不妊治療と補完代替療法、妊活とナチュロパシーについて
FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。毎週さまざまな先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。
番組内容
2021年4月18日放送分
西村:さあ、今週はユミさんと一緒に、よろしくお願い致します。今日のゲストの方は、ユミさんとお知り合いの方でいらっしゃるんですって?
ユミ:実はそうなんです。前職で、同僚だった河野かなえさんなんですが、海外のですね、栄養療法を日本の医療機関に紹介するような仕事をしてたんですが、そこで河野さんが自然療法のスペシャリストということで、そちらの面でお手伝いをしていただきながら一緒に仕事をしてました。
西村:はい、それではゲストの方、ご紹介致します。Wellness Roots代表、ナチュロパス、河野かなえさんです。よろしくお願い致します。
河野:よろしくお願いします。
ナチュロパス(自然療法士)とナチュロパシー
西村:はい、早速なんですけれども、河野さん、私ナチュロパスっていう言葉、恥ずかしながら今日初めて知ったんです。でも私と同じようなリスナーの皆さんもいらっしゃると思うので、是非どんなものか、自己紹介を交えてお話しいただけますか?
河野:はい、わかりました。ナチュロパス、日本語で言うと自然療法士なんですけれども、自然療法士の資格をオーストラリアで取得して、で、今日本に帰国してコンサルテーションとかをやってます。
コンサルテーションっていうのは個人に向けて栄養療法やハーブ療法だったりとか、個人のお悩みを聞いて食用ですとか、サプリメントとかのアドバイスをするような仕事をしています。あと講座とかもやってますね。
で、ナチュロパシーなんですけれども、今現在、北米とオーストラリアに存在してる学問で、産業もあって、自然療法なんですが、どちらかというと西洋医学がメインストリームの医学だとすると、それの補完代替療法で一緒に使ったりします。で、もう結構認知されていて、北米やオーストラリア、あとヨーロッパですね、西洋医学を使いながら自然療法も一緒に使う人も海外には多くいます。
もともとナチュロパシーって突然出来たホリスティックな医療ではなくて、ヒポクラテスの、もう大昔の時代から伝統療法、ハーブを使ったりというのは存在していたんですけれども、西洋医学にとって代わるまで、大体ペニシリンが発見される頃まで使われてた伝統療法があります。それが西洋医学が主流になってから一旦消えてしまったんですけども、また70年代位から復活して伝統療法と、あと栄養学でも日々新しい情報がどんどん出てきてるんですけど、そのエビデンスベーストの最新の情報をミックスさせたような、補完代替療法になってます。
西村: ハーブっていうと、ハーブ味の飴とか(笑)、私の身近にあるハーブを今わっと思い浮かべたら、のど飴とか・・・(笑)
河野:ハーブティーとかね。
西村:そう、ハーブティー!まずハーブティーとか、あとアロマ、お部屋でハーブの匂いのアロマオイルっていうのかしら、その位しか身近にハーブは・・・。
河野:そうですよね。でも実は、今存在するお薬も、もともと全部植物の化学成分から作られてるんですね。そこから発見されて、人工的に作ったりとか、今でもお薬の半分位は植物由来の成分を使っていたりするんですね。
ユミ:そうなんですね。
河野:なので薬イコール植物の成分、大元はそんな感じです。
栄養学の観点からのナチュロパシー
ユミ:意外ですね。いわゆる日本では、さっき河野さんがおっしゃった栄養っていう言葉があったんですけども、その、栄養っていうと、なんでしょう、献立を考えたりとか、なんかそんなことばっかりが頭に浮かぶんですけれども、河野さんがおっしゃてる栄養学、日々進歩してる栄養学っていうのは具体的にはどんなことなんですかね?
