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Vol 47:「 乳がんのリスク検査 」~ 乳がんの遺伝子検査について~

Tiempo de lectura: 1 minuto
アンディさん、田村宣子先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「 乳がんのリスク検査 」~ 乳がんの遺伝子検査について~。

番組情報

放送分:2019年3月24日放送分
ゲスト:虎の門病院 乳腺・内分泌外科 田村宣子先生
テーマ:「 乳がんのリスク検査 」~ 乳がんの遺伝子検査について~
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日はスタジオに虎の門病院、乳腺・内分泌外科の田村宣子先生にお越しいただいてます。テーマは「乳がんのリスク検査」になります。

西村: それではアンディさん、今週もよろしくお願いします。

アンディ: よろしくお願いします。

西村: そして、先週に引き続きましてゲストの方、スタジオにお越しいただいております。虎の門病院、乳腺・内分泌外科、田村宣子先生です。先生、よろしくお願いいたします。

田村: よろしくお願いします。

西村: 先週もお話しいただいたんですが、改めて今週のリスナーの皆さんに自己紹介をお願いいたします。

田村: 虎の門病院の乳腺・内分泌外科の田村と申します。よろしくお願いします。今度のゴールデンウィークに、港区になるんですが、虎の門病院が隣の施設に移動して、いろいろ街が新しく出来上がって、患者さんたちがいろいろな地域から来てくださっている、そういった状況になっています。

西村: 虎の門といえばやっぱり皆さん思い浮かべるのは虎ノ門ヒルズ?

田村: そうですね。

西村: 虎ノ門ヒルズに、虎の門にしかいないドラえもんがいるんですよね、真っ白。アンディさん、ご存じですか?

アンディ: いや・・・。

田村: トラえもん?

西村: そうそう(笑) (※正しくは『トラのもん』)

アンディ: なるほど。

田村: なんか街としてあとヒルズ側と三本できて、新しい駅ができて、病院が都市開発の中に入ってますので、そういったビルや病院がすべて一体化して今、開発されている。まあ、ちょっとしばらくは足元が悪いかもしれませんが、とても楽しみです。

西村: どんどん移り変わる新しい街ですね。そんな街にございます、今日は虎の門病院からお越しいただきました田村先生でございます。よろしくお願いいたします。
先生、先週はテーマを「がん患者の妊活」と題してアンディさんと一緒に、がんと妊活どう寄り添いながら、手を取りながら考えていくかっていうお話を伺いました。
今週は、「乳がんのリスク検査」。こちらをテーマにお話を伺いたいんですが、お願いできますでしょうか?

田村: もう7年前になりますかね、うちの乳がん学会ではアンジェリーナショックという言葉があったんですが、アンジェリーナ・ジョリーさんご本人が乳がんになりやすいDNAを持っているということを公表されて、その上で手術も、要は乳がんにならないための乳房を取る手術をされたというのが報道として出たのが一番記憶に新しいですかね。

西村: うん、びっくりしました。乳がんという診断を受けた訳では無く、リスクがあるからっていうことなんですよね?

田村: アンジェリーナ・ジョリーさん、確かご家族が乳がんと卵巣がんの方がかなり多くて、そうならないためにというか、それで選択をされたというふうに報道で出たのは記憶に新しいかと思います。
もともと日本自体が乳がん検診、一般女性に、要はご家族のリスクとか各々のリスクでは無くて、年齢になったら何年間に一回こういう検査をしましょうと基準があって。40歳以上で2年に1回マンモグラフィーの検診をしましょうというのが、国からってまあ変ですが、地方の、例えば市役所とか区役所から、に対して義務付けられているがん検診の頻度になります。
ただ、一般的な女性は今かなり乳がんが増えていて、今11人に1人ですかね、日本の女性で。ただ、アンジェリーナ・ジョリーさんが公表されたそのDNAをお持ちの患者さん、私たちBRCAと具体的には呼んでいるんですが、それをお持ちの患者さんたちというのは実は16倍に跳ね上がるということが分かっているんです、一般の方を1とすると。
それを考えたときに、じゃあ他の方と同じような検診で良いんですか? というのが、もともとの発端になりますね。

