Vol 48:ERA検査についてのQ&A~そもそも着床の窓って? 着床の窓がズレてるって何?~
病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「ERA検査についてのQ&A」~そもそも着床の窓って? 着床の窓がズレてるって何?~
番組情報
放送分:2019年3月31日放送分
ゲスト:遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパン 宮部祐輔さん
テーマ:「ERA検査についてのQ&A」~そもそも着床の窓って? 着床の窓がズレてるって何?~
FM西東京のページ:こちら
番組を聴く
番組紹介
ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。
この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの技術責任者で、工学博士のトシさんです。トシさん、よろしくお願い致します。
番組内容
トシ: よろしくお願いします。今日はスタジオに私たちのラボのメンバーの一人、宮部祐輔を連れてきて、ERA検査のQ&Aについてお話を進めていきたいと思います。
西村: さあ、始まりました『妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。アイジェノミクスより、今日はトシさんと一緒にお届けしていきます。トシさん、よろしくお願いいたします。
トシ: よろしくお願いします。
西村: そしてさらに、お隣の方。
トシ: はい。弊社のラボメンバーの一人、宮部祐輔を連れてきてですね。はい、ちょっと宮部くん。自己紹介をお願いできますか?
宮部: はい。去年の7月にアイジェノミクス・ジャパンに入社いたしました、宮部祐輔といいます。よろしくお願いいたします。
西村: よろしくお願いします。宮部さんすごい、身長が。何センチですか?
宮部: 185センチです。
西村: 大きい(笑)
トシ: 大きいです。僕も初めて会ったときに大きくて、おお、ってこうね、ちょっと威圧感が(笑)
西村: でも、優しいふわっとした笑顔の宮部さんと一緒に今日はお届けしていきたいと思うんですが、ちなみにアイジェノミクスに入られたのはつい最近というか、新入社員でお入りになられたんですって?
宮部: はい、そうですね。まだ半年ほど経ったぐらいで。まだ業務もこれからどんどん覚えていきたいと思っています。
トシ: いや、だいぶ早いです。若いから飲み込みが早いですね。
西村: なるほど。えっと、おいくつですか?
宮部: 26歳です。
西村: 26歳ですから、脳細胞がいきいきと(笑)
トシ: してますね(笑)
西村: 吸収してくれる?
トシ: そうです。回転が早い。
西村: なるほど、へえー。宮部さんは、ラボチームではどんなお仕事をされてらっしゃるんですか?
宮部: はい、臨床検査技師の資格を持っていますので、ラボチームで検体受領したり、結果レポートの送付をしたりとか、いろいろな業務をこなしています。
西村: では今日は、このフレッシュな宮部さんと一緒に、トシさん、お届けしていきましょう。よろしくお願いします。
さて、今週のテーマなんですが、ERA検査。これね、番組始まって以来何度もご紹介はしているんですが、改めて今日ね、いろいろそこのところを振り返りつつもご紹介をしていこうというところだと思うんですが。
ちなみに、皆さんすでにご覧いただいているかもしれないんですが、「ママタス」で検索していただけると出てくると思うんですけれども、ママ向けのウェブメディアでもこれ、ご紹介されているんですよね、ERA検査が。
トシ: ええ、そうです。
西村: 今、「ママタス」のページを見ております。『妊娠率がUP! 「着床の窓」が見つかる不妊治療最先端・ERA検査』と題して、こちらのウェブページがあるんですけれども。はい、具体的にまずはこの「ママタス」にもございますが「着床の窓が見つかる不妊治療の最先端技術」。はい、トシさん、ご紹介いただけますか?
