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Vol 92:着床前診断のメリットと注意点

Tiempo de lectura: 2 minutos

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「着床前診断のメリットと注意点」

番組情報

放送分:2020年2月2日放送分
ゲスト:着床前診断を推進する患者の会 阿形路子さんと山猫スズメさん
テーマ:「着床前診断のメリットと注意点」
番組を聴く:

番組内容

FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのサイエンティフィックアドバイザーであり、工学博士のトシさんです。トシさん、よろしくお願い致します。

トシ: よろしくお願いします。今日もスタジオに「着床前診断を推進する患者の会」の阿形路子さんと山猫スズメさんにお越しいただいています。
今日のテーマは「着床前診断のメリットと注意点」になります。

西村: さあ、今週も始まりました『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。「着床前診断を推進する患者の会」よりお二方、ゲストでご紹介させていただきます。阿形路子さん、それから山猫スズメさんです。よろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いいたします。

西村: 改めて、どんな会なのかというところと自己紹介を皆さんにお願いできますか? 阿形さん、お願いします。

阿形: 流産率の低下と着床率の向上を目的とする「着床前診断を推進する患者の会」をしております。設立から約2年半経ちました。入会者は1,000名を超えています。それだけ多くの人が着床前スクリーニングを必要としているということだと思います。
 現在の主な活動内容は、着床前スクリーニングに関する様々な情報をメールマガジンで配信したり、ホームページ内に「トークルーム」という会員限定の情報交換コンテンツを設けたり、日本産婦人科学会の集会の際には会員に向けて着床前スクリーニングの規制撤廃をお願いするビラの配布などをしています。その際、着床前スクリーニングに関する講演があった場合は、専門知識のある幹事が聴講をして最新情報を収集し、レポートを作成しています。
 最近では、治療に役立ててもらう目的で着床前スクリーニングに特化したアンケートを作成しました。現在は集計できたものからホームページに結果を載せているところです。こちらは不妊治療経験のある271名もの方にご回答いただいたもので、かなり細かく貴重なデータを取ることができました。アンケートにお答えいただいた方、どうもありがとうございました。

西村: ありがとうございます。さあ続いて、スズメさん。

山猫: 「着床前診断を推進する患者の会」の幹事をしております、山猫スズメと申します。不妊治療を経まして「着床前診断を推進する患者の会」の幹事をさせていただいております。PGT-Aも経験しております。
 また、アイジェノミクスさんとはERAEMMAALICE三姉妹のキャラクターデザインをさせていただきました。よろしくお願いします。

西村: まず、阿形さん。このFM西東京の妊活ラジオ、この番組もそうなんですけれども、1月にはNHK『ラジオ深夜便』にもご出演もされてるんですね。

阿形: はい、そうです。

西村: でもそれだけ、この番組もそうですけどトシさん、やっぱりメディアが妊活についてもっと発信する時代ってのがいま来てるのかなって。

トシ: ええ、そうですよね。

西村: 阿形さん、まさにもう発信の第一人者として、パイオニアとして。NHKさんもそうですけど、この番組でもぜひいろんなお話伺わせてください。

阿形: はい、ぜひよろしくお願いいたします。

西村: そして、患者の会の皆さんのご意見。いろんな質問が集まったということで、先週もいただいたコメントをご紹介したと思うんですけれども、引き続き阿形さん、そしてスズメさん。今週もコメントご紹介していきましょう。まずはどんなご意見ありますか、阿形さん?

阿形: アスカさんからいただいたコメントです。アスカさん、どうもありがとうございます。
 PGT-A特別臨床研究の検査に期待すること、ということで、PGT-Aが習慣性流産を防ぐ有効な治療法と実証されることで適用対象が広がることを望みます。
 現状の対象者は狭すぎて、染色体異常によって流産を繰り返す患者は何度も妊娠にトライすればいつか産める、と医師に言われます。その結果、3回も流産を繰り返し、心身は疲弊しきっています。

西村: ということなんですけれども、そもそもこのPGT-Aというものが、改めてどういうものかトシさん、解説をお願いします。

トシ: PGT-Aという検査は、体外で受精させた卵を胚盤胞期胚まで育てて、その胚盤胞期胚から5~10個ほど細胞を採取して染色体の数を調べます。これが普通は2本ずつありますので、2本ずつあるかどうかというのを調べて、もし1本少ないとか多いとかそういったものを判定した上で、移植に適した卵というものを選ぶ検査となります。

