Vol 25:不妊治療応援アプリ GoPRE
病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「不妊治療応援アプリ GoPRE」。
番組情報
放送分:2018年6月24日放送分
ゲスト:株式会社ライフサカス 代表取締役 西部 沙緒里さん 共同経営者 黒田朋子さん
テーマ:不妊治療応援アプリ GoPRE
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番組紹介
ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。
この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術を紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。
番組内容
アンディ: よろしくお願いします。今日はスタジオに、株式会社ライフサカス代表取締役、西部沙緒里さんと、共同創業者の黒田朋子さんにお越しいただいております。皆さんよろしくお願いします。
(二人): よろしくお願いします。
アンディ: 今日のテーマは『不妊治療応援アプリ GoPRE(ゴープレ)』についてお話をいただきましょう。
西村: それでは今週も、先週に引き続きまして、株式会社ライフサカス代表取締役の西部沙緒里さんと、共同創業者の黒田朋子さんと一緒にお届けしていきます。お二人ともよろしくお願いいたします。
(二人): よろしくお願いいたします。
西村: さて、先週は『不妊治療の経験から創業にかける想い』と題してお届けしたんですが、先週の振り返りを西部さん、お願いいたします。
西部: はい。私たち西部と黒田は、このライフサカスという会社を作る訳なんですが、その一番原点として、二人とも実はがんサバイバーなんですね。で、うちの夫の紹介で一足先にがんという病気を経験した黒田を引き合わせてもらって、かつ、二人ともがんをきっかけに不妊という当事者になるという経験を持っているので、その二つの共通体験からすごく深く分かり合える友達、という関係になったっていうところでの出会いのいきさつを持っています。
アンディ: お二人の出会いから、創業までの経緯を教えていただけますでしょうか?
西部: 出会ったタイミングとしては2015年の初夏のあたりなんですけど、その頃は私自身がまだ闘病生活の渦中ということで、がんサバイバーの先輩として私自身のこの気持ちの置き所の壁打ちを黒田にしてもらっているという状況がしばらく数カ月続いていました。ですが、私自身がそのがんを経て不妊の当事者になっていく中で、私自身がすごくつらい、と。産めるはずだった未来がいきなり閉ざされてしまったっていう中で、自分自身のつらさだけではなくて、自分自身が今不妊治療してるんだよねってことを人に徐々に言い始めてみたら、びっくりするぐらい周りの友達、友人知人が、いや、実は私もね、とか、こないだ授かった子って実は体外受精なのよ、とかって、人には言えないんだけどねっていう話が、めちゃくちゃわらわらと沸いてくるように入ってきたんです。これだけ世の中に悩んでる、苦しんでる人がいたのかってことをそこで初めて気付いて。
自分ががんを経て不妊になって今当事者だという中で、このテーマを何とかして変えていきたい。この当事者、経験者の方たちっていうのを何とかサポートしていくってことが私にできないだろうかって気持ちが2015年の秋から冬にかけて初めて芽生えるんですね。そのことを黒田に徐々に話し始めて。その冬に私がビジネスコンテストに出場するんですけれども、そこでファイナリストを受賞するんですね。というところから一気にドライブがかかって、背中を押されて、会社を作ってみないかってお話をいただき始めながら、実はそんな話があってね、っていうのを彼女に年末あたりに話したときに、良かったら私も一緒にやるよと、私たちだったらきっといいチームになれると思うよって黒田が言ってくれたんです。そこで一気に会社の話が具体的になって、仲間も幸い集まってきて、約半年強の準備期間を経て、2016年の9月の末に会社を作ります。
西村: でも黒田さん、こうお伺いしてるとね、かなり短い期間で一気にこうお話が進んで。そのパワーはどんなところから生まれました?
黒田: 二人ともがんサバイバーだっていうところから、がんの経験っていうのはやっぱり大きかったなと思うんです。一度その、本当に死に直面するというところはやっぱり、そこの反動ってのはすごく大きくて。強烈に生に向かうところがあるというか。しかも、その生というのはもはや自分のためだけであるものではなくて、自分以外の誰かのためになりたい、誰かを助けたいとかってのはやっぱりそういう、人間の衝動なんじゃないかなと。自分がこう消えゆく命かもしれないと思ったときに生まれてくるそのエネルギーというか、そういうものがあったのかな、と今振り返ると思います。そのところは共通していたんじゃないかと。だから、すごく短い期間の中なんですけれども、一気にこう高まっていったというか。そういうエネルギーにいろんな周りの方々も付いていこうというような気持ちで受け止めてくださったのかな、という。
西村: そして、お二人のお話に挙がりました株式会社ライフサカス。先週もお話挙がって、三つ軸があるよと。一つはUMU(ウム)というウェブの運営。それから研修。そして、今週も話題に挙げたいと思っておりますGoPREというアプリ。この三本柱があるよとお話伺ったんですが、まずこのUMUというウェブについて、こちらをご紹介いただけますか?
