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Vol 75:ERA検査 導入の決め手と導入後の感触

Tiempo de lectura: 2 minutos

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。

番組情報

放送分:2019年10月6日放送分
ゲスト:亀田IVFクリニック幕張 院長 川井 清考先生
テーマ:「ERA検査 導入の決め手と導入後の感触」
番組を聴く:

番組内容

FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのサイエンティフィックアドバイザーであり、工学博士のトシさんです。トシさん、よろしくお願い致します。

トシ: よろしくお願いします。今日は亀田IVFクリニック幕張にお邪魔をして、院長、川井清孝先生にお話を伺います。今日のテーマは「子宮内膜の着床能検査 ERA検査」についてです。

西村: そして今日は亀田IVFクリニック幕張よりお届けをさせていただきます。院長の川井清孝先生にお話を伺います。川井先生、よろしくお願いいたします。

川井: よろしくお願いします。

西村: なんか、あれですよね。トシさんとは結構こうお話しされる機会とか、お打ち合わせだったりとか、頻繁に多いんですか? 川井先生。

川井先生とトシさん

川井: はい、そうですね。当院でもERA検査を比較的早い段階から導入させていただいておりまして。
やはりまあ、どうしても解釈が難しい部分などもありますので、そういう部分はトシさんに連絡するとすぐ、サイエンティフィックアドバイザーとしてコメントをいただけますので。
そういう意味では付き合いも長くなってきました。

西村: なるほど。

トシ: 恐れ入ります(笑)

西村: さて、川井先生。ぜひクリニックのご紹介を皆さんにお願いできますか?

川井: はい。亀田IVFクリニック幕張は、亀田総合病院医療法人鉄蕉会の一つのブランチとして、2016年5月にこちらの方にオープンいたしました。
 もともと2005年から亀田総合病院、鴨川市の方では不妊治療を生殖医療科という形で展開をしてきていたんですけれども、やはりがんの卵子を凍結するような患者さまであったりとか、後はどうしても難治性の不妊の患者さま、合併症不妊の患者さまなどを対象とするという意味で、少し幅広く、遠方から来られる患者さまが増えてきましたので、こちらの方で外来を行っております。

西村: 先生はもうこの業界、何年ぐらい?

川井: 今でちょうど10年目ぐらいです。

西村: なるほど。じゃあその10年間でもだいぶこう医療の進歩とか、まさにERA検査もそうだと思うんですけども、お感じになることは多々、多々ありますか?

川井: はい、そうですね。われわれ、入った当初からいろんな、ちょうど変わり目に入ってきていて。
ちょうど去年でIVFが始まって世界で40周年なので、今年で41周年という形になるんですけれども、ある程度治療としては頭打ちと言われていた中で、日本の中で、今まではこの後受精卵で行っていく胚の染色体検査というものがもう唯一の、この後の日本で言うと革新なんだと言われていたんですけれども、ただそれ以外の、このERA検査であったりとか、新しい遺伝子検査、あとはそれに対する治療の組み合わせ。こういう部分に関してはどこにどういうふうにコンビネーションしていくかってことが患者さまの治療の手助けになってきますので、そういう意味ではここ最近もやはり大きい進歩は多々あるのではないかな、と思っています。

西村: さて、ERA検査について、ここで。

ERA検査について

トシ: ええ、これはもう私の方から。この番組では何度もご説明させてもらってますが、改めてERA検査について説明させていただきます。
 この検査は、子宮内膜の着床能を見る検査という名前を付けている訳ですが、そもそも女性の子宮内膜には着床の窓と言われる概念があって、胚移植をする際に胚を戻すタイミングを、いつ戻せば一番良いのだろうかというところ、つまり着床の窓を、このERA検査を使って見つけることができます。
 これを弊社アイジェノミクスがパテント、特許を取って開発したものなんですけれども、2016年からようやく世界に広まりつつあり、ようやく今。今年2019年になって本格的に世界で広まっているような状況であります。

