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Vol 15: 遺伝子疾患保因者検査の現状と将来

Tiempo de lectura: 1 minuto
河内谷 敏 先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「遺伝子疾患保因者検査の現状と将来」。

番組情報

放送分:2018年4月15日放送分
ゲスト:神戸元町夢クリニック 院長 河内谷 敏 先生
テーマ:遺伝子疾患保因者検査の現状と将来
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術を紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさん。そして、技術責任者で、工学博士のトシさんです。それでは、アンディさん、トシさん、よろしくお願い致します。

番組内容

(二人): よろしくお願い致します。

アンディ: 今日は先週に引き続き、神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生にお越しいただいています。先生、今日もよろしくお願いします。

西村: よろしくお願いいたします。

アンディ: 先生、今日のテーマは?

河内谷: はい。今日のテーマは、遺伝子疾患保因者検査の現状と将来、というお話をしていきたいと思います。

(全員): よろしくお願いいたします。

西村: それでは、冒頭にもご出演いただきました今日のゲストの方、お越しいただいております。神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生です。先生、よろしくお願いいたします。

河内谷: よろしくお願いいたします。

西村: さて、今日まさに今。目の前で私、ホームページを拝見させていただいております。神戸元町夢クリニック、ぜひ皆さんもご覧いただければと思うんですが。先生のプロフィールがいろいろ並んでおります。てんびん座、O型(笑)とか、こちらにいらっしゃる先生方のこういったプロフィールも載っているので、すごく親近感がわきながら私、拝見してますけれども。野望のところにラジオのDJって、先生書かれてらっしゃいますけど。

(一同、笑い) 

河内谷: 子どものころ、ラジオを非常によく聴いてて。それで、電話をかけたりして。電話で出演したりしたこともあって。非常にラジオ業界は憧れがあったので、今日、ついに野望がかなったかな、と。ありがとうございます。

西村: いえいえ。今日もよろしくお願いいたします。そして、この先生の神戸元町夢クリニックなんですが。先生のこのクリニックならではのポイントっていうのはあるんですか?

河内谷: そうですね。私たちのクリニックは主に体外受精を中心とした不妊治療のクリニックなんですけども、体外受精のときは卵子を採ってこなきゃ駄目なんですけど、採るまでのやり方、排卵誘発をほとんどしない、と。何も薬を使わない自然周期、あるいは非常に少ない薬剤の量で済む低刺激周期ということに特化して、なるべくお体に負担がかからないような形にして体外受精を進めていこうと、それを一番のモットーとしております。

西村: ありがとうございます。さて、今日、アンディさん。

アンディ: これも4月の初回の放送で話したんですが、単一遺伝子疾患の検査のお話になります。単一遺伝子疾患というのは、一つの遺伝子の中で変異が起きれば疾患に。すぐにはかかりませんが。例えば染色体は2本あるのですが、そのうちの1本だけ異常があっても病気にはなりません。これを劣性遺伝病といいます。ただ健常ではありますが、保因者になります。英語ではキャリアという言い方です。片方の親だけキャリアだったら子どもは病気にはかからないのですが、両方保因者だったら劣性遺伝病の場合だと4分の1の確率で子どもが病気になるんです。保因者かどうか、健常者だったら自分では気付かないです、まず発症しないから。ですから検査をして、自分がそういう変異を持っているかどうか。それから相手の、例えば自分の妻や夫が同じ変異を持っていれば子どもはそういった発症のリスクがある、というのがわかるんです。そのような検査は非常に大事で、海外ではそういった卵子提供や精子提供のマッチングにも使われるんです。もう結婚している夫婦にもまずスクリーニングしていただいて、それで子どものリスクも知ることも大事だと思います。

西村: 先生、この卵子提供。マッチングについて皆さんにご紹介いただけますか?

河内谷: はい。卵子提供というのは何らかの理由で自身の卵子で子どもを作るとかできない場合。分かりやすい例で言えば、卵巣の手術をしてしまって卵巣を取ってしまったとか。あるいは年齢が非常に高くなって、もう排卵しなくなってしまった。あるいはそういった方の場合はもう子どもを作るのを諦めなければいけないんですけども、どなたか卵子を提供してくれる方がいらっしゃれば、その他の方の卵子とご主人の精子を使って体外受精をする、と。それでできた受精卵は患者さんご自身の子宮に移植をして、それでご自身でご出産されるというような、普通の不妊治療とはちょっと変わった毛色になります。日本ではまだ許可はされていません。

アンディ: 海外では、どこが一番?