西部: はい。こちらが、サブタイトルが『不妊、産む、産まないに向き合う女性たちのためのウェブメディア』というふうになっていて。で、やっぱりすごく不妊治療とか不妊、もしくはもう少し広く捉えて産むか産まないかっていう選択って、女性、男性も含めてですけれども、誰も例外がいない。誰しもが通る道であるにも関わらず、語りづらい。っていうすごくタブー視されているテーマのひとつ。
西村: そうですね、なんかこう、オープンにしゃべっちゃいけないような空気というか。
西部: そうなんです、ありますよね。
西村: 周りの皆さんが出してる訳ではなくて、自分の中でお話どうしようかしら、みたいなね。それは感じることは私自身もあります、やっぱり。
西部: おっしゃるとおり、そうなんです。で、それが言わんや不妊治療当事者、特にそのテーマの中でも一番シビアな課題を抱えてしまっている当事者にとってはすごくプレッシャーだし、すごく苦痛。こんなに苦しい思いをしてこのテーマに向き合っているにもかかわらず、誰にも言えない。誰に相談していいかも分からないっていう、特にそういう方々にむけて作ったメディアで、全てそういう実体験を経た方っていうのが、全員の方が実名で、かつ全員の方が顔出しで登場いただいて、本当に包み隠さない生の、リアルのストーリーっていうのをそれぞれの言葉で語ってくれているストーリーメディアなんですね。なので、それを通じてこれから、この後にお話に出てくるGoPREというアプリとも対をなすサービスだと思っているんですけれども、特にこのUMUの方ではそういう苦しんでいる、直面している当事者の心の問題、感情面の問題というのを楽にする、サポートしていくために作っているメディアになっています。
西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日は株式会社ライフサカス代表取締役の西部沙緒里さんと、共同創業者の黒田朋子さんにお話を伺っております。
アンディ: 今回は『不妊治療応援アプリ GoPRE』というテーマなんですけど、このGoPREというのはどんなサービス、何ができて、どういう人が使えるかについて、黒田さんからちょっとご説明いただけますでしょうか。
黒田: このアプリは今不妊治療されている方、これからしようとされている方、そのパートナーの方と使っていただけるアプリになっています。内容としては、不妊治療というのはプロセスが非常に煩雑(はんざつ)であるというところがありまして、まずその治療のログをカメラで写真を撮って記録していくことで簡単にログをためていくことができる。それによって振り返ったり、今自分がどんな、何を、どういうことをやっているのかをきちっと自分が理解していく、それをパートナーの方と情報を共有していく。そういうふうにできるようなコミュニケーションアプリのような役割を持っています。
どうしてこれを作ったかというところなんですけれども、先ほどUMUというストーリーメディアの話をさせていただいたんですが、私たちはこの不妊治療という問題に取りかかるときに、今の不妊治療の実態というところは非常にやっぱり個に向かっている、まず。女性がとにかく自分だけが頑張ればいいというような、個の世界に集中しているようなところで、なかなかパートナーの方とも何がつらいだなんだということが言いづらい。ましてや、お友達とか周りの方にもなかなか相談しづらい。そういう方がどうなるかというと、やっぱりそうするとインターネットに頼ってしまう。その中でたくさんある、何が本当か嘘かってよく分からないようないろんな情報に惑わされちゃう。そのことが余計に自分を追い込んだり。
西村: そうですよね。それを読むことで不安をどんどん心にね。
黒田: それで、かかっている先生にそういう不安だったりいろんなことをぶつけられるかというと、これはまた特殊なところもありまして、なかなかやっぱりそういう訳でもなかったりする、と。じゃあこれは八方ふさがりだね、というところで、われわれは理性的アプローチと感情のアプローチ両方要るだろう、と考えたんです。その感情面というのは先ほどのUMUというメディアが。先週もお話しさせていただきましたけれども、いろんな選択肢がありますよ、と。実は子どもを持たない選択もありますとか、そういうところもうまく表現していきたいなあというのがUMU。で、もう一つ、やっぱり理性的アプローチ、これは何が大事かというと自分が前に進んでいくために非常にデータドリブンなんですね。数値が示したりするとか、医学的なエビデンスが示したりする指標というのを持っていただきたい。そういうその二つを掛け合わせた、判断軸を持っていきたい。それをご主人も一緒に情報をシェアしながら、二人で考えていく不妊治療といいますか、そういうふうな方向に持っていきたい、というので作ってるアプリになります。