河野:ええっとですね、ちょっとこれ、もう少しナチュロパシーとは?という所のご説明をしたいんですけれども、ナチュロパシーって、元々コンセプトとしては人は例えば臓器のバランスだとか、あと自分の精神の状態とか、 いろんなもののバランスがとれていると自己治癒力が高まるというのが大元のコンセプトとしてあります。
だから病気になったりとか、不妊も然りですけども、何か問題が起こるっていうのはどこかのバランスが崩れてると把握するので、ひとりの人を、ボディーマインドスピリットっていうんですけども、身体と心と精神と、あと社会的な立場とか、ストレスの状態とか、家族関係とか婚姻関係、リレーションシップとか全て含めて一個人の総体として、ホールパーソンっていうんですけれど、ホールパーソンとして見て、自己治癒力を上げていく。
で、自己治癒力がきちんと働かない阻害要因を探してそれを取り除いてあげるっていう、そういう考え方です。で、その中で栄養療法が何が出来るかっていうと、身体って自然にその阻害要因がなければ、例えば普通に問題なく病気にもならずに健康に過ごせるし、あと人間の身体って、やっぱり生殖機能が働くように、子孫を残すようにデザインされているので何も問題がなければ妊娠出来るはずなんですね。
ただそこに何がしかの問題がある、で、人の身体って栄養から作られているので、栄養が取られてる原因を探していくという感じですね。どこに栄養が取られていて身体が上手く回っていないか、そういう考え方ですね。
ユミ:必要なものを入れるとかじゃなくて、どこに取られちゃってるのか?例えば妊活で言えば、赤ちゃんを授かるために必要なものが何かに取られちゃってる、ってそういう考え方ですね?
河野:そういう考え方です。
ユミ:それは意外ですね。
河野:特に不妊に関してはその考え方でコンサルテーションして、どこかにそういう問題がないか、本当に細胞レベルで見ると大体全ての病気って、慢性炎症と酸化ストレスから起こってるんですけども、どこにその炎症を起こす原因があるか、酸化ストレスを起こす原因があるか。
で、これって元を辿ると大体食生活と生活習慣ですね。口から入れてるものから炎症が起こっていくのでそれを探っていって、原因を取り除いて妊娠に必要な栄養をのせてあげる、と。
ユミ:なるほど。
河野:妊娠に必要な栄養だけのせてても、阻害要因がそこにあったら妊娠のために取った栄養って上手く利用されないので、そう考えます。
ユミ:よくわかりました。
サプリメントや妊娠準備に対する日本と海外での意識の違いは?
西村:このナチュロパスという言葉、どんなものなのかっていうところをまずお話しいただいたと思うんですが、これ、海外での展開について、いろいろ知りたいですね。海外ではどんな感じなんでしょうか?
河野:そもそも根本的なお話ししなきゃいけないんですけれども、サプリメントって日本だと多分ドラッグストアに売ってるサプリメントしか皆さん知らないと思うんですけども、海外って、ドラッグストアで売ってるサプリメントと、他に医療グレードのサプリメントっていうのが存在します。その産業もあります。
で、その学問がナチュロパシーで学べるんですけども、グレードが全然違うものなんですね。 高品質で、お医者さんと、あとナチュロパスと、資格のある人しか処方が出来ないかたちになってます。なので私の資格なんかだと、オーストラリアとかで医療グレードのサプリメントを処方出来る、で、医療グレードなので効果があるんですね、確実に。安全に使うために資格が必要なかたちです。
なので、まだ中国とか韓国とかも結構自然療法とか、そのエリアに関しては非常に発達してるんですけれども、日本だけ医療グレードのサプリメントの存在が知られてないというか、使われてないっていうのがあります。なので、海外だとナチュロパスも認知度が高いですし、そういう栄養療法が存在するっていうことを、都市部の人なんかは特に知ってるので、妊活だけでなくいろんなことで利用されるんですね。お薬だけじゃなくて サプリメントも摂ったりとかっていうのが一般的に行われてます。
そういうお店がすごく多いですし、そんな中で妊活においてはまたこれも英語圏の国は情報の伝播が早いので、妊活についての情報っていうのが早くから教育されてるというか認知されてるので、皆さん事前に半年位のプレコンセプション期間、妊娠準備期間を設けて、健康な卵子と健康な精子を食生活の改善とか生活習慣の改善、もしくはサプリを摂って作って、健康なかたちのものを受精させて妊娠に臨むっていうのが認識されてます。
なので結構若い方でも、20代、30代前半でも、そこから始めて、そこから妊活を始めていくと。で、不妊治療も同じような考え方でやられていきますね。
ユミ:なかなかそこまで準備してから踏み込むというか、本格的に治療を始めるということは少ないという印象はありますけども、日本でやっぱりそういうのがあまり浸透しないのは、皆さんダイエットとかサプリメントを飲んでるとか、そういうの興味がすごくあると思うんですけれども、なかなか医療グレードって聞くと、どこで手に入るの?というような感じがすると思うんですが、やっぱりお医者さんの処方っていうと・・・。