河内谷: きちんとした規制の中で行われているのは、私が知る限りではアメリカの一部の州。州単位で許可されてる州と、許可されてない州があります。

西村: じゃあ、まだこれを認可しているところってのは本当、少ないんですね。

河内谷: そうですね。倫理的な問題ですとか、あるいは社会的な問題。実の遺伝的な親と、実際生む親というのが別になってきますから将来、親権がどちらになるのかとか、そういうような問題が発生する場合があるので、安易に行うことはやっぱりできないので一部の国でしか許可はされてないんだと私は考えております。先ほどアンディさんの方からキャリアジェネティックテストについてご紹介ありましたけども、日本語でいうと非発症者の保因者診断という形になると思います。なかなか日本ではまずなじみの無い検査だと思います。どういう方が対象になるかというところなんですけど、まず、先ほど単一遺伝子疾患というお話がありますけども、単一遺伝子疾患の中で常染色体劣性遺伝の遺伝様式、あるいはX連鎖型の劣性遺伝の疾患を対象とした検査になると私は理解しています。それで、適応となる方としては、そういう保因者のリスクがありうる方ですよね、だから例えば、今言ったような遺伝形式の疾患が家族の中でおられる方ですとか、あるいは、こういった疾患っていうのは比較的民族とか地域によって偏りがあるので、そういう地域の方と結婚される、あるいはその国の出身の方であるとか。そういうご心配がある方。例えば海外ですと嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)ですとか、あとサラセミア、あるいはテイ=ザックス病なんていう疾患がこういうものにあるんですけど、日本人にはほとんど無い非常に珍しい疾患です。逆に日本人に比較的多いような疾患もあるので。例えば国際結婚される方で心配とか、そういう方が適応にはなってくるかなとは思います。あるいは、いわゆる近親婚をされている方についても、通常の、まったく赤の他人に比べるとこういった疾患の発症率が高くなるというような疫学調査もありますので、そういう方の事前のスクリーニングの検査に、まあ倫理的な問題は別として、そういうことのリスク判定には使用できるのかなと考えております。

アンディ: 先生、先ほど海外でよくみられる単一遺伝子疾患の説明をされたんですが、日本ではどの疾患が一番よく見られますか?

河内谷: 私が知ってる限りでは、筋ジストロフィーの中での福山型というものは、日本人でも珍しい疾患ですけども、海外ではほとんど認められないというような疾患のようです。そういった疾患ですとか、あるいはX連鎖型の劣性遺伝である血友病も比較的日本では頻度が高いのかな、というふうに思います。

西村: 「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~」。先週に引き続きまして、ゲストは神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生でございます。先生、後半もよろしくお願いいたします。

河内谷: よろしくお願いいたします。

松岡: 先生、私の方からこの保因者検査の、弊社が提供してます検査方法について簡単にご説明させていただきます。実際、検体としましては、クリニックさんで採っていただくのは採血した血液ですね、ご夫婦の血液。もしくはもう個人で、クリニックを介さず言っていただければ口腔内、口の中の粘膜を採る綿棒をお送りするので、そちらを採っていただければ弊社の方でDNAを精製して、そちらの方からこの検査を調べます。だいたい2週間から3週間ほどで検査結果が出てきます。その際、私たちの方のマッチングのソフトが、弊社の独自のものがございまして。4,000の遺伝子の変異を奥さまと旦那さまとマッチングをして、どの遺伝子変異がぴったりマッチングするのか、というソフトがございます。それをもってこういった遺伝子疾患になりうる可能性がありますよとか、そういったお話なんですけども。こういったものは弊社ではマッチングソフトってものを使ってるんですけども、海外の施設でドナープログラムに参加する人たちの中のマッチングってどういうふうにされてるのだとか、そういった情報とかありますか?

河内谷: 具体的には、日本人の患者さまですと、奥さまの卵子の代わりに海外へ行って卵子提供を受ける、と。その場合、ご主人の精子と提供者の卵子の間で保因者検査をすることが、私が知る限りアメリカでは一般的に行われていると思います。ですので、ご主人については一度渡米することがほとんどなんですけど、渡米したときに今回のようなジェネティックスクリーニングの検査を受けられている、と。まれにですけど、この疾患が引っかかってますよっていうような報告を受けることがあるようです。もちろん保因者ですので、ご主人は発症していませんけど。

松岡: なるほど。やっぱりそういうケースがあるんですね。

アンディ: 先生、この検査は非常にパワフルな検査ですね。同時に600以上の種類の疾患のスクリーニングができるんですけども、ただその、何か懸念する材料があるんですか?

河内谷: この検査を、例えば何も心配なことが無い方がこの検査を受けて、それで疾患の無い完璧な子どもが欲しいから自分の配偶者を選ぶというような、ちょっと本来の趣旨とは外れたような使い方をされる心配も、僕は個人的にはしています。本来、好きになって、結婚して子供ができるというのが自然な形だと思いますけども、あらかじめ配偶者の候補者を何人か選んでこの検査を受けてもらって、大丈夫っていう人と結婚するとかね。そういうことも理屈的には可能にはなるので。そういう使われ方はちょっと心配かな、と考えております。

アンディ: 先生、もう一つ質問させてください。もしこの検査、もう結婚してるカップル、両方検査して同じ変異を持っている場合。どのように避ければいいんでしょうか?

河内谷: これは技術的には着床前診断を用いることによって、検査で引っかかっているような単一遺伝子疾患についてはほぼ事前に知ることができると思います。実際海外では、そのようにして疾患の無い受精卵を選ぶようなこともされていると聞いております。

アンディ: ありがとうございます。

西村: 河内谷先生。最後に、リスナーの皆さんにメッセージいただけますか?

河内谷: はい。私たちは、一人でも多くの方がお子さんに恵まれるように日々頑張っております。当院、365日営業しておりますので、土曜、日曜、祝日、お正月関係なく開いておりますので、もしいろいろ困っていることとか、どんな小さなことでもいいですから、ご心配なこと、ご相談されたいことがありましたらホームページをご覧になって、来院していただければありがたいと思います。本当にどんなに小さなことでも構いませんので。よろしくお願いいたします。

西村: 二週に渡ってゲストでご出演いただきました、神戸元町夢クリニックの院長、河内谷聡先生でした。先生、ありがとうございました。

河内谷: どうもありがとうございました。

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