西村: そして、先生には引き続きなんですがこのERA検査を導入されたきっかけをぜひ教えていただきたいんですが。

着床の時期にゆらぎが生じるとは

川井: はい。ERA検査を導入したきっかけというのは、やはり患者さまの妊娠というところに。どうしても患者さまを妊娠させたいという強い思いの中から、何かできることは無いんだろうか? ということが一番初めになります。
 事の発端、一番初めなんですけれども、よくわれわれこの不妊業界にいると、卵を戻すタイミングっていうのがすごく大事だと言われています。
 一つは先ほどトシさんがおっしゃっていた着床する窓、期間ってものがあるっていう考え方と同時に、受精卵を外で培養する期間が長いと卵にダメージを加えてしまうので、年齢が高くなればなるほど初期胚の方が妊娠をしやすいんだよ、ということが都市伝説のように、昔から言われているんですね。
 実際、われわれも45歳、46歳の妊娠例を見ていくと、初期胚で妊娠される方も結構いらっしゃって。

トシ: ああ、そうなんですね。

川井: そういうこともあって、あ、それは都市伝説じゃなくて本当なんだなと思っていた時期があるんです。
 ただ、当院ではずっとデータというのはリアルタイムで解析を行っておりまして、分割期胚=初期胚と胚盤胞との流産率、妊娠率という部分を見ていくと、初期胚が決して胚盤胞に比べて流産率が低いとか、あとは胚盤胞になっている卵の方が年齢が高くなればなるほど妊娠率が低いということはまったく無いんです。

トシ: 無いんだ。

川井: むしろ流産率に関しては、決して分割期胚の方が低いということは無い、と考えていくと、実は長期培養、初期胚で戻すことが良い訳ではなくて、初期胚で戻すことによって着床の時期にゆらぎが生じるものがもしかしたら高齢者に関しては良いんじゃないかな、と思っていて。
よく、いろんなクリニックの先生が胚盤胞の卵を時期をずらして戻すと良い結果になる、ということをおっしゃっていたことがあって。そういう部分でここをどうにか、卵を2個使うんではなくて1個で良い時期に戻せないのかな、と考えたときに出てきたのがこのERA検査だったんです。なので、比較的速やかに飛びつきました。

西村: (笑)

「良いクリニック」とは

トシ: ありがとうございます。私、今ちょっと先生の話を聞きながら感じたのは、先生が東京医科歯科大学の方で研究された時期があるんですね。ちょっとラボの話を聞いたことがあるんですけれども、とっても厳しいラボなんですよ、本当の研究をされているところで。そこにいたってことはだいぶしごかれてるはずであって、言葉の節々にやっぱり先生は研究目線がすごく入ってるなと思います。今日はやっぱり話を聞きながら、面白いですね。

川井: いやいや。やっぱりわれわれ、これ治療していくと、クリニックの成績が移植あたり何パーセントですよとか、あとは、何歳でも最高齢妊娠しましたよって話は基本的にして。うちのクリニック、決してそんなに成績、アベレージと比べて低いってことはまず無いんですが、やはり当院のスタッフたちにも言ってるんですけれども、妊娠しない人からすると、他の人がどれだけ妊娠しようが、妊娠しない人からしたらそのクリニックは良いクリニックでは無いんですね。

トシ: そうですね。

川井: そういう意味で言うと、今の日本でできる医療であれば妊娠できる人に基本的に提供をする。あとは納得をしてもらう医療というものを基本的に行っていく、ということがわれわれのモットーとしてありますので。
そこがですね、やっぱりこのERA検査を導入しない訳にはいかなかった当院の理由かな、と思っています。

トシ: ありがとうございます。
先生。症例、こういった患者さんがいてERA検査を受けて、といったお話もいくつかいただきたいなと思いまして。

ERA検査後に妊娠した患者様

川井: はい。当院では、移植あたりの妊娠成績というのをもちろん出していますが、それと同時に出産に至った人が何回目の移植で妊娠をしてるかっていうデータも随時リアルタイムで更新をしているんですね。
そうなると、実は2回目までに妊娠をしない方っていうのが、9割以上何らかの介入をしないと妊娠をしていない。例えばこれは採卵で良い卵を採り直すこともそうですし、あとは例えば、他に今言われている着床を変えてあげるような治療ですね、そういうことをしてあげて妊娠をしてくる群が9割なんです。
 その中の、今一番大きいのがERA検査という形になってきています。特に、今まででやっぱり一番患者さんが泣き崩れたっていう症例があったのは、精子が無精子症でいなくて、それで、精巣の中の精子を採ってきた。1回目のときに採れた精子でトライをしたんだけどなかなか結果が出ない。それで、その精子を使い切った。2回目、もう1回精巣内精子を採った。それでも妊娠しない。それで、残った精子のあと1回分の採卵分の精子を持って当院に転院をしてきたってことがあります。

