目だからうまくいかない、という訳ではないのかな、というのを考えさせられた症例だったんですけれど。

アンディ: なるほど。ということは、その総合点が高ければ高いほど良いとは思うんですが、パーフェクトじゃなくてもいい、ということでしょうか?

小柳: そうですね。

小山: 最終的に何が良かったのか分からないっていうことって、割とこの生殖医療ではよく経験しますよね、先生。

子宮内膜の「元気さ」を高める方法

小柳: んー。あと、総合点を高めるためにいろいろと方法があって。例えばスクラッチっていって、内膜を移植の前に引っかいておいたりだとか、内膜を刺激する、目覚めさせるみたいな方法は他にもいろいろあって。
移植の2、3日前に培養液を入れとくシート法だとか、二段階胚移植といって3日目と5日目に同じ周期に2個卵を移植するとか、そういうやり方も基本的には同じ効果を狙っているんじゃないかなと思うんですけど、数字では評価できない内膜の元気さみたいな、活きみたいなのがあって。それを上げておくと、多少の日付のずれとかはカバーできたりする部分もあるのかな、とは思います。先生も、二段階胚移植で初めて成功したっていうご経験が。

小山: はい。二段階胚移植は私としてはかなり有効な方法だと思っていて。うちでの妊娠率なんですけど、50パーセントを超えているんですね。ただ、二段階移植なんでやっぱり2個移植しますから、双子ちゃんとなってしまう症例もやはりわずかですがあるので、その辺は患者さまにご了承いただくんですけれども、割と手応えは感じています。

アンディ: 先ほどスクラッチのお話があったんですけれども、実際スクラッチはどういうふうに適用するのか、もう少し話をいただけますか?

小柳: うちは、全例スクラッチをやっているんですけれども、まあ、コストもかからないし簡単なので。子宮鏡といって、移植の前に子宮の中を洗ったりするんですけれども、そのついでに子宮鏡のカメラの先でちょいちょいって傷をつけるようにしていて。
かなり妊娠率が上がっているようなイメージはあるんですけど、きっかけとしては、本当に何をやっても着床しなかった患者さんが、スクラッチって移植の前の周期に基本的にはやる施設が多いんですけど、移植の周期に傷を付けておいたんですね。そしたら、着床しづらくなるかと思いきや初めて着床したので。あんまり出血するほど傷つけない方が良いとは思うんですけど、移植の周期にやることで結構着床率は上がるような実感は持ってます。

西村: なんかお伺いしてると、それって最初は偶然見つけた方法なんでしょうかね?

小柳: ちょうどその頃読んでた論文で、前の周期にやった方が良いのか、移植の周期にやった方が良いのか、という議論が論文上なされてて。その周期には基本的にやらないものだと思ってたんですけど、ちょっとやってみようと思って、たまたまやってみたら付いたんですね。そういう経緯なんですけど、先生のところはどうですか?

小山: 先生がおっしゃるように、移植の前の周期でやる論文がほとんどで、移植の周期にやるっていう論文ってあんまり無いですよね。小柳先生のところは全症例とおっしゃってたんですけど、私はやっぱり、子宮の中は移植前はそっとしといた方が良いのかなって考えていて。なるべく最初の周期ではやってないんですね。
なので、やる症例はやっぱり1回も着床しない方、何回やっても着床しない方にはスクラッチをして、妊娠、出産まで至ったっていうことは何度も経験はしています。なので、非常に、うまくいかない方については良い方法だと思います。

小柳: 確かにちょっと怖い部分はあって、着床する場所は削らないんです。ちょっと手前の部分とか子宮の横サイドのところを削るようにしてるので、何らかの因子がそこから湧き出てくるんじゃないかな、って考えているんですけど。今のところそれで着床に悪影響があるという感じはしてないんですけれども。

アンディ: スクラッチの話なんですけど、実はERA検査も以前、検査するときにスクラッチングしてるんじゃないかという話を聞かれたことがあって。着床率が上がるというのは、ERA検査のときにその生検がスクラッチしてるんじゃないか、という話もあったんです。それは違う、とあとから証明されたんですが。検査して次の週に移植しても、2カ月後、3カ月後に移植しても着床率は変わらないのでスクラッチング効果ではないということは分かったんですけど。ただ、それだけスクラッチの有効性が話題になっているんですね。

西村: さあ、後半も東京HARTクリニックより小柳由利子先生、六本木レディースクリニックの小山寿美江先生にお越しいただいております。さて、アンディさん。後半なんですが。

アンディ: はい、そうですね。先ほどスクラッチの話もあったんですけれど、先生方に聞きたいのは、それ以外にまだ考えられる工夫、ありますかね? 小山先生、お願いできますか?

サイトカインで子宮内膜の細胞を活性化

小山: G-CSFというお薬を、なかなか着床しない方に使っているんですけれども。G-CSFというのは白血球を活性化するサイトカインといわれるもので、これを子宮の中に入れると子宮の内膜の細胞を活性化させて着床に有利になると考えられているものです。これをだいたい移植の2、3日前に当院では使っています。
手応えとしては、やはり何回もうまくいかない方に使っているので、割とこれを使って良くなったっていう方はやっぱりいる印象です。先生、いかがですか?