トシ: はい、このERA検査という子宮内膜の着床の窓の時期を見つける検査。これまでも何度も取り上げておりますが改めて説明しますと、各女性の毎周期に来る着床の窓という時期は、各女性で異なっています。今まではだいたいこのあたりだろう、ということは分かっていたんですが、でも中にはだいたい3割ぐらいの女性はこう、ずれている。ずれているというのは、遅かったり早かったりする訳です。
というのは何が問題かというと、これは本当に、体外受精の卵を戻すタイミングです。これを、実際このあたりだろうと戻すんですが、それもなかなか着床しない、妊娠されないというときに、可能性としてその着床の窓が一般の人よりも遅かったり早かったりしているのがこの問題としてあって、それを調べる検査がこのERA検査です。
具体的に説明しますと、例えば体外受精の周期を作っていただく訳ですが、その際に、初回の黄体ホルモン、プロジェステロンとかいうんですが、これを補充してからだいたい120時間後ぐらいに多くの方はそのあたりに着床の窓が来るんです。もしくは自然周期であれば、LHサージが起きてから168時間後ぐらいにそういったタイミングが来るんですが、なかなかやっぱり3割ぐらい、もしくは4割ぐらいの方はそれが通常と異なっていて、後ろの方にずれたりしているのがもう分かっています。
西村: ちなみにこう、受けられた患者さまの何パーセントぐらいの方がずれてるっていう結果が分かるんですか?
トシ: これですね、今私たちの方で、私たちの本社がスペインのバレンシアにございますので、そこが集計しました。今までだいたい45,000検体を調べたところ、65パーセントぐらいはずれてませんよ、と。でも35パーセントの方が何かしらずれてらっしゃるというのが分かっています。しかも、そのずれている方のうち、8割から9割の方はこう、後ろの方にずれているのが分かっています。
西村: なるほど。宮部さん、ここ、じゃあ実際にERA検査を行う、と。こういうときに注意することとか、気にしておくべきこととかいろいろあると思うんですけれども、教えていただけますか?
宮部: はい。ERA検査によってその特定された着床の窓が開いている胚移植に最適な時間に合わせてERA検査の再現をします。
今回は子宮内膜を採取するのではなく、胚を移植するということなので、検査周期と移植周期の二つの周期が必要になってきて、そのときにERA検査を行った後に胚移植をするときに守らなければいけないポイントがありまして。
そこのポイントとしては、薬剤の使用方法が検査周期と移植周期と同じでなければいけなくて、その薬剤の使用方法でも3つほど注意点がありまして。薬剤の種類とかも合っていなければいけなくて、薬剤の飲む量ですね。一日200グラムだったのか400グラムだったのか。
トシ: ミリグラムですね。
宮部: あっ、ミリグラム。だったのか。
後は摂取方法。経口投与、口から飲むのか、注射剤で打つのか、もしくは膣剤で入れるのか。これらのタイミングというか、方法を一致させないとERA検査の有効性は無くなってしまうので、これらを検査周期と移植周期で合わせていただく。
そのためには転院などをしたり、薬剤を変更したりとかされた場合には、過去に使用したERA検査の結果は使用できなくなってしまいますので、新しく通われているところでもう一度ERA検査をやり直していただくのが望ましいと思います。
西村: なるほど。今「ママタス」の記事にちょっと戻らせていただくと、不妊カップルのうち10~25パーセントの皆さんが原因を特定できないというところにも実情としてある、と。
トシ: その通りですね。
西村: このまま原因が分からないまま治療を続ける。そうすると心身ともに大きな負担がかかる、と。こういった負担を、少しでも皆さんの負担を軽くするという意味でも、このERA検査の有効性というのはすごく強いですよね。
トシ: はい、そう思います。
西村: ちなみに、これから引き続きERA検査のご紹介をしていくんですが、まず、どこのクリニックでも受けられる、という訳でもない?