西村: そしていま、阿形さん、アスカさんからご質問があった件なんですけれども。

トシ: 流産を3回以上も繰り返したということですが、検査を受けるための基準がですね、今回の特別臨床研究ではだいぶ基準の方が下がっています。これまでは流産経験が2回以上というのがあったかと思うんですけども、今回の件では流産経験だけではなくて反復ART不成功、こういったものも含まれています。なので、以前よりは拡大した形になったと思います。
もちろん、まだまだもっと拡大してほしいです。本来であれば、海外のようにあるのが当たり前、やるのが当たり前という時代になるかもしれません。それは私たちもこの臨床研究を通して期待してます。

西村: さあ、続いてコメントをご紹介していきましょう。スズメさん。

山猫: はい。マッチャンさんからいただいたご意見です。マッチャンさん、ありがとうございます。
 実施全施設を一覧公表お願いします。きちんとした信用に足る臨床研究データが集まることを期待します。施設間、検査会社間の差をなるべく無くすための事前の対応はどうなっていますか? 費用についても基準価格の設定を希望します、とのことです。

トシ: ありがとうございます。まず、実施施設の一覧については、日本産婦人科学会のホームページの方でいずれ公表されるはずです。いま私が聞いている情報ですと、申請のあった施設を一気に全てをOKにする訳ではなくて、順次OKにしていく、と。なので、施設はどんどん増えていく形になるかと思います。ですので、定期的に更新されるのではないかなと思っています。
 それから、技術の方なんですけども、実は検査会社、今回の臨床研究に対して10社、手を挙げています。日産婦の方からも認定される訳なんですけれども、日本産婦人科学会としても検査会社の技術を一定以上にしたいと思っている、と。
実は去年、検査会社だけ呼ばれて数時間のミーティングを持った訳ですが、その中で私たちがその学会の先生から学んだのは、検査をしていく中での検査会社のクオリティーを上げるために、ぜひみんな一緒になって協力してください、という話がありました。検査会社としてもやはり今回、この研究の中で患者さまがこの検査を通してデメリットがあっては駄目だと思います。ですので、検査会社としても、学会は懸念点としてはそこはちゃんと検査会社のレベルを上げようというのを取り組んでいます。

山猫: 先ほどのマッチャンさんからの質問で、実施施設の一覧の公表。こちらは公表されるということだったんですけれども、これは産婦人科学会のホームページにアクセスすると分かるようになる、ということなんですか?

トシ: はい、私たち検査会社、去年の暮れに日本産婦人科学会のPGT-A特別臨床研究の小委員会に呼ばれて実際話を聞いたら、この認定施設、ちゃんとホームページで公表するとおっしゃってました。

山猫: そうなんですね。

トシ: 逆に、検査会社の方も公表する、と。

山猫: あっ、検査会社も公表していただける、と。

トシ: 両方出す、と言っていたので。これはまだホームページに、私も見られませんが、公表されるはずです。

山猫: そうなんですね。患者さんが検査会社を基準にクリニックを選ぶということも可能になってくるということですよね?

トシ: ああ、そういうことですね。おっしゃるとおりです。

山猫: 良かったです。

西村: さあ、引き続きそれではコメント、阿形さん。いただいたコメントご紹介いただけますか?

阿形: はい。ネムイさんからいただきました。コメントありがとうございます。
 不妊治療のブラックボックス、例えば精子のことをもっと気にしなくて良いの? そのオプションいるの? グレードって見た目だけだけど、本当に大丈夫? など、そういうブラックボックスを開ける唯一の手段だとPGT-Aに期待しています、ということです。

トシ: そうですね、まず精子についてなんですけども、これはまず、旦那さまの精子の質も検査しますよね。そのときに数が少ないとかそういったことがあれば、それはまず疑わなきゃいけない点になります。
ただ、もし精子の数であったり奇形なかたちのものであったりとか、そういったものが無いのであれば、今回のPGT-Aに関しての旦那さまの方の精子のことについてはそこまで気にしなくても良いと言えます。
理由は、実は染色体異常の数の異常というものは卵子ができてくるときに起こることなので、精子の方はまず見ません。

