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Vol 65:着床不全の時に確認したいこと ~慢性子宮内膜炎や着床の窓、免疫による拒絶反応について~

Tiempo de lectura: 3 minutos
アンディさん、小柳先生、小山先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「着床不全の時に確認したいこと ~慢性子宮内膜炎や着床の窓、免疫による拒絶反応について~」

番組情報

放送分:2019年7月28日放送分
ゲスト:東京HARTクリニック 小柳 由利子先生、六本木レディースクリニック(2020年現在は西船橋こやまウィメンズクリニック) 小山 寿美江先生
テーマ:「着床不全の時に確認したいこと ~慢性子宮内膜炎や着床の窓、免疫による拒絶反応について~」
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術をご紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、よろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日は東京本社に、東京HARTクリニックの小柳先生と、六本木レディースクリニックの小山先生にお越しいただいてます。今日のテーマは「着床不全に対する取り組み」についてです。

西村: さあ、本日は人形町にございますアイジェノミクス・ジャパン本社にてお届けさせていただきます。アンディさん、よろしくお願いいたします。

アンディ: よろしくお願いします。

西村: アンディさん、久々の番組ご登場で。

アンディ: 半年ぶり、ですかね?

西村: もう、世界を飛び回っていらっしゃいますね。

アンディ: そうなんですよ。起きたらどこにいるか分からないぐらいですね。

西村: でも、それだけこのアイジェノミクスのお仕事が広がっているっていう証拠ですね。

アンディ: そうですね、おかげさまで。

西村: そして、なんとこの人形町にありますオフィスも、来年ぐらいにさらに広くなるんですか?

アンディ: そうですね、使っていただいているクリニックもだいぶ増えてきて、人も足りなくなって、場所も当然足りなくなってきたので。来年からもっと大きくして、オフィスも会議室も広くして、ここでも収録ができるようにしたいと思います。

西村: なるほど、はい。さて、今日のゲストでございます。東京HARTクリニック、小柳由利子先生。そして、六本木レディースクリニックの小山寿美江先生でございます。先生方、よろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

西村: 先生方、先ほど早速もうラボの見学をお二人ともされていらっしゃいましたけれども、小柳先生、いかがでした、ラボは?

小柳: 外から見たことは何回かあったんですけれども、実際詳しい機械の説明とかしていただいて、すごいなと思いました(笑)

西村: 小山先生もいかがでした?

小山: 学会でこういう胚を調べる検査は知っていたんですけれども、初めてその機械を目の当たりにして、良いもの見させてもらったな、と思いました。

西村: 小柳先生と小山先生は、お二人結構こうお会いになったりお話しする機会ってあるんですか? 小山先生、いかがですか?

小山: はい、小柳先生だけではないんですけれども、生殖医療に従事している女医を集めて生殖女医会というのを作っていて。2、3カ月に1回、飲んだり話したりして、生殖の話題で盛り上がっています。

西村: なるほど。では今日は、女医のお二人の先生をお招きしてお話を進めたいと思います。先生方、よろしくお願いします。

(二人): よろしくお願いします。

西村: さて、アンディさん。今日のテーマなんですが。

アンディ: はい。今日のテーマは「着床不全に対する取り組み」なんですが、先週の振り返りもしていただいて、それから今日のテーマ「着床不全に対する取り組み」について先生方に、対談という形式でお話をいただきたいと思います。

西村: はい。小柳先生、先週の振り返りをお願いできますか?

小柳: 先週は「化学流産」というテーマだったんですけれども、その中で着床の窓とか慢性子宮内膜炎、後は不育症について話したんですけれども、せっかく小山先生に来ていただいているので、先生のご経験とか交えていろいろお聞きしたいなと思っています。

アンディ: 今週はまた免疫関係の話もしていただけるんですかね。

小柳: そうですね。でも、割合でいうと慢性子宮内膜炎が多分一番多くて、その次に着床の窓。免疫的な問題はかなり少ないと思います。

アンディ: ERA検査について一つ伺いたいことがありまして。実際ERA検査の有効性を確認できた例を、もしあれば紹介していただきたいです。

西村: じゃあ、小山先生お願いします。

ERA検査後の妊娠成功事例

小山: うちでは、他院で結構胚盤胞移植をしてきて、当院でも数回やった方でERA検査もした方がいらっしゃったんですけれど、その方がやっぱり1日ずれていたんですね。それで、ぴったり合わせてあげると1回で着床したっていう症例があったのが、このERA検査を始めてから衝撃的でした。先生、そういう症例、どうですか?