トシ: そうですね、ようやく増えてきましたが、今でようやく170施設、日本で。でも、日本で不妊クリニックというとやっぱり600~700施設あるといわれてますので、まだまだ、どこでも受けられる検査ではありません。
今、弊社のERA検査のホームページを見ていただければ、どこのクリニックにERA検査が導入されているか見て分かります。そこをご確認いただければ幸いです。
西村: では引き続き後半もERA検査について特集を組んでおります。ぜひ、今トシさんがおっしゃっていただきましたけど、まずは放送を聴きながらでも、どこのクリニックがお近くにあるかなんてのもちょっと調べていただきながらお聴きいただけると嬉しいです。
『先端医療の気になるあれこれ』。今日は、前半に引き続きまして、ERA検査について特集を組んでおります。さて、後半なんですが。
トシ: 私たち、本当に最近、よく患者さまや先生からもですが、ご質問を受けております。もちろんメール、後は会社に電話、ですね。
その中でいくつかご紹介すると、まず一つ、質問。レセプティブの時期に胚移植をしましたが、妊娠しませんでした。着床の窓は合っていたのでしょうか? というのがあります。私たちの返答はですね、残念ながら、レセプティブの時期に胚移植を行っても、100パーセント妊娠できる訳ではございません。これはなぜかと申しますと、やはり妊娠と着床には、着床の窓以外にも要因が、原因が複雑に絡み合っております。例えば卵側の問題もあります。あと、子宮内の環境の問題もあります。ですので、少なくとも着床の窓が開いている時期に胚移植を行うことが妊娠率の向上に期待はできますので、その点だけお伝えさせてもらっています。
西村: 今、レセプティブという言葉が出たのですが、皆さんにぜひそのあたりも解説を、トシさん。
トシ: はい、失礼しました。そう、レセプティブとは、私たち、よく検査結果で出てくるんですが、これは着床の窓でしたよ、受容期でしたよ、という意味になります。
西村: はい。では、そのレセプティブの時期とともに、様々な要因が組み合わさって成り立っていると。なるほど。
そして宮部さん、次なんですけれども、着床の窓っていうね、そのタイミングなんですけれども、どのくらいの時間開いているものなんでしょうか?
トシ: この着床の窓は、開いている時間に個人差が大きくありまして。一般的には24~36時間ほどと考えられているのですが、36時間より長くて48時間、2日ほど開いている方もいらっしゃいますし、逆に短くて12時間ほどしか開いてらっしゃらない患者さんもいますので一概に何時間とは言えないんですが、平均としては24~36時間となっています。
トシ: これね、論文ではもうちょっと長いことが報告されてまして。私たちのこのERA検査が出てから、私たちのこの検査で見ていくと、やっぱり長くても2日ぐらいかな、というような印象があります。
西村: そして、この胚移植をして子宮内膜に胚が着床するまでの、ここら辺の情報としたら、どんなことがあるんですか?
トシ: これですね、よく私たちは、これはもう本当にクリニックの培養士さんから聞く質問なんですが、どのような胚盤胞期胚のステージを用意したら良いですか? になります。確かに胚盤胞期胚というその着床する直前の卵ではあるのですが、その中でも初期の胞とか後期の胞とか、こうステージが細かくある訳です。
私たちお話しさせてもらっているのは二つありましてですね、一つは、普段やられていうように移植してください。このときERA検査をしたからいつもと違うステージの胚盤胞期胚を用いるとかではなくて、普段通りしてください。
もしくは、アシストハッチングという言葉があります。これは不妊クリニックさんの方では必ずあって、実は卵って周りに薄い膜をかぶってます。この膜から出てきて初めて着床する訳なんですが、この膜にですねあらかじめ少し穴を開けてあげて出やすくしてあげることがあります。こうしてあげることで胚盤胞期胚を移植されますと、その卵の細胞と子宮内膜の細胞が出会ったときに、だいたい私たち、5、6時間ぐらいで細胞同士が相互作用して着床がスタートするというふうに考えています。
じゃあ、どこの時点で着床となるのか。これすごく聞かれます。
西村: そうですよね。
トシ: 正直分からないです、これは。ただ、一般的に言われるのは、細胞が根を下ろすというんですか、その子宮内膜にですね。それが約2日後というふうには言われています。
その2日後まで着床の窓が開いている方ってのはおそらくいないはずなので、着床の完了までがこの着床の窓が開いている必要は無い、ということはここで伝えておきたいと思います。
あと私たち、さっき宮部の方からもありましたが、着床の窓が短い方がいるっていうのが分かっています。その長さ、12時間ほどです。この12時間ほどしかないから妊娠ができない、ということは無くて、そのタイミングにうまく卵を戻せればうまく妊娠される方もいるってことだけお伝えさせていただきます。
西村: 続きまして宮部さん。このERA検査が終わり、胚移植をすることになりました、と。で、ERA検査が、もう再現性が大事っていうことを聞きましたけれども、これ、薬剤についてとかも詳しく教えていただけますか?