アンディ: BRCA遺伝子は、実は私も学生時代でも少し触れたことがあって。確か遺伝子の損傷とか修復する遺伝子であって、その遺伝子の中に例えば突然変異とかもしかしたら挿入欠失のような変異が起きると機能ができなくなって、そうすると、われわれも毎日のようにたくさんの損傷を受けている訳ですね、それを体の中でちゃんと修復してくれるんですけれども、修復ができなくなったら、がんになったりとかする確率はだいぶ高くなりますよね。それを今、先生の話を聞いてちょっと思い出したんですけれども。

西村: その今、11人に1人が乳がんになる時代というか。

田村: 一般的に、そのご家族にも乳がんか卵巣がんがいなくて、の一般的な日本人女性で今、11人に1人ですね、今年の統計で。あっ、去年の統計でしたか。

西村: 私の親族にやはり乳がんになった者がいるんですけれども、やっぱりそう、親族にいるのと、やっぱり不安には思う訳ですよね。で、これただ、不安に思ってるだけではなくて、それを、検査をしっかりしていけばいいってことですよね。

田村: そうですね。ただ、先ほどのお話でBRCAというDNAをお持ちの場合の発がん率を考えたときに、がんになる前にがんになりやすい、要は乳房とか卵巣を年齢になったら取って、まあ、卵巣に関しては年齢になったらなるんですが、取って、がんにならないようにしましょうというのが今、報道で出て結構センセーショナルなその、病気でない臓器を取るっていうのが。そうですね。
乳がんに関しては実は臓器を取るだけでは無くて、そういった患者さんに対してどのようなプログラムで検診をやっていくのか、ということに関してかなりもう理論が進んでいて。半年に一回MRIを取りましょうとか、かなり世界的な基準でどのようにやっていくのかというのが決まりつつあるというか、それにのっとってがん検診をやるというのと、後、乳房に関しては検診をやるのと、手術をするのが同等には扱われているんですが、ご存じかもしれませんが乳がんは比較的予後の良いがんなんですが、卵巣がんはたちが悪いということがもともと分かっていますので、なる前に、ある意味、そのお子さんを産むか産まないか、例えばこれ以上は産まない、望まないと希望される年齢ですかね。で、生理が止まるかどうか。まあだいたい40代になるでしょうか、40代中頃から後半ですかね、の段階で発がんする前に卵巣を事前に取っておくというのが、実は卵巣がんって見つけづらいので、見つけづらいがんができるのを待つよりはあらかじめ取っておくというのがスタンダードにはなっていますね。

西村: なるほど。そして、その乳がんの遺伝子検査なんですけれども、検査の方法って?

田村: 実は結構、日本ってDNAを調べるってことに関してかなりネガティブなイメージがもともと先行していたので。ですが実は採血なんですね。採血で、そこから検査会社に出して結果を得るという、まあ比較的、採血をして貧血ですよって言われるような検査と同じような、患者さんにとっては負担にはなるんですね。ただ、国内では保険が通ってませんので、かなり高額な検査にはなってきます。

西村: ここ。保険が効くようになってくれると。

田村: そうですね。今、実は去年の6月にこのBRCAというある特定の変異がある患者さんに対して、実はお薬が開発されて保険が通ったんですね。なので、乳がんに関しては、実は治らないというか転移、再発をしている患者さんで、そのお薬を使うためにこのDNAを測るというのが、保険は通っています。
ただ、将来がんになるかもしれない、リスクとして知るためにはまだ保険が通ってなくて。それこそ20万円後半ぐらいのコストがかかっていくのが、どこの施設もそれぐらいかかるんじゃないかなと思います。

アンディ: 今、日本では、認定されているのは一社ですよね。

田村: そうなんですよね。それがもう、そうですね、独占市場と言われてしまう(笑) だから、そこがまあ、ただ、去年かなりゲノムのことでかなり国としても動いていますし、ある意味もう、患者さんたちが自分たちのリスクを各々が知る時代にはなってますので、おそらくその独占市場が少しずつ変わっていく、そういった時代の流れはあると思います。