西村: パートナーと一緒に共有できるっていうところが私、すごくキーなのかなというふうにお伺いしてて。どうしてもこう女性一人だけが全て管理して、考えてっていうふうに、心がそっちにどうしても行きがちなのかしら、っていう部分。やっぱりそこはこのアプリを開発する上ですごく重要でしたか? 西部さん。
西部: そうですね。やはり男性も、どう関わっていいか分からないとか、どこまで聞いていいか分からない。なんか不用意に聞くと、何言ってるのよって言われちゃうみたいな(笑)。
西村: そんなことも知らないの? とか、分かってくれてなかったの? とか言われないかな、って多分、男性も(笑)。
西部: ですので、リアルタイムで彼女の、奥さん側の治療経過が見えるというあり方にしてあるんです、サービスが。なので、変に押し引きみたいなタイミングとかを考えずしても、なんとなく流れを一緒にキャッチアップしていって、そっと「見たよ」っていうスタンプを押せるという、そういう寄り添い方にあえてしてあるので、そういう無理の無い夫婦間コミュニケーションを促進するためのツール、という作りのアプリになっています。
西村: もちろん面と向かって話し合う、語り合うっていうことも必要だけど、あっ、私のことちゃんと気付いてくれてるんだなとか、そういうすっとした寄り添い。でもこれって結構女性は嬉しいんですよね。
西部: そうなんです。まさに女性っぽい寄り添われ方が、望む寄り添われ方だな、と。
アンディ: 実は弊社にもときどき患者さんから直接問い合わせの電話が入ってくるんですが、ほとんどは女性なんです。ですが、たまに男性の方から、家内はこういう状況です、どうすればいいかとか入ってくるときがあると、うちの女性社員は非常に感心するんですよね。ですからこの話を伺って、やはり男性でもちゃんと関わる必要がある、ということがやっと分かりました。申し訳ないですけど。
西村: 使っていただきたい、届けたい方々へのメッセージありますか、黒田さん?
黒田: きちっとその自分の状況ですとか、もっと言うと、自分は本当に子どもを産みたいのか、あるいは育てたいのかっていうところもあるかなと思っていまして。産まなくても育てられるというところは今大きく注目されつつあると思うんです。例えば養子縁組ですとか、里親ですとか、そういう選択肢もある。必ずしも自分が本当に産まないとこれは自分が失格である、というような気持ちになってしまってる方、たくさんお見受けして来ましたし、そういうところで自分でどんどん追い込まれていっちゃうようなこともあろうかと思う中で、そう、だけではないというところも示していくためにも、やはりまず自分の今の状況ときちっと向かい合っていく、そのツールにしていただきたいと思います。
西村: そして今ご紹介させていただいたGoPRE、リリースが、西部さん?
西部: 7月の中旬を目指しています。
西村: はい。ぜひこの7月中旬ぐらいということで、今から私も楽しみに、ぜひ使わせていただければなと思うんですが。最後に、この先に目指していることって、西部さん、ございますか?
西部: はい、まさに作りたい未来があります。女性が自分で正しく自己決定できる社会を日本で作りたいと思っています。それが、自分で決められないでままならない、惑わされるというところで非常に本人たちを苦しめている、というところが根本としてはあるので、その今起こってしまっている問題というのを変えていくために一番そばで伴走していくようなアプリになれたらいいなと思っています。
西村: 二週にわたって、株式会社ライフサカス代表取締役の西部沙緒里さんと、共同創業者の黒田朋子さんにお話を伺ってまいりました。黒田さん、最後に皆さんに一言ちょうだいできますか?
黒田: 先週もお話させていただいたんですけど、いろんなままならないことっていうのは人生にやってくるなあ、というのは私たちも実感として思っています。ですが、選択肢を生み出していける社会を作っていきたいですし、私たちのライフサカスという社名に込めたのは本当に人生を咲かすお手伝いをしたいという思いを込めています。ですから、皆さんの人生を咲かすためにわれわれも一生懸命頑張っていきたいと思いますので、何かそのお手伝いができることがあったら嬉しいと思っています。
西村: 黒田さん、そして西部さん。アイジェノミクス・ジャパン代表、理学博士のアンディさん。ありがとうございました。
(全員): ありがとうございました。
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