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Vol 74:子宮内に必要な善玉菌はラクトバチルス

Tiempo de lectura: 3 minutos

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。

番組情報

放送分:2019年9月29日放送分
テーマ:「子宮内に必要な善玉菌はラクトバチルス」
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番組内容

FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの代表であり、理学博士のアンディさん、ラボマネージャーであり、工学博士のトシさんです。アンディさん、トシさん、よろしくお願い致します。

(二人): よろしくお願いします。

トシ: 今日のテーマは「子宮内の細菌環境をみるEMMA検査」についてです。
 このEMMA検査は、子宮内の細菌叢を調べる検査なんですが、そもそも、例えば皮膚の上とか口の中とか腸内とか各臓器、各場所においていろんな常在菌がいます。
膣の中にも常在菌はもちろんいて、今回僕たちのこのEMMA検査というのは子宮内の細菌叢を調べる検査なんですけども、各場所にいろいろ常在菌はいるけれども、じゃあEMMA検査は何なのかというと、これまで膣にはラクトバチルスが多いですよ、というのは分かってたんです。
これが、EMMA検査というのを私たちが出したのは、それまで子宮内には無菌だと言われていた時期があったんです。でも、次世代シーケンサーの登場で、いや、どうも無菌じゃない人もいるよ、と。調べていくと、無菌じゃない人の方が多いんじゃないかという話になってきて、子宮内膜マイクロバイオーム検査、EMMA検査が出ました。

西村: 私もこの番組に関わらせていただく前は、無菌の状態だと。別に誰からか言われた訳では無いんですけれど、勝手に思い込んでました。

トシ: 実際私たちもこう、各クリニックに行って説明したときに、こうERA検査の説明して、その後にEMMA検査の紹介をすると、ある先生はやっぱり言います。「えっ、菌いるの?」「いないよね?」「嘘だあ」とか言って、話になります。「先生、いるんですよ」と言ったら「えっ、文献ちょうだい」って言われて、お渡しすると「あっ、そうなんだ、じゃあやってみようか」っていう話になります。本当、そうです。

EMMA検査にALICE検査が含まれているのはなぜ?

トシ: このEMMA検査なんですけれども、ALICE検査が含まれているんですよ。最近ちょっと患者さんから問い合わせがあって、言われたのが「私はEMMA検査だけで良かったんだ」と。

西村: ははあ、はい。

トシ: EMMA検査を受けたらALICE検査も入っていた、と。だからちょっと料金が高くなっているような気がする、と。いや、違うんです。私たちのこのEMMA検査の中にALICE検査が含まれているんです、とちょっと細かく説明しました。
 EMMA検査というのはそもそも、細菌叢を網羅的に見ます。なので、ALICE検査はターゲットを絞って10種類の悪玉菌を見ているんですけれども、その菌ももちろん検出されればEMMAの検査結果に出てくるんですよ。だから、EMMA検査をするとALICE検査は付いてくるんです。
これをわざわざ分けているのは、やっぱり一目見て分かりやすいようにです。細菌に詳しい先生たちはすぐ分かるんですよ、これは何々、とか。
だからEMMAALICE分ける必要は無いんだけども、やっぱり私なんかもそんなに得意では無いので、分かれている方が、あっ、この菌が入ってるとあんまり良くないなあとか。  
なので、わざと結果の表をこう分けてお出しして、患者さんが見ても、あっ、私病原菌いるわ、悪玉菌いるわって感じてもらえるためにそういうふうに分けています。

関連記事:EMMA検査にALICE検査が含まれている理由

西村: 実際にそのようにご説明されて、患者さんの反応はいかがでした?

トシ: 「あっ、そうなんですね」と本当に納得されてくれて良かったです。てっきり、患者さんからしたら追加料金を取られてるんじゃないかと心配されたみたいで。そうではないんです、という話をしてですね。
もちろんALICE検査だけ、病原菌だけ見る検査も実はあって。これはこれでもちろんメリットはあります。でも、EMMA検査として受けていただくことを、私たちは推奨してますよって話をしたら「あっ、良かったです」って言ってくれたんで、安心しましたね。

アンディ: そうですね。乳酸菌が足りない場合はもちろん、病原菌があるか無いかという二つの可能性があるんですけども、病原菌があった場合、やはりALICEのように、この病原菌があればこういう抗生剤が効きますよ、というような情報が欲しいと思うんですね。
対菌、菌に対して抗生剤を使って治療すると効果的に菌が消えていくので、こういった情報は非常に大事かと思うんです。EMMA検査だけの検査だったらそういった情報が出てこない。含まれているからこそ出るんですけれども、もし乳酸菌だけの情報で良いよという場合、もし(乳酸菌が)足りなかったら何が入っているか分からなくなる訳です。これがALICEが入っているメリットであると思うんです。

必要なのはラクトバチルス

アンディ: 子宮内の細菌環境は、実は腸内環境とは全く違っていて、当然、常在する菌も違います。それから、われわれが考えている善玉菌という概念も違ってくる訳なんです。
例えば、ビフィズス菌は腸には良いんです。いくつかわれわれのクライアントさん、要は病院で見た例なんですけども、ビフィズス菌が100パーセントあっても着床ができない患者さんがいる訳です。それで治療して、ビフィズス菌をラクトバチルスに変えていくと着床したという例もありますから、本当に場所によって必要な菌が違ってくると考えられます。