小柳: うちは日付診を2回やって、1回目が1からっていう結果だったんですね、排卵後。2回目、ちょっとあまりにもずれているので2回目検査したら3日目から5日目っていう結果が出て。それでまあ、多分進みが遅いんだろうと思って、6日目ぐらいでずっと移植してたんですけど全然付かなくて。
 で、ERA検査をやったら6だったんですね。むしろちょっと早く進んでるっていう結果で。それで4日目に移植して、初めて成功しました。

アンディ: なるほど。実は、他のクリニックからもそういった話は伺っております。先生、慢性子宮内膜炎について、実際どういうふうに検査されているか、もうちょっとお話をいただきたいと思うんですが。小山先生。

慢性子宮内膜炎の検査方法

小山: 慢性子宮内膜炎の診断は、当院では子宮鏡とアイジェノミクスさんのEMMA検査ALICE検査。あと、CD138に染まる免疫細胞が陽性だった場合、っていう検査があるんですけど、それを総合的に見て判断をしています。
 特にアイジェノミクスさんのALICE検査は、陽性だった場合、菌の種類とお勧めの抗生物質まで書いていただけるんで、他の検査でも陽性でALICE検査で菌が見つかった場合はすごく有効だと思います。

小柳: うちもそうです。さっきスクリーニングっていう話をしたんですけど、それはCD138で出してますね。日付診と同時にやってるんですけど。ただ、何回も抗生剤治療しても全然消えない場合にALICE検査をやって、菌が特定されるっていう有効性ってのはあると思うんですけど、実際経験したものとしては結果が出なかった、というものもあるので、ある程度症状が進んでいるというか、そういう人に有効なのかなっていう気はしてます。

アンディ: 先ほど抗生剤の話があったんですけれども、CD138の検査で実際治療するとしたら汎用性の抗生剤を使われるんですよね?

慢性子宮内膜炎の治療方法

小山: ビブラマイシンをファーストチョイスで使うことが主流ですよね、先生。

小柳: うん。

アンディ: そう効かない場合もありますか。

小柳: 効かない場合は、論文的には4パーセントぐらいなんですけど、実際はもっと多くて、実感としては半分ぐらいしか効かないような気がするんです(笑)

小山: そうですね。ビブラマイシンの次に使用する第2弾の抗生物質を使うことは割とあります。

アンディ: なるほど。

小柳: あと、菌がビブラマイシン感受性じゃなかった場合、逆に悪化するという経験もあって。マイクロポリープがすごい多発して、セカンドチョイスのも効かなかったりすることもあって。
そういう場合は結構、内膜掻爬(そうは)でポリープごと全部取っちゃうと菌の居場所が無くなるのか、結構良くなることが多いので。ポリープ取って、後は抗生剤じゃなくて乳酸菌の膣錠で環境改善する、みたいな感じにすると良くなるという人もいるんですよね。抗生剤ありきじゃないのかな、っていうのは最近思います。

ラクトバチルス膣剤の入手方法

小山: そうですね。乳酸菌といえば、EMMA検査で乳酸菌が足りない症例もよく見るんですけど、その乳酸菌を日本ではなかなかこう、手に入れにくいっていう状況ってのは無いですか、先生?

小柳: あの、アイジェノミクスさんがお勧めしてる(笑) ネットショップを。

アンディ: 製造元がヨーロッパなんですけどね。先生方が輸入しているということにはなるんです。

小山: なかなか、患者さんにお勧めするときにその乳酸菌をどこで手に入れたらいいのかっていうのはちょっと困ることがあって。ラクトショップっていう方が一番だと思うんですけど、他に、そこも売り切れのときもあったりして(笑)

西村: 売り切れるんですね。

小山: そうなんですよ、一カ所しか無いので。なので、もうちょっと手に入れられればいいのかなと思うんですけど。

小柳: 最近、患者さんも自分で調べて、結構自分から、着床不全じゃなくても「必要ですか?」って質問されたりすることもあるので、かなりポピュラーになってきてるのかな、と思いますけど。

アンディ: 着床の窓と子宮内膜炎以外に、着床不全で考えられること、原因とは? またお話をいただけますか?

着床不全とTh1細胞

小柳: 免疫的な問題、ということなんですけど、Th1/Th2という言葉があって。ヘルパーT細胞の、Th1が細胞性免疫、Th2が体液性免疫で、細胞をやっつけるTh1の方が着床に関わっているっていわれるんですけど、そのバランスがTh1に偏ると着床しづらい人がいる、ということですね。

アンディ: 測定してみてバランスが崩れているという場合は、どういうふうに治療ができますか?

小山: Th1/Th2比がある程度高くて、Th1比、Th1活性が高い症例については免疫抑制剤のタクロリムスというお薬を使用しています。

西村: そのお薬は、飲むお薬?

小山: 飲み薬です。

小柳: 元々は臓器移植の後とかに大量投与するものなんですけど、それを少量飲むと着床が改善するっていうのがあって。
でも、印象としては結構、タクロリムスが汎用され過ぎてるなと思うんですけど、実際Th1を測ってみて30未満ぐらいであれば全然普通に付くんですよね。だから、私の経験では30超えてる人で初めてタクロリムス飲んで付いたっていう人は2、3人いるんですけど、頻度的にはかなり低い。50人とか100人に1人とか。それぐらいのイメージですね。

小山: そんなに高い人、いませんよね。

小柳: うーん。

小山: 私も1例、Th1がやっぱり30以上あって、それまでに5、6回ぐらい胚盤胞移植をしていた方がいらっしゃったんですけど、タクロリムスを使用して初めて着床したっていう症例は経験したことがあります。

