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Vol 22:着床前診断 その1『単一遺伝子疾患について』

Tiempo de lectura: 1 minuto
アンディさん、中岡 義晴先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「着床前診断 その1『単一遺伝子疾患について』」。

番組情報

放送分:2018年6月3日放送分
ゲスト:IVFなんばクリニック 院長 中岡 義晴 先生
テーマ:着床前診断 その1『単一遺伝子疾患について』
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術を紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日はスタジオに、大阪からIVFなんばクリニック院長の中岡義晴先生にお越しいただいております。先生、今日もよろしくお願いします。

中岡: よろしくお願いします。

アンディ: 今日のテーマは、着床前診断 その1『単一遺伝子疾患』についてお話をいただきましょう。

西村: それでは今週もよろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

中岡: IVFなんばクリニックの院長の中岡です。よろしくお願いします。

西村: よろしくお願いいたします。先生、IVFなんばクリニック、場所はどちらにございますか? ま、なんばと言っていますが。

中岡: 場所は大阪市の西区、南堀江という、FM大阪があるところの近くで。近くには道頓堀、非常ににぎわってるミナミの中心地にあります。クリニックのスタッフは職員が120名ぐらいで、医師は9人。うちの特徴としましては、着床前診断や不育、着床障害、あとは卵管を手術をせずに治していく卵管鏡下の卵管形成術。それともう一つの特徴が、西洋医学で不妊治療を治そうということだけでなく、やはり個人が持つ妊娠の力を高めていくという、そのような統合医療を加えて妊娠しやすくするような体質づくりに取り組んでいるというところが特徴です。

西村: 先生、今日は大阪からこのFM西東京がある西東京市にお越しいただいたので、ぜひ先生ご自身のこともお伺いしたいんですが。中岡先生がこの分野の世界に入られたきっかけってどんなところなんですか?

中岡: 私は大学のときに卵子の染色体を研究してました。その卵子の研究から不妊治療に興味を持って、今はこの着床前診断に非常に興味を持って診療にあたっているというところです。

西村: なるほど。今日のゲストは大阪からお越しいただきました、IVFなんばクリニックの院長、中岡先生でございます。さてアンディさん、今日のテーマですが、もう一度皆さんにお知らせください。

アンディ: 今日のテーマは着床前診断 その1『単一遺伝子疾患』について先生からお話をいただきます。先生、着床前診断というのは二種類あるかと思うんですけども、一つはPGSと言われているスクリーニングの方ですね。診断よりスクリーニングという意味で、これも別の先生からもお話をいただいたことがあるんですが、今日は先生からPGD、着床前診断についてお話をいただきたいと思います。まず先生、PGDというのはそもそもどういうものなのか、簡単に皆さんに紹介していただけますか。

中岡: PGD、着床前診断のことなんですけども、今はPGT、着床前テスト、検査っていうことに名前が変わろうかとしてますが、今回はPGD、着床前診断でお話をさせてもらいます。受精卵、胚の細胞の一部を取り出して、そこから染色体とか遺伝子を調べる検査となります。その異常の無い胚を子宮の中に戻していって、流産とかその遺伝病を防ごうという検査です。この最近の話題となってます着床前スクリーニングというのは、偶然に起きる染色体を調べる検査ですが、今回お話ししてるのはご夫婦に何らかの遺伝的な素因を持たれている、そのような方に対して行うという検査で、日本産科婦人科学会で承認を受けて初めてできる検査となります。このような方法ができるようになったのは体外受精の技術が上がってきたことと、遺伝子とか染色体の解析技術が進歩したため、ということになります。

アンディ: 先生。今、日本の現状を少し説明していただきたいと思うんですけれども。例えば国内で実施してる施設ですとか、あとは規定ですとか、学会のガイドラインですとか。どのような人が対象になるかというようなことについて、もうちょっと説明いただけますか。

中岡: 着床前診断も、もともとは遺伝病から始まりました。2004年に初めて日本で承認を受けて始まって、2006年に染色体の構造異常、転座とかですけども、による習慣流産の方が適用に加わっております。実際どれぐらいの施設でされてるかは分かりませんが、おそらくは承認を受けている施設は20施設程度になろうかと思います。その適用ですが、遺伝病に関しては重篤な遺伝性疾患となります。重篤な、ということは成人、大人になるまでに通常の日常生活がもう送れなくなるとか、それまでに亡くなっちゃうというふうな、そのような遺伝病の方とかが対象になってくるということになります。その着床前診断の承認に関しては、この病気だから絶対に大丈夫、というんじゃなくて、同じ病気でもその症状の出方が全然違いますから、症例症例、その方その方を申請して初めて承認が受けられるということになります。もう一つの染色体に関しては、転座という染色体の一部が変わってる、そのような異常によって流産が二回以上繰り返されるような場合が適用になります。これに関してはまた後でお話しさせていただきたいと考えております。

アンディ: 先生、先ほど重篤な疾患とおっしゃったんですが、日本で代表的によく見られる症例というのは? どのような疾患がよく申請されて、診断されるんでしょうか?