河野:今日本だと多分、分子栄養学とかされてる先生のクリニックとかで処方していただけると思うんですよね。
ユミ:そうですよね。準備期間っていうと、もちろん身体を冷やさないとか、免疫力を高めるとか、必要な栄養を、例えば 妊婦さんに必要な栄養を摂るとか皆さん考えてると思うんですけども、そういったことが学問として成り立ってる訳なんですね。
河野:ナチュロパシーは、そうですね、広くみた時にそのコンセプトと方法っていうのを妊活に利用するんですけれども、すごく簡単な考え方が、男性の精子って男性の身体の中で一番若い細胞なんですよ。一番最新の細胞、イコールその時の身体の状態がそのまんま表れるんですね。
で、女性の場合は卵子を身体に持って生まれて来ますけども、卵子が作られるまで、成長するまで大体120日位かかって、で、精子なんかはその場でタイムリーに作られていくので、それも64日とか74日かかっていくと。なのでその期間の食生活とか生活習慣がダイレクトに、特に精子に関しては細胞もちっちゃいですし、すごく酸化に弱いので、ストレスですとか食べ物、炎症性の食品を食べていたりとか、化学物質、重金属、いろんなものに影響を受けます。
で、今は精液検査とかではどこまで本当にその精子のDNAがクリーンな状態であるかっていうのはなかなかわからないんですね。泳ぐ数とかは調べられるんですけど、そのDNAのエピジェネティックの変化、生活習慣とかでエピジェネティック変化というのが起こってきますと、DNAの元が変わるんじゃなくてちょっと、なんとなく表現が変わって傷ついていくような感じですね。
それって、自分の身体だけじゃなくてそれで受精してしまうと子孫までそのエピジェネティック変化って反映されてしまうんです。まあこれは精子も卵子も一緒ですけれども。なのでその(精子と卵子が)作られる3か月、4か月の間に出来るだけいい栄養を入れて、阻害要因を取り除いて元気な卵子と精子を作るっていうのが、IBFなんかの成功率にも関わってきます。
不妊治療でのナチュロパシーの実績
ユミ:そうなんですね、じゃあもうあれですね、女性メインじゃなくてむしろ男性が摂られて欲しい、そういう風な治療ですね。そうすると、じゃあナチュロパシーって具体的に不妊治療でどんな実績を上げてるのかなって、気になるんですけど、そのへんはいかがですか?
河野:ええと、私ナチュロパスとして不妊治療メインでやっている訳ではないんですけれども、学生時代、一番初めに取ったケースで、不妊治療が成功しちゃったんですね。 43歳って、不妊のラインじゃないですか、IVFとかの。で、そのラインで学校の先生とかにも、無理だ無理だと言われてたんですけれども、それで見事にデトックスしたら成功して、不妊治療はされてなかったんですけれど2年、3年位のクライアントさんで。
で、そこから何となくいろんなクライアントさんが付くようになって、実際やって来てるんですけども大体その3、4か月、大体半年位でさっき言ってた阻害要因を取り除くとか、あと不妊の原因があるようだったら探っていくようなことをして、その6か月位のスパンで栄養、食用と、摂るべきサプリメントときちんと働くサプリメントを摂らないと効かなかったりするので、そういうアドバイスをしたりとかしています。
ユミ:身体に本当に取り入れられて働くようなサプリメントが医療グレードだと思うんですけど、それによって、例えば弊社が提供してるERA検査っていうのがあって、それは患者様ひとりひとりの着床しやすい時期っていうのを遺伝子の発現パターンで見る訳なんですが、そういう遺伝子の発現っていうのは、子宮内膜がどんどん育っていって女性ホルモンのバランスが変わっていき、周期が作られていくということなんですが、そういうホルモンの調整みたいなことにもやっぱり関わってくるものでしょうかね?
河野:栄養療法ですか?関わりますね。子宮内膜の状態って結局そこにある炎症性のサイトカインの状態だったりとか、細菌叢だったりとか、子宮にも細菌叢がありますよね。
で、そのバランスですとか、そういうものが非常に重要になってくると思うんですけも、それが結局お腹の状態、お腹の細菌叢の状態だったりとか、身体のどこかで炎症が起こっている、身体は全部繋がってるので、子宮に炎症が起こりやすくなってると着床しにくくなるし。
特にエピジェネティック的なダメージを受けてしまうと、いろんな妊娠中の合併症とかにもなりやすくなったりとか、そういうこともあるので、あと生まれた子供の健康、生まれた子供が大人になった時の、例えば心血管系の病気になりやすいとか、そういうリスクも出てくるので、栄養が必要になってきます、まさにそこで。
西村:さて、お時間となりました。今日はWellness Roots代表、ナチュロパス、河野かなえ様をお迎えしお話を伺いました。また、アイジェノミクス・ジャパンのユミさんと一緒にお届けして参りました。
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