阿形: あ、そうなんですね。精子も半分だと思っていたので。精子も関係あると思っていた部分があるんですが。

トシ: 実際には、PGT-Aに関して染色体の数に関しては、まずは精子の方は一般的には見ないのが。

阿形: 卵子が全てなんですね。

トシ: はい。卵子ができてくる過程で過不足が起きてしまうというのが分かっております。なので、精子は数が少ないとやっぱり何かしら異常があるとなって、精子の方を調べていくと染色体の数の過不足があるんですけれども、たくさん普通にあればまあ、まず大丈夫、というふうに見ます。もう一つあったのが。

阿形: グレードって見た目だけだけど、良いの? っていう形ですね。

トシ: これ、グレード。これはとても大事な面もありますけども、やはりそれだけでは染色体の数が分からないってことが問題となっている訳で、このPGT-Aが出てきています。
でも、グレードももちろん大事です。なぜなら、胚盤胞期胚のまわりにあるTEというこの細胞が何になるかと言うと、胎盤になる部分です。なのでグレードはそのTEが十分にあるかどうか分かります。あと、ICMと言われる、将来赤ちゃんになる部分の細胞ですね。これの方ももちろんある一定の形、量が無いとですね。
その点では、やっぱりグレードは大事だというふうに見ます。ただ、それと、染色体の数というのが相関しないのが問題なので、数も合っていて形態も良い、というのがもちろん一番良い、となります。

山猫: やっぱり確率として高いのはグレードの良い卵になってくるということなんですかね?

トシ: いえ、これは、分からないんです。

山猫: そうなんですね。

トシ: 調べた研究があって。決して見た目がきれいだからだといって正常とはならない。が、分かっています。

阿形: 私も一番グレードが良い初期胚だったんですけれども、それを移植したときに流産しまして。胎児の染色体異常を調べました。そしたらですね、7番と13番のトリソミーということが分かりまして、本当にグレードだけでは流産するかどうか、産まれてこれる胚かどうかは分からないんだな、ということを実感として体感したので、やはりPGT-Aが必要だと感じましたので、一日も早い認可をお願いしたいと思っております。

トシ: まさにそのとおりだと思います。だいぶ昔の研究ですけれども、形態では分からないというのは言われてました。

阿形: そうなんですね。
あと、ネムイさんからですけども、不育症なのか染色体異常なのか、流産で痛い思いをするまで分からないのはおかしくないですか? ということもコメントとしてあったんですが。

トシ: いやあ、ありますよね。私たち外資系の会社ですので、日本でできていないということは、海外の支社から見るとやっぱり変に思われます。まだ日本はできないのかって、会うたびに言われます。
でも、それがようやく始まれば、ちゃんとそういった何が問題で、何が問題では無いのかを切り分けして、ちゃんと治療が進められるので、そういった方向に早くなってほしいなと思います。

山猫: そうですね。

阿形: いまだと、卵の老化で切り捨てられる部分がクリニックによってはあるかな、と思うんですね。それがPGT-Aをすることで、この卵の染色体異常が駄目なのか、それとも着床障害、不育症があるから駄目なのかという、どんどん本当の原因に迫れるところが期待するところかなと思います。

山猫: そうです。私、アイジェノミクスさんでされてるERA検査を受けて、着床の窓が遅かった人間なので。そういった検査も合わせて受けたことによって成功しているので、やっぱり大事だなと思いますね。PGT-Aと合わせてそういったところも分かるっていうのは。

トシ: 私たちも思うのは、一番近道で、もちろん費用はかかるかもしれないけども、短期間でお子さんを授かるってことが大事だと思っています。だから、そのための必要な検査として、その着床障害の問題なのか、不育症なのか、それとも着床の窓がずれているのか、それとも染色体の異常なのか。そういったあたりを見てから移植になれば一番良いんじゃないかな、と思います。

西村: さて、お時間となりました。今日はアイジェノミクス・ジャパンのトシさんと、「着床前診断を推進する患者の会」の阿形路子さん、山猫スズメさんと一緒にお届けしました。トシさん、いろんなこういうコメントいただけて。

トシ: ありがたいですね。

西村: 言葉をね。

トシ: 本当に、こういう点を気にしてらっしゃるんだ!というのが、どういう情報をクリニックの先生に伝えていけば良いのか、よく分かります。

西村: ぜひ来週も引き続き、疑問のこと。ぜひトシさん、お答えをよろしくお願いします。

トシ: よろしくお願いいたします。

西村: それでは来週、同じ時間にお会いいたしましょう。

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