西村: そして、リスクが高いと判定が出た場合なんですけれども、アンジェリーナ・ジョリーさんのように予防で切除してしまうっていう選択肢以外に、選択って。

田村: 先ほどの話じゃないんですが、手術をする以外にまめな検診をするっていうのもその、他の患者さんとは違って半年に一回MRIをやったりとかいろいろなんですが、ただ、将来がんになりやすいという情報を得て、今回の検査は大丈夫だったけどね、というふうな恐怖というか、患者さんにとってはそういう不安を抱えながら検診を続けることにはなるんですね。ある意味、その検診を続けるということ自体がご本人にとってストレスになっていく、恐怖を生んでいくっていう、そういったバックグラウンドもありますね。
だから、手術ありきではないんですが、患者さん一人一人がそのコストの問題もありますし、どういうふうに考えて、どういうふうに選択していくのかっていう感じでしょうか、大事なところとしては。

西村: 『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。今日はスタジオに不妊治療の虎の門病院、乳腺・内分泌外科、田村宣子先生にお越しいただいております。先生、後半もよろしくお願いいたします。

田村: お願いします。

アンディ: 先生、私からちょっと質問があるんですけれども、この検査の報告書が出たときに、もちろんそのBRCAの遺伝子の中にいくつかそのミューテーションが起きて、もしくはインサーション、デリションが起きて、リスクが高くなるというところが数カ所あるんですけれども、その例えば一カ所が出たとき、数カ所が出たときにそれぞれの評価が違うというふうには考えられるんですが、どのような形で報告が出るんですかね?

田村: そのレポート自体が、実際にはいろいろなミューテーションについてのそのレポートが挙がってはくるんですけど、実際にそれが病的な意義があるのか、ってことが一番大事ですね。
なので、そのパターンから一カ所でも病的な意義があって、将来乳がん、卵巣がんも含めて発症するリスクが高いと判断されるか、それとも、まあ、こういう変異はあるけれども実際にそれが本当に病気とつながるのか分からない。もしつながるのかが分からないという段階では、例えば手術とか人間ドックのやり方が変わるとか、そういった適用にはならずに、ただ、それが将来本当に意味が無い変異だったのかどうかってことがデータが集積されて、結果が関係無かったなり、関係あったなりが将来的にまた情報として伝わっていくということにはなると思います。結構、だからあの、比較的。

アンディ: エビデンスはたくさんある部分に関しては、わりと進め方が分かるということですよね。

田村: そうです。ただ、患者さんとしては変異はあるけれども病的な意義が無いかもしれない、あるのかもしれないと言われたときの、その気持ちの持って行きようというか、ストレスはあると思います。
なので、先ほど前半でちょっと言い遅れたんですが、検査自体はそんなに大変な検査では無いんですが、必ずカウンセリングを受けた方が良いと思います。要は、検査を受けるのか受けないのか、っていうところから。
受けたときに絶対無いという保証は無い訳ですから、その情報をどういうふうに自分が生かすのかってことを決めた上で検査をする。なので、検査の前にきちんとカウンセリングを受けられるのが一番大事だと思います。

アンディ: さっきの話の続きですけれども、じゃあ、結果が出ました、と。その中で、エビデンスがちゃんと付いてるリスクの高いミューテーションが出ました場合は、やはりその予防切除ができるかどうかですね。じゃあ予防切除をした方が良いですよと判断した場合、どういうステップを踏んでいくかというのをちょっと教えていただきたいですね。