宮部: はい。クリニックの方でいろいろ薬剤をもらわれると思うんですが、ERA検査で一番大事なのが黄体ホルモンと呼ばれるもので、これの別名がプロジェステロンというんですが。
西村: プロジェステロン、はい。
宮部: こちらがERA検査の方で一番大事になってくる薬剤ですので。
よく質問とかで、エストラーナテープという体に貼る薬剤があるんですが、それは周期ごとに異なっていても大丈夫なんですか? というご質問をいただくんですが、そのエストラーナテープの成分は卵胞ホルモンという物で、こちらの別名がエストロゲン。よく言われる女性ホルモンという物なんですが、こちらは周期ごとに貼る枚数が異なっていてもERA検査には影響しないので、問題なく使用していただいて大丈夫です。
トシ: プロジェステロンについてちょっと説明させてもらうと、こちら、いろんなメーカーさんがあるかと思います。どのメーカーさんでも構いません。でも、そのメーカーさんを変えること無く、投与方法を変えること無く、ERA検査の周期と胚移植の周期は同じようにだけ行ってください。これ大事です。
西村: そして「ママタス」の方にもERA検査についての費用の面のご紹介があるんですが、リスナーの皆さんにもそのあたりの、費用はどのぐらいを考えておけばよろしいでしょうか?
トシ: 各クリニックさま、これは自由診療になりますので価格がまばらです。ですが、だいたい相場的にはこのERA検査は14万円~15、16万円する検査となっております。
高額となっておりますが、やはり着床、2回、3回卵を戻してもこう、なかなか着床、妊娠されない場合は、もしかしたら着床の窓がずれているかもしれないというのは頭の片隅に置いていただきたいと思っております。
西村: そうですよね、やっぱりこのERA検査を受けることで妊娠率のパーセンテージも上がるという可能性がかなりありますから、そのトータルの治療費を抑えるとか。
トシ: おっしゃる通りです。
西村: あと、治療期間が短くなる。出産までの道がね。
トシ: やっぱりそれが一番良いと思います。
西村: そうですよね、それがやっぱり心と体の、ね、お母様のね、その部分のサポートにもつながってくるかもしれないですね。
そして、さらに。ERA検査を今日ご紹介しました。来週が?
トシ: 来週が、EMMAとALICEという、子宮内の細菌叢(そう)のQ&Aですね、こちらをお話しさせていただきます。
一つ、サプリメントです。こちらですね、いろいろなサプリメントがあります。一般的なサプリであればERA検査には影響しません。ただし薬品のような、クリニックさんで買うようなサプリメントの場合は、もしかするとERA検査に影響するかもしれませんので、ERA検査で取ったら、胚移植周期も取ってください。その点だけお願いします。
西村: さて、お時間となりました。今日はアイジェノミクス・ジャパン技術責任者のトシさん、それから宮部さんと一緒にお届けしました。来週もよろしくお願いします。
(二人): よろしくお願いします。
西村: 宮部さん、初めてのゲスト出演。どきどきでした?
宮部: はい、ものすごい緊張しました。
西村: (笑) いつもは何か、オフィスでもこの放送聴いていただいてるんですって?
宮部: そうですね、はい。
西村: この宮部さんの声を、オフィスの皆さんもですけれども、全国の皆さんが、世界中から(笑) 聴いていただいているという、軽いプレッシャーを投げちゃいましたでしょうか?
トシ: (笑)
西村: ぜひ来週もよろしくお願いいたします。
(二人): よろしくお願いします。
コメント無し
コメント無し
コメントする