トシ: 本当に、腸内の菌から肛門を通じて、膣に通して子宮内に上がってくる話はあるけれども、やはりさっき挙がったビフィズス菌というのはもちろん子宮内に多い方、いらっしゃいます。でも、治療してもらった方がより良いような話はやっぱり聞くので、その中でサプリメントですね。
どうやって治療していくのかって話になったときに、もちろん抗生剤叩くっていう方法もあるんですけども、その後、私たちはやっぱり、ラクトバチルスがたくさんいた方が良い、という考え方なので、サプリメントを推奨する訳なんですけれど。
そのときに、ラクトフローラの「フォルテ」というのが販売されていて。これはもう、私たちとは全然関係ない会社さんなんですけれども、日本で唯一ネットで買える、サプリメントで買える会社さん。ラクトフローラ「フォルテ」というのがあります。これはラクトバチルス菌が実際に入っているものになります。

関連記事:日本で入手できるプロバイオティクス

ラクトフェリンではラクトバチルスは増えない

トシ: ラクトフローラ「フォルテ」は膣剤として使ってもらうんですけども、これで私たちがよく患者さんが言われるのが、これ、先生からも言われたりするんですけども「患者さんにあげてるよ」って言うんです。「先生、何をあげてますか? ラクトフローラですか?」って聞いたら、「ラクトフェリン」って言われるときがあるんですよ。結構な頻度で言われます。
 ラクトフェリンって、これは先生にいつも説明するんですけれども、ラクトバチルス菌は入ってませんからね、と言うんです。なので、ラクトバチルス菌が入っていないものを患者さんが摂っても、ラクトバチルス菌が増えるかどうかは。じゃあ、ラクトフェリンって何なのか、と。

関連記事:ラクトフェリンはタンパク質の一種で細菌ではありません

西村: そう。ラクトって付いてるから、そもそも。

トシ: 菌が入ってるのかな? って思っちゃうんですよね。

アンディ: これ、そもそもの考え方ですけど、内服と膣剤の違いがある訳です。内服することによって子宮内膜の中のラクトバチルスが増えるかどうか、ということなんですけど、飲んで子宮に行くか?ということなんですよね。
もちろん、内服することによって全体的に環境が良くなって、数カ月後とか、一定の期間が経ってから全体的にちょっと良くはなるとは考えられると思うんですね、原理的に。
ただ、不妊治療ですから、手っ取り早い方法としては膣剤で増やして、ラクトバチルスがある程度増えてきたらもうその周期で移植できるから、何カ月も待ちたくない訳ですよね。
あと、そのエビデンスが無いので、じゃあ何カ月飲めば子宮の中で効果があるか? そこがまったく証拠が無いですから、われわれとしてはもう膣剤を推奨してるんです。もちろん、膣剤をやりながらその内服をしても問題は無いとは思います。

トシ: やっぱりヨーロッパの方だともう、そういったカルチャーは昔からあって、ラクトバチルスの膣剤というのはたくさんメーカーさんがあるんですよね。 
そういった方たちは本当に膣症の方が使ってたりしてたんだけれども、今はまあ不妊の方にも効果的だ、みたいな形で使われていると、そういった歴史があって。日本にはまだ浅いものになるので。

アンディ: まあ、アジア全体もそうですよね。聞こえたそのラクトバチルスの製品を調べたらほとんどヨーロッパなんですよ。

トシ: そうですね。

アンディ: フランス製のタンポンもある訳ですね。ラクトバチルスが付いているタンポンがあるんです。

西村: 身近にあると。フランスとかは。お国柄というか、それに対してアジアは、あれっ?みたいな。

病原菌に強い子宮内環境を作るラクトバチルス

トシ: 実際じゃあ、ラクトバチルス菌。子宮内の中に、なんで必要なの?というこの質問がよく聞かれるのがあって。
これは仮説なんですが、言われているのは、ラクトバチルス菌って純粋に酸を作って出すんですよ。

アンディ: 乳酸ですね。

トシ: すると、ラクトバチルスがいる環境がどんどん酸性環境になっていく、と。これ、酸性環境の何が良いかというと、病原菌、悪玉菌はほとんどが中性とか弱アルカリ性で生きていけるんですよ。だから酸性環境には、もし病原菌が入って来てもそこで生きることができない。生着できない。これが一番守られている。
だから、ラクトバチルス菌って何をしているかというと、そういった環境を作ってあげる、病原菌に強い子宮内を作り守ってくれる、ガードする役割をしてくれる、と。こういった役割があると言われています。

アンディ: EMMA検査をしてULTRALOW(ウルトラロー)という、ほとんど無菌に近い環境の結果が出るときがあるんです。もちろん、その臨床で見た結果はそのまま移植しても着床するし、継続妊娠もしくは生残も良くて。
ただ、予防としては、やはり膣剤を入れてほしいということなんです。後から感染しづらいように、予防として膣剤を入れていくことも推奨しています。

西村: さあ、この放送を聴いていただいているリスナーの皆さんに、トシさん、メッセージをお願いします。

トシ: はい。私たち検査会社ですが、直接患者さんからの問い合わせとか気になったこととか受け付けておりますので、お気軽に電話でも、メールでも、弊社のホームページから問い合わせいただければすぐにお答えさせていただいてますので、お気軽にお問い合せください。

西村: それでは来週、同じ時間にお会いいたしましょう。

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