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Vol 35:胚培養士というお仕事について

Tiempo de lectura: 2 minutos
松岡さん、中田久美子 先生、西村さん

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「胚培養士というお仕事について」。

番組情報

放送分:2018年9月2日放送分
ゲスト:山下湘南夢クリニック 研究室長 胚培養士 中田久美子 先生
テーマ:胚培養士というお仕事について
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの技術責任者、トシさんです。トシさん、よろしくお願い致します。

番組内容

トシ: よろしくお願いいたします。今日のテーマは『胚培養士というお仕事について』。この胚培養士、胚というのは卵と精子を体外で受精させてできた卵のことを指しています。今日はこの胚培養士というお仕事について、山下湘南夢クリニックの中田久美子先生をお迎えして、お話を聞きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

中田: よろしくお願いいたします。

西村: それでは今週もトシさん、よろしくお願いいたします。

トシ: よろしくお願いします。

西村: 今日はスタジオにゲストの方、お越しでいらっしゃるんですよね。

トシ: はい、そうです。山下湘南夢クリニックの中田久美子先生に来ていただいてます。よろしくお願いします。

中田: よろしくお願いします。

西村: よろしくお願いいたします。中田先生、爽やかな。蒸し暑さが吹っ飛ぶような、今日は爽やかなファッションでスタジオにお越しいただいて(笑) ありがとうございます。よろしくお願いします。まず中田先生がお勤めでいらっしゃるクリニックについて、リスナーの皆さんにご紹介いただけますか?

中田: 私の勤務している山下湘南夢クリニックといいますのは、藤沢駅のほど近くになります。山下直樹院長と吉田雅人副院長、他に非常勤の医師が2人来ておりまして、それ以外看護師10名、胚培養士10名、事務の方でだいたい10名で、30名程度のクリニックとなっております。開院してからだいたい9年目になりまして、来年で10年目になります。

西村: おめでとうございます。

中田: ありがとうございます。

西村: クリニックの特徴としてはどんなことがありますか?

中田: 私どものクリニックは30名という少人数の勤務体系なんですけども、やはり人数が増えてきますと、特に最近他の病院も多いんですけれども、契約の方とか非常勤みたいな方が増えすぎてしまいますと患者さん一人一人に接する方も増えてきて、責任感の部分で薄くなってきてしまいますので、やはり職員、スタッフ一人一人が患者さまを大事にできるようにということもあって、少人数制で行っています。

西村: トシさん。オープニングで胚培養士というお仕事の胚っていうのは、ってご紹介いただいたんですけども、改めてこの胚というものについて、トシさん、どう捉えて今日はお話を進めていきますか?

トシ: やっぱりですね、通常体内で卵は受精して育つ訳ですが、これを外で培養するっていうそのことがまずすごいことだと思うんですけども、またそれを扱う培養士っていう方たちがいるということも、どうやって、どのように日々その卵を扱っているのかっていう、ちょっと想像でしかつかないところなので、今日は直接お話を伺いたいなと思っております。

西村: 中田先生、胚培養士っていうお仕事、日々どんなふうにお仕事をされていらっしゃるんですか?

中田: タイムスケジュールみたいなものでお伝えしますと、だいたい朝7時~8時ぐらいの間に最初の出勤の者が来まして、前日に体外受精、顕微授精を行った卵が受精しているかどうかっていうのを判断する時間になります。その時間に他に進めていくのは、やはり受精した卵が分割しているかどうか。2日前に採卵した卵ですけれども、それがどういう状態かっていうのを確認する時間が朝の時間にあります。それから9時ぐらいから採卵のほうが始まっていきまして。

トシ: 採卵は9時から。

中田: だいたい9時にはご主人さまの精子も持ち込んでいただいて、培養士がその採卵に入る者と、精液の中から精子を精製していく者と二つに分かれます。

トシ: 採卵は、患者さんはそうしたら9時からもう入られて、採卵?

中田: はい。当クリニックは麻酔を使わずに採卵を行いますし、低刺激で採卵を行っていますので、だいたい一人の方が2、3個採卵できるようになっています。なので、長くても10分ぐらいの間に一人の患者さんの採卵が終わりますので、だいたい9時からまあ10時って考えて6、7人は終わります。