中岡: 主なものとして、神経筋疾患です。一番多いのがデュシェンヌ型の筋ジストロフィー。その次に多いのが、筋強直性のジストロフィー。このように筋肉と神経の疾患で寝たきりになってしまうという、そのような病気がやっぱり多いということになります。

アンディ: これは遺伝的に日本が特に多いという訳でしょうか?

中岡: そうですね、やはり日本での罹患(りかん)率というか、その持たれてる率がやっぱり海外と比べて多いということになります。遺伝病の特徴は、日本で多い病気が海外では少なかったり、海外で多い病気が日本では少なかったりということで、必ずしも同じではないということになります。

西村: 「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~」。今日は大阪から、IVFなんばクリニック院長の中岡義晴先生にお越しいただいております。先生、後半もよろしくお願いいたします。

中岡: よろしくお願いします。

アンディ: 先生、このPGDは学会のガイドラインで厳しく規制されていると思うのですが、どのような手続きをして検査までできるんですか?

中岡: 日本産科婦人科学会の方に承認を受けないといけない、ということになっています。きっちりしたその決まりがあります。まず第一に、その施設で十分な遺伝カウンセリングができるかどうか、ということです。臨床遺伝専門医であるとか、認定遺伝カウンセラーとかがいるような施設で十分な遺伝カウンセリングができれば一番良いということになります。その施設から第三者機関、自施設以外のところでも遺伝カウンセリングを聞いていただいて、そこで十分納得されると、次にその施設での倫理委員会がありまして、そこで承認を受けられれば、日本産科婦人科学会の方へ申請を行います。そこで承認ということになります。

アンディ: 認可まではだいたい申請からどれぐらいの期間でおりるんでしょうか?

中岡: だいたい、当院では初めて来られた初診時から承認まで半年から一年ぐらい、ということになります。

アンディ: 結構かかりますね。じゃあ、診断方法としても当然、体外受精する必要はありますよね。胚から細胞を取り出して検査をすることなので、当然生検する必要もありますよね。取り出して遺伝子解析して、例えば技術の限界とか、もしくは何かのリスクがあるのか、ちょっと教えていただきたいんですが。

中岡: 今回のこの着床前診断というのは、最初に申し上げましたとおり、胚から細胞を取り出すということになりますので、やはり胚には何らかの問題が起きてくる、と。影響が無い訳ではないというところが一番大きいということになります。取り出した細胞はやはり少ないですので、一細胞からせいぜい十細胞ぐらいですので、その少ない細胞からDNAを増やさないと検査ができないということになります。その増やしていく過程で、ばらつきができてしまう、というところ。それが診断のミスにつながっていくということで、羊水検査とかの出生前検査でありますと、そのDNAの増幅が、細胞が多いために必要が無いというところになりますので、着床前診断と出生前診断というのは、その精度が異なってくるということになります。着床前診断でも正常ということで戻した胚も、やはり出生前診断で確かめていく、ということが必要となってくるんじゃないかと考えております。

アンディ: 先生。ちょっと時間の関係で、最後に。先生のところで実際に見た、今日のテーマの単一遺伝子疾患の症例を少し紹介していただけますか?

中岡: 当院では今、10例ぐらい単一遺伝子疾患の着床前診断を申請しております。2016年に初めて承認を受けて、それはX連鎖劣性遺伝病の副腎白質ジストロフィーという疾患に対して承認を受けております。今はデュシェンヌ型の筋ジストロフィーであるとか、筋強直性のジストロフィーだとかを承認を受け、また今後は遺伝性のがん腫瘍であります網膜芽細胞腫、そのようなところにも適用を広げていただけるように日本産科婦人科学会の方に申請をしております。あと、私の方から、このような遺伝性疾患に関してお話ししたいことは、やはり出生前診断だと妊娠の20週ごろの診断、しかもその段階での中絶ということになりますので、ぜひそういうのは無くなるように、女性にとっても非常に、婦人科医にとっても非常につらい決断になりますので、そういうことは避けたいと思ってこのような着床前診断を行っている、というのが現状です。

西村: さて、お時間となりました。今日は大阪よりIVFなんばクリニック院長、中岡義晴先生をお招きし、アイジェノミクス・ジャパン代表、理学博士のアンディさんと一緒にお届けしていきました。さてアンディさん、来週は?

アンディ: 今週に引き続き、IVFなんばクリニック院長の中岡義晴先生にお越しいただきまして、着床前診断 その2『転座/逆位』についてお話をいただきます。先生、来週もよろしくお願いします。

中岡: よろしくお願いします。

西村: 先生、このスタジオの雰囲気、だいぶ慣れてらっしゃいました? 緊張されました? 今日は。

中岡: もう、緊張してます。

西村: ぜひ来週もよろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

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