タクロリムスと流産の関係

小柳: うん、それはありますね。ただ、何が問題かというと、あんまりTh1が高くないのに、ちょっと高いだけでタクロリムス処方されてる場合とかだと、結構その、流産が増えるというか。無理やり着床させてる、みたいなことが起こって。
だから本当に、タクロリムス、一時期すごい有効だと思っていっぱい出してた時期あるんですけど、妊娠率は確かに上がるんですけど流産率もかなり上がるので、その内膜のセンサー機能みたいなものもやっぱり染色体異常があると多分内膜がそれを判別して着床させないようにという働きが多分あるので。そこを抑えない方が良いんじゃないかな、と思いますね。

小山: どれぐらい以上を使うかっていうガイドラインが。

小柳: 無いんですけどね。

アンディ: なるほどね。

小柳: あと、いつそれを調べるか、っていうのもあって。検査自体はそんなに高い検査じゃないんですけど、頻度は低いので。どうですか、先生、どういう人を対象に調べてますか?

小山: やっぱり着床不全の方ですね。

小柳: あ、良好胚を何回か戻したけど、という。

小山: そうですね。

小柳: うちもそうだったんですけど、患者さんに言われたことがあって。
本当に卵ができない患者さんで、もう10回以上採卵しているんですけど、胚盤胞が過去に3つぐらいできたことがあるんですけど、戻しても全部付かなかったんですね。で、自分で「なんか免疫的な問題があるんじゃないか」って言って、まあ女医さんだったんで自分のところのクリニックで調べたら、Th1がすごい高かったんですね、30以上。だけども、戻す卵が無くて。こんなに簡単に検査できるのに、なんで一番最初にスクリーニングでやってくれないんですか? って言われて、すごいショックではあった。

小山: そうですね。年齢が高くて採卵する機会が少ない方については、初めから言っても良い検査ですね。

小柳: それは、すごい感じました。

西村: さあ、引き続き後半も東京HARTクリニック、小柳由利子先生、そして六本木レディースクリニックの小山寿美江先生にお話しいただきます。お二人とも後半よろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

慢性子宮内膜炎があるとTh1が高くなる

アンディ: 小柳先生。炎症と免疫は関係ありそうですけど、いかがでしょうか?

小柳: 小山先生と話をしていて、ちょっと新しい話を聞いたんですけれども。Th1/Th2比。Th1が高い患者さんの中には、慢性子宮内膜炎が隠れてるっていう話があって。ちょっとお話をお聞きしたいと。

小山: 昨日、製薬会社さんのウェブ講演を見ていて、その中で慢性子宮内膜炎の話が主体だったんですけど、その慢性子宮内膜炎のある患者さんにTh1/Th2を測定したところ、明らかに慢性子宮内膜炎がある方にTh1が高かったっていうグラフか何かを見て。
そうすると、Th1/Th2だけを測れば良い問題じゃないのかな、とふと思ったんですね。なので、Th1/Th2が高ければ免疫抑制剤を使うんですけど、その陰に慢性子宮内膜炎が隠れているのであれば、一緒に慢性子宮内膜炎の検査をして、慢性子宮内膜炎を治療すればTh1が下がるのかな、と思ったんです。

小柳: 逆にTh1だけ下げても、多分着床はするけど、早期の流産とかになっちゃいますよね。

小山: そうですね。慢性子宮内膜炎が存在すれば、そうなりますよね。

小柳: だから、ペアで調べた方が良い、ということですよね。

小山: そうですね。

西村: 小柳先生、小山先生。まだまだお話が尽きないところだと思いますので、この続きはぜひ来週に。またお二人にお話を伺いたいと思っています。
 来週なんですが、小柳先生。どんなお話伺えますか?

小柳: 着床に関わる因子は結構たくさんあって、それぞれが関連しあったり、先ほどの免疫と炎症の話もそうですけど、しているので、一つだけ合格だったら良いとかいう訳じゃなくて、やっぱりいろんな視点を持って原因を調べていかないといけないと思うんで、その辺の総合的な話。

西村: やっぱり、多角的に見る力とかっていうのが必要ってことでしょうかね、小山先生。

小山: そうですね。着床に向かってチャレンジしている部分はあるので、いろいろ試してみるっていう姿勢は私たちの方も必要だと思っています。

西村: こうやってあの、女医の先生方お二人と、こういった対談形式でお話を伺うの、アンディさん、初めてでしたね。

アンディ: 初めてですね、はい。

西村: こういう先生方のお話も引き続き、来週、アンディさん。よろしくお願いします。

アンディ: よろしくお願いします。

西村: さてお時間となりました。今日は東京HARTクリニック、小柳由利子先生と、六本木レディースクリニックの小山寿美江先生にお越しいただきました。来週も先生、よろしくお願いいたします。

(二人): よろしくお願いします。

西村: アンディさんも来週、よろしくお願いします。

アンディ: お願いします。

西村: それでは来週、同じ時間にお会いいたしましょう。

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