(二人): へえー。

中田: そのようにだいたい10時過ぎ~10時半ぐらいには終わって。その採卵できた卵の状態と精製された精子が培養室に集まって来ます。
そこから医師と看護師と培養士がどういうふうな受精方法にするか、精子の状態があまり悪ければ顕微授精を勧めて、精子の状態がすごく良ければ体外受精、振りかける方法でいけるんじゃないかっていうところで医師と培養士が話し合って、患者さん一人一人に合った受精方法を勧めていきます。で、卵に振りかける体外受精をその後行っていきまして。だいたいお昼前ぐらい、お昼からだいたい2時ぐらいの間に顕微授精も終わっていきます。
その後、卵が採卵されても前日、前々日の卵たちがいますので、それらの卵を今度移植する時間に入ってくるんですが、それがだいたい午後2時~3時ぐらいまでの間に分割胚を移植する患者さま、もしくは凍結された胚盤胞を移植する方、っていうふうに入っていきます。
なので3時過ぎぐらいにはだいたいのものが終わりまして、3時以降からまた見れなかった卵を確認したり、受精がどうだったかって分からない卵ですとか、そういった卵を確認したり、胚盤胞になっていたら凍結をしたり。次の日の卵を採卵する準備や培養液の準備っていうものをしていきまして。

トシ: 忙しいですね。

西村: すごい、もう分刻み(笑) すごい、お伺いしてると。

トシ: 僕もちょっとびっくりしました。

中田: 当クリニックの場合には午前中に体外受精、振りかける方法で卵に精子を振りかけても、夕方確認したらどうやら精子入っていないな、受精してないんじゃないかっていう卵は、患者さまのご希望があればその時点で顕微授精を始めていくんですね。

トシ: ああ、もうその時点で決断するんだ。なるほど。

中田: なので、だいたい夕方5、6時ぐらいから確認をして顕微授精になっていくので、7時とか8時までかかる場合もあります。

トシ: 一日のスケジュールが、まず採卵が終わって、精子の精製が終わって。そこでまず話し合いの時間を持たなきゃいけない。その一日のスケジュールがそこで決まるかもしれないっていうのがまず、ちょっと驚きがありますね。

中田: ただ、それでも私たちだけではなくて、採卵した患者さんだけではなくて。毎日通院されてる、ホルモン値を測ってまた採卵に来られる方もいるので。外来を進めつつ、どうしようかっていう採卵のスケジュール、移植のスケジュールを先生たちは立てなきゃいけないので、すごく忙しい時間ですね。

トシ: そうやって、これで胚移植も入るんですよね。驚きました。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日はスタジオに、山下湘南夢クリニックの胚培養士、中田久美子先生にお越しいただいております。中田先生、この後もよろしくお願いいたします。

中田: よろしくお願いいたします。

西村: さて先生。私、いろんな方々をこの番組でゲストにお越しいただいてお話ししてるんですが、胚培養士というご職業の方に会うのが、人生初なんです。

トシ: (笑)そうですよね。

西村: 胚培養士になられたきっかけってどんなところなんでしょうか?

中田: 私の場合には、私が大学にいたときに顕微授精等がはやってきたっていう時代ではあったんですけれども、そのときに私、もともと胚培養士になりたかったんですね。

西村: あっ、そうなんですね。

中田: というのも、高校生の三年生のときの深夜に減胎手術っていうものを見まして。たくさん刺激をしてしまって、そこで人工授精とか性交渉をした患者さんはおなかに六つ子ちゃん、七つ子ちゃんっていうふうにできちゃう時代があったんです。そのときには何人かの赤ちゃんを、残念ながら産めないようにしなければいけなくって。そういう悲しいことが起こらないようにするには卵一個を育てればいいじゃないかっていうふうに思ったのすごい衝撃的で。そこからどんどん、将来何になりたいって思ったときに胚培養士ってものを見つけまして。
なのでもう胚培養士になるためには、そういう方たちがどういう経歴があるのかって調べたら、農学部ですとか理学部を卒業されて、中でも繁殖や生殖学をやられた方がなっているというのを聞きました。やはり自分もそこに行こうと思いまして、研究室もそこに決めて。私、明治大学の長嶋先生の研究室なんですけども、もう先生、絶対私は不妊治療で生きていきたいので絶対この研究室に入れてください、っていうふうに言いまして。そこからもうずっと他の研究としていきました。

トシ: なるほど。

西村: もう、夢をすぐ実現するためのストーリー作りが(笑) 早い。

トシ: もう定めて、早い、早い。

西村: 私は学生時代、さあ何やろっかなあ(笑) みたいな感じですけれども。もう高校時代からそれを目指して、胚培養士の仕事を目指してらっしゃったってことなんですね。すごい。実際に胚培養士のお仕事をされていらっしゃって、嬉しいお話なんていうのもいっぱいあるんじゃないでしょうか?

中田: はい、嬉しいお話っていうのは、やはり患者さまが受精した、分割したっていうふうになると嬉しいのもあるんですけども、自分が実際に顕微授精をしてどうなっただろうと思って、受精してほしいなこの方は、どうしてもうまくいってほしいって思って、すごく願いを込めて、翌日に見るとちゃんと受精をしていたり。

トシ: 嬉しいですね。

中田: すくすく育ってくるとやはりすごく嬉しいです。

西村: トシさんは胚培養士の中田先生にご質問ありますか?

