ERA検査の成功率はどのくらいか?この検査を受けるべき?
体外受精(IVF)を何度も繰り返し行ってもなかなか着床妊娠へとうまくいかないと、自分に何か原因があるのではと自分を責めたり本当に辛い想いをされていることでしょう。そういった患者様のなかには、胚の染色体の異数性を調べる着床前スクリーニング(PGS)を利用したことがある方もいるかもしれません。
PGSは胚の染色体の数を調べることで、医師が移植に適した正常な胚を選別することができます。染色体数が異常な胚と比較すると、正常な胚を移植した方が健常な赤ちゃんが生まれる可能性がより高くなります。しかし、妊娠が成功しない理由が凍結胚移植のタイミングであった場合、PGSではそれを特定することは困難です。
子宮内膜着床能検査(ERA)と呼ばれる新しい検査を耳にしたことはあるでしょうか。
ここではERA検査の成功率についてお話しさせていただきたいと思います。もしかするとERA検査はあなたが抱えている問題を解決することができるかもしれません。
目次
子宮内膜とはなにか。子宮内膜とERA検査の成功率との関係性とは?
ERA検査とその成功率を理解してもらうために、まずは子宮内膜について知る必要があります。
自然妊娠あるいは不妊治療による妊娠であっても、子宮内膜について知れば妊娠においてタイミングというものがいかに重要かを理解することができるでしょう。
子宮内膜とは子宮を覆う組織で、受精卵が着床する重要な場所です。その子宮内膜では妊娠を成立させるにあたって受精卵を受け入れる時期や時間が決まっており、これを「着床の窓」と呼びます。Dr. Carlos Simonによると、この個人の着床の窓が、IVFを成功させるのに非常に重要です。着床の窓には個人差があり、個別的な子宮内膜の着床能の違いが、まさに前回成功しなかったIVFの周期で見逃していたことかもしれません。
これこそがERA検査
ERA検査が開発される前は、医師は超音波で子宮内膜が厚いか薄いかを観察することしかできませんでした。一方で、ERA検査は受精卵を移植する最適な時期や時間を教えてくれます。これこそがERA検査の成功率を高める理由なのです。
ERA検査は次の胚移植の最適な時間を決めることができ、ほんのわずかな子宮内膜組織のサンプルで遺伝子検査を行うことができます。
ERA検査はどのようにして行われるのか?
ERA生検検体は次のIVFまたはFET周期前の偽胚移植周期に採取します。次に、その生検検体は子宮内膜着床能に関係する248個の遺伝子発現プロファイルを分析する研究所に送られます。そのプロファイルに基づいて、以下の3つの時期に分けられます。
- 受容期前:子宮内膜が胚を受け入れる準備ができておらず、この時期の移植は理想的ではない。
- 受容期:採取された子宮内膜組織検体がFET周期に胚移植するのに最適な時期である。
- 受容期後:子宮内膜が最適な胚移植の時期を過ぎてしまった。
結果がでたらすぐに、不妊治療の担当医に結果が送られます。担当医はその結果をもとに子宮内膜が胚移植できる受容期のときに胚移植のスケジュールを調整します。
ERA検査の成功率はどのくらいか?この検査を受けるべき?
ERA検査の結果に従って、個別的な胚移植を行えば、ERA検査の成功率は妊娠率を73%まで向上させることができます。つまり、これまで良好胚を持っているにもかかわらずIVFがうまくいっていない経験をお持ちなら、ERA検査を受けるべきかどうか医師に相談する価値があるということです。
ERA検査の対象者は以下のような方々です。
- 2回以上胚移植が成功していない方
- 子宮内膜に問題がある方(例:子宮内膜が薄い)
- 良好胚を移植しても着床しない方
- 生化学的妊娠(化学流産)をしたことがある方
もし、胚移植の失敗を経験したことがなかったり、以前にIVFを行ったことがないなら、ご自身の子宮内膜着床能について考えるのは少し早いかもしれません。しかし、このERA検査について興味がある場合は、気軽に担当医師に尋ねましょう。
なぜ妊娠できないのか、その理由を見つけ出すのは険しい道となるでしょう。しかし、幸運なことに、医師とのコミュニケーションや医療チームによるサポート、そしてPGSやERA検査のような様々な生殖医療技術を通じて、ご自身にとって有益な情報を得ることができ、妊娠へと導いてくれる選択肢はあるのです。
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