Vol 40:「 男性不妊 」~精子検査について~
病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「男性不妊~精子検査について~」。
番組情報
放送分:2019年2月3日放送分
ゲスト:株式会社ジャフコ 取締役 森田 浩史さん
テーマ:男性不妊~精子検査について~
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番組紹介
ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。
この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの技術責任者で、工学博士のトシさんです。トシさん、よろしくお願い致します。
番組内容
トシ: よろしくお願いいたします。今日はスタジオに、株式会社ジャフコから取締役の森田さんにお越しいただいております。今日のテーマは『男性不妊について』になります。森田さん、よろしくお願いします。
森田: はい、よろしくお願いします。
西村: それでは、ゲストにお越しいただいております。株式会社ジャフコ、取締役の森田浩史さんです。森田さん、よろしくお願いいたします。
森田: はい、よろしくお願いします。
西村: 今日はね、トシさん。今まで、昨年からこの放送しておりますが、まだここ、細かく取り扱っていなかった男性不妊について。今日はスペシャリストで、いろいろお話を伺えると思って楽しみにしておりましたので、ぜひよろしくお願いいたします。
森田: よろしくお願いします。
西村: まず、森田さん。自己紹介を皆さんにお願いできますか?
森田: はい、森田浩史と申します。株式会社ジャフコと言いまして、精子の特性分析装置をイスラエルから輸入して、国内の生殖医療、特に男性不妊の検査なんかをする病院に納めるというのが本業です。
西村: イスラエルから。
トシ: そうなんです。
森田: 皆さんイスラエルと言うとちょっと驚かれる方も多いんですが、実は結構、最新の医療機器ってイスラエル発というものが多いです。
西村: へえー。そうなんです?
森田: 世界中にユダヤ系のドクターというのが各国、例えばドイツ、アメリカ、フランスの大学でユダヤ系のドクターが開発したものが、例えば自国で商品化するのにどうしてもお金が無いとできない、と。ところが、イスラエルですとベンチャーキャピタルがいっぱいあるので、そういうユダヤ系のドクターの開発したものをイスラエルから商品として発売されるというケースが多いです。
西村: なるほど。で、アイジェノミクス、トシさんとはもうどのぐらいのお付き合いでいらっしゃるんですか?
森田: ちょうど学会でお会いして、まだ一年ぐらいですね。
トシ: ちょうど一年前、学会の方で。企業ブースが並んでいるところでお会いしまして。私たちも男性不妊に対する検査っていうのが少なく、弱くてですね。で、お会いして、話を聞いて。ぜひラジオで男性不妊というのをいつかやりたいと思っていたんですね。そこで絶対呼ぼう、とアンディと話してまして。今回、叶った次第です。
森田: ありがとうございます。
西村: そして私、先ほど森田さんにお名刺を頂戴したんですけれども、まずはその株式会社ジャフコの取締役としてのお名刺。
そしてもう一つ、これ、ぜひリスナーさんにご紹介したいもう一つのお名刺が。びっくり。全然ジャンルが違って。ぜひご紹介いただけますか?
森田: はい。実はですね、森田という名前は使わずにJaffaというペンネームで、ナポリピッツァのブログ『旨い!ナポリピッツァ』というのを書いてまして。それが、ナポリピッツァだけを取り扱うブログって少ないもんですから、イタリア料理ブログのランキングで1位になったり、それから、ピッツァのコンテストの審査員をやらせていただいたり。それからテレビや雑誌、ラジオなんかでは、そのナポリピッツァについて話をするということは何度もあったんですが、はい、不妊は初めてなんです。
西村: もう、だからね、テレビを含めて皆さん、森田さんのことご存じの方も多いと思うんですけれども。お声を聞いて「あっ、あのナポリピッツァの!」って思われてる方も結構多いんじゃないかなと思うんですが。今日は違う。
森田: そうですね、今日は本業の方でお話をします。
トシ: 本業ですね、これがね。
西村: でも、そこも。そのナポリピッツァと不妊治療の部分っていうのも、実はつながってるんですって?