田村: これは施設によっても様々なんですが、実は今、国内で日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構というところが、実は一つ一つの施設でどのような状況かって施設認定を行ってはいるんですね。
施設によってはこのDNAを、変異をお持ちだということが分かった段階でその手術が適用として、病院として認められる。病院として、その患者さんたちは全員やりましょう、やっても大丈夫と決まっているところと、一人一人の患者さんに対して会議を開いて、本当にそのメリットがあるのかどうかを慎重に進めていく、そういった施設もあります。
ある意味、どんどんこの検査をする患者さんが増えて、こういった需要が増えていくと、おそらくそういった手術とかいろいろなことをやる施設というのがメジャーにはなっていくというか、そういうのはあると思うんですが、そういった、まだ今、うちの業界っていうのも変ですが、過渡期ですね。一つ一つのステップを踏みながら慎重に進んでいきながら、施設がどこが一番きちんとカウンセリングも体制も整っているのかってことを客観的に評価する、そういった段階にあると思います。

アンディ: そうしたら今、現時点で対応できる病院はまだまだ少ないって考えればよろしいですか?

田村: でも、増えてきてますね。やっぱりかなり増えてきていて、うちでも一人一人の患者さんに対して相談しながら話を進めて治療ができる施設の一つにはなるんですが、やはり患者さん一人一人でこの悩みって結構違って。
というのも、お子さんがいるかどうかとか、ご兄弟がいるかどうかとかそういったことで、自分がこの選択をすることの自分自身のメリットだけではないお悩みを抱えることにもなるので。ある意味、一人一人にきちんと対応しなくてはいけない、カウンセリングをきちんと受けて先に進まなくてはいけない、という状況ですかね。

西村: はい。ここで、では実際に症例のご紹介もいただけますか?

田村: そうですね。実際検査を受けて、今やり方分かるのは例えば、がんの診断を受けた患者さんがこのDNAをお持ちであるならば、部分切除で手術が終わるんだけれども、残ったお胸にもう一回がんが出る確率が他の方よりも高い。要は無理して、というと言葉があれですけど、残したお胸ががんになりやすいんだったら最初から取って、今はインプラントを入れるのが保険が通ってますので、このDNAの情報を生かしてがんの治療を変えるという患者さんもいます。
後は、抗がん剤のやり方を少し変えたりとか、がんの治療で例えば右側のインプラントを入れて、将来的には左側を、同じ形のインプラントを入れる。要は、一回乳がんになってももう一回ならない、逆側にならないような手術を受けられる方もいますね。
実際にお母さまとかおばあさまが乳がんで、自分がこのDNAをお持ちだということが分かった場合に、あらかじめ両方切除するということを希望される方もいますが、じゃあそれも含めて、じゃあ何歳で、どういうふうに、ってことを。後は卵巣についてどういうふうに考えていくかってことについても、一人一人慎重に考えて決めていっている状況ではあります。

アンディ: なるほど。割合的に、がんになってからこの密度の検査を受けることが多いのか、もしくは最初から受ける方が多いですか?

田村: 圧倒的にがんになってから受ける方が多いと思います、まだ。
先ほどちょっと言いましたが、日本国内で自分ががんになりやすいDNAを知るということ自体が若干ネガティブなイメージがもともとあるんです。なので、がんになったら二度とこんな目にあわないぞ、という気持ちで検査される方が多いですかね。

西村: 二週に渡って虎の門病院、乳腺・内分泌外科、田村宣子先生にお越しいただきました。先生、最後に皆さんにメッセージをいただけますか?

田村: はい。医者も一人の人ですし、あまり敷居を高く考えずにいろいろ相談してみてください。もしかしたら、それでいろいろなきっかけになって、先に進める勇気がもらえるかもしれませんので、お気軽にお声かけください。

西村: そして、虎の門病院の情報など、ホームページなどをぜひ皆さんご覧いただいて。診察の情報なども出てるんですよね。

田村: はい、ちょっと写真が実物より良すぎます(笑) 患者さんからのクレームで(笑)。まあでも、情報がありますので、いつでも気軽にお声かけいただければと思います。

西村: ありがとうございます。アンディさん、このままラジオのご出演もそうですけれども、お二人は個人的にも、ね?

アンディ: また保育園で会うことありますよね。

田村: 送り迎えで。よろしくお願いします。

西村: はい、ありがとうございました。また先生、こういった情報を引き続きこの番組で特集したいと思っておりますので、ご出演、またお待ちしております。

田村: ありがとうございます。

(二人): ありがとうございました。

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