トシ: やっぱりゴールとしては妊娠を目指す訳でして。私たちのERA検査、着床の窓の時期を見る検査をこの山下湘南夢クリニックさんのほうでも使っていただいてまして。その辺に関して何かエピソードがありましたら、ぜひ。

中田: 当時まだERA検査は入れてないんですけども、すごく面白いなって思ったのが、四細胞の時期だったんですけど。

西村: イオン細胞?

中田: ヨンサイボウ。

西村: ヨンサイボウ。はいはい。

中田: 患者さまのとき、その方、43ぐらいの方なんですが。四細胞ってのは割球が4つある状態なんですけれども、1つだけがちゃんと無事に割球があって、それ以外はフラグメントっていう全部崩れちゃったような状態だったんですね。そういう胚を移植しても大丈夫なんだろうかって、やはりこちらの培養士の方もすごく心配になったんです。
でも患者さま、どうしても移植したいって言うところで移植をされたんですね。その方さらに、移植した後はゆっくり家で過ごしていただきたいんですけども、タイに移住しますって言って。

トシ: タイに移住します(笑)

中田: 全部荷物抱えてそのまま行かれてしまったんです。それで、後からお電話がクリニックにかかってきまして。ありがとうございます、妊娠しましたっていうふうなお電話だったんです。

西村: あらっ。

トシ: その卵でも? 分からないものだなあ。

中田: 分からないです。なので、私たちすぐ、卵を運命のタマちゃんっていうふうに呼ぶんですけれども、やはりその、卵もそうなんですが、良いか悪いかっていうよりもまず、移植してみなければ分からないっていうことと、移植したときの子宮の内膜の状態とタマゴちゃんがぴったり合えば妊娠する可能性ってのはすごく高くなってくるので、そういう方にはやはりERA検査を、今どうかなって考えてる方には、何度やっても駄目っていう人には、ちょっとやってもらえたら良い結果につながるんじゃないかなと思ったりします。

トシ: ありがとうございます。ERA検査の話もありがとうございます。その他、何かこうエピソードがございますか?

中田: はい、またちょっと不思議な話というか、もあるんですけども。何度か採卵をして、何度も胚を移植した方もいらっしゃったんです。でもその方ってのは、だいたい胚盤胞って5日目ぐらいになったものが良好胚盤胞。

トシ: 言いますね、それね。

中田: 6日目だとそれよりもちょっと落ちます、移植どうしましょうかって言われるんですね。当院の場合、7日目の卵も移植するんです。それしかできない方もいらっしゃるからです。ずっと何度も来られて7日目のばっかりだったりされた方もいたんですね。
やはり卵を凍結して、融解をして、体の状態を整えて移植するっていうときに、うちのクリニックは溶かした状態とかも卵を全部写真でお見せするんですね、患者さまに。そうしたらその患者さまがその卵の写真を見て、なんでこんなゴミみたいの移植するの? お金儲けのためなの? みたいな感じにすごく怒ってきた方とかもいたんです。
私たちは一生懸命育てて、しかもそれ患者さまの卵なのに、そんなこと言われるの悲しいよねっていうふうに・・・

トシ: 悲しい。すごく悲しい。

中田: ・・・裏で言ってたんですけれど。
その卵を移植されて、結局赤ちゃん生まれたんですよ。

(二人): えー。

中田: それでもう、ものすごいいろいろ言ってきたにもかかわらず、やはり二人目の方が欲しくて、当院にまた通って来られて。でもその方、ちょっとやっぱり変わられたのか、卵については一つも悪口言わなくなった。

トシ: あー。やっぱそうですよね。

中田: ものすごく大事に抱えて来られるので、やっぱり赤ちゃんが産まれるっていうのはその人の性格とか生き方とかにもきっと大きく影響するんだろうなっていうふうに思いました。

トシ: そういうことですね。いや、やっぱり僕、その卵の状態の話もすごく驚きました。正直僕も、学生時代ですけど、マウスの卵を使って研究したときに、良い卵とかいうイメージはやっぱりある訳で。でも、形がそういった普通とは違ってても赤ちゃん生まれるんだっていうね、そういう可能性はゼロじゃないっていうことを。どうもありがとうございます。

中田: とんでもないです。

トシ: 来週も山下湘南夢クリニックの中田久美子先生をゲストに迎えて、最新技術についてお聞きしたいと思います。

西村: 最新技術いろいろ、あるんですか? 中田先生。

中田: あります。

トシ: ありますね。聞かせてください。

西村: 来週、よろしくお願いいたします。

中田: よろしくお願いします。

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