森田: そうなんですよ。皆さん不思議に思うかもしれないんですが、昔mixiなんかをやってた頃にコミュニティというのがいろいろあって。その中で、男性不妊のコミュニティの管理人をやってた時代があるんですね。もう10年以上前なんですが、その頃に、その名古屋の地区でその男性不妊の患者さんの集まりの管理人というか、担当をしたときに集まった場所がナポリピッツァのお店。
西村: へえー。
トシ: たまたま(笑)
森田: しかも、そこのオーナーさんが世界大会に出て優勝をして。日本の人たちにもっとナポリピッツァのこと、ピッツァ職人のことを知ってもらいたいし、ナポリの子どもたちが消防士やサッカー選手、ピッツァ職人に憧れてるみたいに、日本の子どももナポリピッツァの職人になりたいって子どもを自分は育てたいんだっていうのを聞いて、応援しよう、と思って始めたのが、この自分のプライベートの方のブログです。
西村: へえー。どこにご縁というか・・・
トシ: 分からないですよね。
森田: そうですね。
西村: ・・・つながりがね、ネットワークが広がるかっていうところでしょうね。
トシ: いやあ、本当についさっきまで知りませんでしたからね(笑)
西村: あ、そうなんです?
森田: ほとんど仕事の場で話さないですからね。
西村: それでは今日のテーマでございますが、男性不妊について話を進めていきましょう。さて、まずトシさん。この男性不妊の原因や、それから種類について皆さんに解説いただけますか?
トシ: まず、これまで私たちアイジェノミクス・ジャパンは、男性不妊よりむしろ女性側の方のERA検査、着床の窓とか、そういった検査の話をさせてもらったんですが、今回この男性不妊ということで。実際、不妊の原因としてつい最近までは、女性側の問題が取り上げられていたんですが、ようやく男性側の不妊というのが浸透してきて。今では半数、不妊の原因の半分は男性、残り半分が女性だというふうに、両方のご夫婦の問題であるというのが、ようやくなってきました。
この男性側の原因としましては、やはり精子ですね。精子が作られないとか、少ないとか、そういったのが男性不妊の原因となります。今日はこのスペシャリスト、森田さんをゲストとして迎えているので、ちょっとそのあたり、詳しくよろしくお願いいたします。
森田: いわゆる、その男性不妊って一口に言ってしまうと、精子ができない人、というイメージもありますが、できていても射精した精液の中に精子がいない、という症状もありますし、それから精子がいても運動が弱いとか、全く動いてない、それから、射精はできても精子がまったくいないなどいろいろな症状があるんですね。それに対する原因としては、例えば精管が癒着している。精子は作られているけれども、子どもの頃の盲腸の手術などで精管が傷つけられて・・・
トシ: そういうのも。へえー。
森田: ・・・はい、精子が止まっているなんていう人。そういう人は、実はバイパス手術をすれば、その癒着している部分を、精管吻合(ふんごう)手術というのをすれば精子が出るようになります。その場合は、いわゆる普通の自然妊娠も可能になります。
それから、作られているけれども弱いという方の場合はいろんな原因があるので、それは例えば薬だったり、治療方法があるんですが、やはり一般的に日本で多いのは、男性の精子が悪い場合はもう、婦人科の方での体外受精や顕微授精といった、精子が一匹でもいれば受精ができるという、そういうスタイルに持っていく治療が多いですね。これから徐々に男性不妊の方の治療というのは進んでいくんではないかと思います。
西村: 今の盲腸のお話とかもね。まさか、と言う。
森田: そうなんですよね。しかも普通に射精もできているので、そういう人の場合は。
トシ: 気付かないですよね?
森田: そうなんです。まさか自分が男性不妊だというのは知らずに検査をこれまで受けずにずっと不妊治療に通って、奥さまばっかり治療をして痛い思いをしたり、つらい思いをしていたのに、実は旦那さんの精子を調べたら精子がいない、というのが初めて分かるというケースもあるので、早い段階から男性も一緒に検査を受けていった方が良いと思います。
トシ: なるほど。
西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日はゲストに株式会社ジャフコ取締役の森田浩史さんにご出演いただいております。後半もよろしくお願いいたします。
森田: はい、よろしくお願いします。
西村: さて前半では、男性不妊の実情というか。パートナーの女性の方がその不妊治療を受けていらっしゃって、実は男性側の方に原因があった、っていうことをしばらく気付かなかったということとかね、そういったお話も今伺いましたけれども。トシさん、後半。
トシ: さっきのやっぱり、盲腸が。小さい頃に受けた、手術をした盲腸が原因でそうなってしまってたかもしれないと。なかなかそれで気付くのが本当に、不妊クリニックに通って、その、泌尿器科の先生、ですか?