小柳: うちも最近やり始めて。ちょっと遅いんですけど。結構古くから言われている方法なんですけど、ちょっと有効性が曖昧な部分があってやってなかったんですけど。それで初めて妊娠したって人が2、3人はいます。それだけが原因かどうか分からないんですけど。
 白血球を増やすので、逆になんか卵が攻撃されそうなイメージはあるんですけど。機序ははっきりしてないけど、Th2を優位にする、みたいな、そういう機序は考えられているみたいなんですけどね。

小山: 割と流産を繰り返す方にも有効って言われてますよね。

小柳: あっ、そうなんですね。なんか、内膜を厚くするための薬って思われている方も多いんですけど、厚くなってなくても効果があるっていうのはあるので、それも。ちょっと高いですけどね、薬としては。

小山: そうですね。

小柳: でも、まあ有効な方法だと思います。

アンディ: では、着床して、妊娠中の流産を防ぐ方法で、気を付けるべき点がありますでしょうか?

西村: では、小山先生。

流産を防ぐために気を付けたいポイント

小山: 流産の原因の7、8割ぐらいは赤ちゃんの染色体の異常と言われているんですけれども、やはり残りの2、3割は母体側であるので、流産を繰り返すような方については、先ほど申し上げたそのG-CSFを使用したり、Th1が高い方にはタクロリムスを使用するっていうのも流産を防げる治療だとは思います。
 あと、最近聞いた話ですと、慢性子宮内膜炎がある方に高頻度に流産を起こしているという報告もあったので、流産を繰り返す症例については一度、慢性子宮内膜炎について見ておくのも一つかと思いますが。

小柳: 流産の仕方にもよるんですけど、割と気付かない間に心拍が止まってた、とかはもちろん一番多いのは染色体異常だし、あとは不育症といって血流があまり赤ちゃんに届かなくて、それで止まっちゃうということもあると思うんですけど、急に破水したりとか、急に塊が出ちゃったりとかっていう場合は結構、炎症が原因になってることがあって。産科にいたときは結構、そういう経験があったので。
その頃はあまり慢性子宮内膜炎という概念が無かったのであまり検査したりもしなかったんですけど、今考えると結構それが妊娠前から、子宮の中に炎症があったんじゃないかなと思っていて。というのは、結構繰り返すんですね、そういう患者さんって、同じように。なので、今、不妊じゃなくても、やっぱりそういうことが一回でもあれば、子宮の内膜炎の検査はしておいた方がいいかなと思います。

西村: 小柳先生と小山先生には2週にわたってお話を伺いました。特に今週は「着床不全に対するさまざまな治療の工夫」と題してお二人にお話を伺ったんですが、最後に、お二人からぜひリスナーの皆さまへメッセージを頂戴したいと思うんですが。まずは小山先生、お願いいたします。

小山: 不妊治療をずっとしていて、妊娠できる方ってのは本当にすぐ妊娠ができるんですけれども、できない方ってのは本当にできないんですね。そのときに、ただ同じ方法で繰り返すよりは、いろいろできる検査を全てやって、できることは全てやるっていうスタンスで臨んでいただくと妊娠率も良くなる、と私は思っています。

西村: はい。そして小柳先生、お願いします。

着床の総合点はいつも少しずつ変化している

小柳: そうですね。だから、着床に関する因子は本当にいろいろあるんですけれども、一度着床している、出産とか流産とか関わらず、着床しているからといって大丈夫とは限らないというか、日付の問題でもそうですし、炎症の問題でもそうなので、若い頃は卵が良かったからうまくいってただけ、というようなことも結構あると思いますので、なかなかうまくいかない場合は考えられるものは全部当たって、できる検査は全部やるっていうのが、妊娠後の順調な経過にもつながると思いますので、そういう考えが重要かなと思います。

西村: お話を伺って思ったのは、やはり1人目を妊娠するときの治療のタイミングと、それからまた数年後に2人目をって考えたときの治療も、その時代によって検査方法や、もしくは患者さんの年齢も、そうやってどんどん移り変わっていくじゃないですか。なので、そのタイミングによって毎回毎回、いろいろ先生と細かくご相談や、治療方法の方針とかを伺っていくのがすごい大切かなっていうのを私自身は感じたんですけど、先生方もその辺りはどうお感じになりますか?

小柳: 医学もどんどん進歩していて、アイジェノミクスさんの検査もそうですし、どんどん新しい検査もできてきているので、新しい治験に常に目を向けながら、患者さんとともに取り組んでいくっていうのが大事ですよね。

小山: はい、そうですね。

西村: それでは、2週にわたってお話を伺いました。東京HARTクリニック、小柳由利子先生。そして六本木レディースクリニックの小山寿美江先生でした。先生、ありがとうございました。

(二人): ありがとうございました。

西村: アンディさん、来週なんですが。

アンディ: はい。

西村: トシさんとご一緒に、この人形町にございますアイジェノミクスの本社からお届けしたいと思っております。来週のテーマなんですが。

アンディ: はい、「ERA検査と他社の模倣検査」というテーマなんですけど、要はそのコピー品がちょっと出てきて。それについて話そうと思ってます。

西村: はい、ぜひお話伺っていきたいと思います。

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