(二人): ああ。

川井: 転院をしてきて、それで実際その精子を使って顕微授精をするとやっぱり予定どおり胚盤胞にはなるんです。でも、今までもう5回戻して妊娠してないんです。それで、ERA検査の提案をしたんです。
 その方、新潟から通っていらっしゃってですね。ERA検査をやったらやっぱりずれていたんですね。で、ずれてるよ、と。でも患者さんは、今まで5回妊娠をしていない訳ですから疑心暗鬼なんです。それで、実際そのときに患者さまに言ったのは「ずれてるから十分可能性があるよ」って話をして。で、実際その方、1回目の移植で妊娠をして卒業です。

西村: はあー。

トシ: すごい。

川井: でも患者さんは、そのとき言われたんです。「クリニックを変えて良かったね」「変えて良かったです」。ご主人と新潟から来て「もう通うのが楽しみです」って言うんです。ただ、僕は決してそうあるべきではないと思っていて。医療ってのはやっぱり近くで受けて、それで同じ成績がどこでも出るっていうのが一番で。今回転院をしてきて妊娠した理由っていうのは、あくまでERA検査によって何が妊娠しない原因なのかが分かったってことが一番の、その人にとってメリットだったんです。
だから決してうちの転院が良かった訳ではなくて、うちに転院して良かったというのは、ERA検査を導入しているところに移ってきて良かっただけの話なんです。そういう意味では、やっぱりうちのERA検査をして妊娠をしている成績っていうのがもっとたくさんのクリニックに示していかなくちゃいけないのかな、と今思っています。

トシ: 先生、ありがとうございます。こうやってERA検査をしたことで本当にこう救える妊娠される方、ご夫婦がいるってことは私たちの会社としての願いでもあるし、存在意義でもあるので。こういう話、私たちとてもこれからの仕事をしていく糧になりますね。ありがとうございます。

西村: そしてね、患者の皆さまも情報をいろいろ探してたり、どうしていったら良いのかなって、まずは本当に身近な通えるクリニックの先生にご相談されながらやってらっしゃるところを、でもやっぱり、ご自身がお住まいのエリアを飛び出して、違う先生に何かこうご相談をしてみたいっていうお気持ちとね、それがこう叶ったっていうストーリーが今、聞いてると私も胸が熱くなるといいますか。

トシ: 本当、そう思います。

西村: でも、そのようにERA検査を導入されて実感されることが本当に日々、日々多いですか?

川井: そうですね。当院ではもうERA検査を導入してから100例以上の実績があって、それもどちらかと言うと初回でルーチンでやる訳ではなくて、反復不成功の患者さまに検査をしているということもありまして。まあ結構、きれいなデータが集まって来てますので、実際このERA検査の結果をわれわれが医療に生かす上でどう解釈をするかという部分も含めて、最近は提供できていると思っておりますので、少しでも納得しなければ、トシさんにいつもフィードバックをして。

西村: (笑)

トシ: そうなんですよ。先生からよく長いメールが届く(笑) すごい深いメールが届きます。それがあるから私たちは成長できる部分ももちろんあって、勉強できる部分があります。
貰ったメールを私の中でもちろん消化できないことも多々あるので、スペイン本社のERA検査を開発した担当と話しながら答えを導き出して、先生にフィードバックする。先生はそれに対してまたコメントをいただく。そのキャッチボールがいくつもあったりします。

西村: でも、そういうキャッチボールのスマートさもアクティブに、どんどん意見交換して?

トシ: そうです。やっぱり早くレスポンスしないと、そのメールを送ったときの考え方っていうのが時間が経つとまた変わってくるかもしれない。だから、早く返すことが大事だと思ってますね。
 来週も、この亀田IVFクリニック幕張の院長、川井清孝先生にお話を伺います。次は「医師と培養士との連携」について、これをテーマにしてお話を伺いたいと思ってます。よろしくお願いします。

川井: よろしくお願いいたします。

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