森田: そうなんですよ、はい。特に今、泌尿器科の先生で男性不妊、生殖医療の方に関わってる先生が少ないという。
トシ: でも、そう思います。ええ。
森田: いわゆる体外受精とか顕微授精の方にすぐに治療が行ってしまう原因の一つにはなっていると思います。
トシ: 確かに私も、ERA検査ですね、これをご紹介しに各クリニックさん回りますが、泌尿器科先生にお会いしたりとか、あと、そこにいらっしゃるという話をあまり聞かなかったりするので。
森田: 少ないですね。はい。
トシ: そうですよね、やはり日本で不妊を専門とした泌尿器科の先生というのは、おそらく100人もいないのでは。
森田: いないです。多分、去年か一昨年で50人はいなかったと思いますね。
トシ: あ、まだそういう。なるほど。
西村: でもこれから、どんどんこう、先生方も増えていらっしゃる時期に入っているんじゃないでしょうか?
森田: そうですね、例えばNHKだったり、それから民放でもテレビの特集で、今男性の精子が危ない、なんていう特集をするほど知名度は上がってきてるので、徐々に泌尿器科の先生方の中に、この精子とか生殖医療というものにもうちょっと目を向けられる方が増えてくるんではないかと期待してます。
西村: そして私思うのは、例えばこの番組でも不妊治療をされた女性の皆さんとこのスタジオでディスカッション形式でお話を進めたことがあるんですけれども。
森田: あっ、そうなんですか。
西村: はい。やっぱりすごく活発に意見が飛び出るんですね。私のときはこうだったのよ、とか、今こういうことを考えてるのよっていう。でも男性同士で、この男性不妊について語り合う場っていうのは、正直。
森田: 無いですね。少ないというよりも、ほとんど無いと思います。というのも、やはりこの精子検査というのは、男性側はいまだに、俺は大丈夫っていう人が多いし、しかも万が一男性不妊が見つかると、これは恥ずかしいことだから人には知られたくないという思い。それから病院に検査に行くにしても、今は産婦人科ばかりでやってますので、産婦人科に精子の検査に行くのが恥ずかしいということで、いろんな要素が重なって、男性側が非協力的という事実が多いです。
西村: そうね。トシさん、以前も話、そういえばありましたね。例えばその産婦人科クリニックに入ると。
トシ: そうですね、思い出しました。
西村: 女性の患者さんがやっぱりいっぱいいて。クリニックの中もちょっとパステルカラーのピンクで、とかってなってると、まずちょっとそこでしり込みしちゃう方も男性でいる。でも、この番組にご出演いただいている先生方がおっしゃったのは、結構今はウッディな感じで、シックで、男性でも入りやすい病院も増えてる。
トシ: 増えてます。
西村: ね、だからそういうところに偶然行ければあれですけどね、最初の入り口が(笑)
トシ: そう、入り口があれなんですよね。
森田: まずその抵抗を無くしていただくこと。不妊というのはどうしても車の両輪みたいなものなので、片方だけ回ってもそう前に進まないですから。
トシ: やっぱり夫婦でね。一緒に。
森田: その心構えをご夫婦で持ってもらって、一緒に不妊治療をしていこうねっていう確認を最初に。
トシ: そうですね、確認ですからね、最初の。
森田: ご夫婦で話し合って、旦那さんも協力してもらうというのが一番大切ですね。
西村: はい。やっぱりトシさんも森田さんももちろん男性でいらっしゃるので、そういった男性の方々へエールというか励ましというか、暖かいメッセージありますか?
森田: そうですね、僕が現場にいて思うのは、やはり最初の検査って皆さん緊張感があって。精子の検査って毎回変わったりするものなんです。同じ人、本来精子がちゃんとしてる人でも、初めての検査のときにほとんど精子がいなかったり、動いている精子がいなかったり。それでもう、グレードからいけばこれ完全に不妊だねっていうレベルに入った人が、2回目、3回目の検査では慣れて、ちゃんと動いてる、自然妊娠ができるレベルの精子になってるというケースもよくあるので、怖がらずに受けていただくことが大切です。
西村: そして実際に、じゃあどういうふうに受けるかもそうですし、あとは改善方法ですね。そして、来週は森田さんの精子特性分析機についてのご紹介。
トシ: そうですね、これが本業の(笑)
森田: ありがとうございます。
西村: ここをですね、来週さらに掘り下げてお話をしたいと思いますので。
トシ: ぜひよろしくお願いします。
西村: ぜひよろしくお願いいたします。
森田: よろしくお願いします。
西村: さて、お時間となりました。今日は株式会社ジャフコ取締役、森田浩史さんをお迎えして、アイジェノミクス・ジャパン技術責任者のトシさんと一緒にお届けしました。来週もよろしくお願いたします。
(二人): よろしくお願いいたします。
西村: 来週も引き続き、男性不妊の検査についてお話を伺います。
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