Vol 86:妊活ラジオ2019年5月~8月の放送を振り返って
病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「2019年を振り返って<Part2>」
番組情報
放送分:2019年12月22日放送分
テーマ:「2019年を振り返って<Part2>」
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番組内容
FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンのサイエンティフィックアドバイザーであり、工学博士のトシさん、そして事業開発部長のリュウタロウさんです。よろしくお願い致します。
(二人): よろしくお願いします。
西村: さて、先週に引き続きましてトシさん、そしてリュウタロウさん。1年を振り返っていく、3週にわたってのスペシャル放送でございます。
まずなんですけど、今日は5月~8月と、この4カ月間を振り返りたいんですが。3月になんと台湾オフィスがオープンしてたじゃないですか、トシさん、リュウタロウさん。
トシ: そうですね。
リュウタロウ: 私、アイジェノミクスに入って、すごく面白い会社だなと思ったのが、スペインの会社。で、びっくりしたのが、スペイン語なので、南米にものすごく展開が早くて、南米がいち早くすごく大きくなって。
アジアはこれからで、一躍日本は立ち上がったんですが、ようやく台湾ですね。アジア2番目の拠点が。
西村: パチパチパチパチ。
リュウタロウ: これからアジアが盛り上がって。
トシ: いきますね。
西村: なので、アイジェノミクス・ジャパン代表の、
アンディさんはもう台湾、行ったり来たり。
トシ: そうです。この時期、アンディずっと台湾でしたね。日本に帰って来なかったですね(笑)
西村: でも、いまその台湾オフィスの方も10人弱ぐらいのスタッフの皆さんがご活躍だそうで。
トシ: いまはもう、すごく回っていて、定期的にミーティングもしたりして。良いチームです。
西村: さて、それでは放送を振り返る5月、6月。まず前半、こちらをお届けしていきたいと思いますが、5月。今年、まずご登場いただいたのが、このFM西東京がございます西東京すごくお近くのクリニックでございますが、武蔵境いわもと婦人科クリニックより。
トシ: 岩本先生に出ていただきましたね。
西村: はい。そうですね。
トシ: もう、ここの先生はすごく面白い。アニメもね、先生のキャラクターを使ったドラゴンボールの。
西村: そうそう。Twitterもね、岩本先生されてらっしゃるんですけど、アイコンがドラゴンボールの亀仙人、ってご存じ?
リュウタロウ: 知ってます、もちろん。
西村: あのモチーフを(笑)
トシ: そう(笑) まんまね、使ってらっしゃる。似合ってる、うん。
西村: イラストレーターの方にね、あの。
トシ: 描いてもらったって言ってましたね。
西村: 描いていただいて、オリジナルのアイコンを使われてらっしゃる先生の、元気な、パワフルな先生でいらっしゃいますけれども。はい。
トシ: この岩本先生がおっしゃってたその「妊活男子」って言葉が生まれたんですよ。もう僕、衝撃でしたね。「妊活男子」は。
西村: 妊活って、なんか女性だけのものってやっぱりいまだにイメージがあるけれど、「妊活男子」と岩本先生おっしゃってて。
トシ: あのとき先生が言ったのは、旦那は精子を出すことしかできないんだから、キレッキレの精子を、極上の精子を出せと言ってた言葉が印象的でした。
リュウタロウ: なんか、厳しいご指摘ですね(笑)
トシ: でも本当、実際、現場というか、旦那さんは「ああ、精子出さなきゃできないのか」っていう思いで出しているのをよく聞くんです。いや、違うんだ、と。何ができるんだお前は、と。
西村: って、岩本先生がね(笑) トシさんがおっしゃったんじゃない、岩本先生がおっしゃってました。
トシ: 僕じゃないですよ(笑)
リュウタロウ: 出産はどうしても女性が主役っていう側面があるので、男性がなかなかこう、気持ちというか、勉強なりマインドがなかなか追いついていかないところがどうしても出るとは思うんですけれども、家族の問題ですからね。
トシ: そうです。夫婦揃って頑張るんだ、というのを強くおっしゃっていた先生でしたね。
その次が、アイジェノミクスのオフィシャルブログで上位に挙がっていたものを紹介させていただいたんですね。
西村: はい。先週もご紹介しましたけれども、アイジェノミクスのオフィシャルブログがございまして。そちらには結構、ご覧いただいている方からご質問とかがあるんですよね。
トシ: 本当によく来ます。でも、そういった会話、皆さんが見られる質問の返答、回答というのをこの中でいろいろな情報が一つのこう、正しい情報に向かえば一番良いと思ってます。
その中で私たち、このときお話ししたのは、一番トップだったのはNIPTというテーマだったんですね。
リュウタロウ: なるほど。
トシ: これは出生前診断といって、妊娠10週から15~16週の間にお母さんの血液からおなかの中の赤ちゃんの染色体を見ようか、という検査ですね。
これですね、この検査を受けられる施設がまだまだ少ないんです。日本でもまだ80~90施設ぐらい。この施設が、そのとき増えるっていう話がちょうどあったんですね。ただ、それがこの今年の年末までに結構大きな変化があって。一旦それがストップしました。
リュウタロウ: 残念ですけども。
トシ: ちょっと残念ですが、やはり学会同士の話し合いもあって、一旦厚労省の方がその話し合いを受け取って、今後検討していくといった形になったので、ちょっと認可施設の方は広がらず、の方向になりましたね。
リュウタロウ: そうですね。ライフサイエンスの技術って、テクノロジーとしてはものすごく進歩しているので、いろんなことができるようになってしまった故、逆にちょっとこう、いろいろな倫理的な問題とか考え方とか、そのあたりをしっかり整理しないといけないな、という問題があります。
西村: 皆さん、その足並みを揃えるまでもう少しお時間がかかるのかな。
トシ: かかりそうな印象がありますね。
その中で、次の2位としては、慢性子宮内膜炎とは、という話があって。よく、慢性子宮内膜炎ですよ、と診断されるのは日本ではCD138抗体で染色をして調べましょうというのはあります。
ただ、これは世界でも同じなんですけども、あなたはこの検査を受けて陽性でしたよ、となったときの定義が、各施設によってまだ定まっていない。ある施設さんでは、あなたは陽性、という写真を見せられたときに、ポチポチと色が付いてますね、と。これが1個あったら陽性というところもあれば、5個あったら陽性と、こう基準が違ったりします。
ここはまあ、世界でも日本でももちろんそうですけれども、基準が定義されてれば大事なのかな、というところはありますが、そこで僕たちのEMMA・ALICE検査の紹介もさせていただきました。
このEMMA・ALICE検査は、慢性子宮内膜炎ですよ、という診断はできません。ですが、病原菌がいる、いないといったあたりは判定できます。病原菌がいるイコール炎症が起きているという訳ではありませんが。
ちょっと詳しく話をすると、この炎症というのはCD138がいまは主流である訳ですが、これはもう、あくまで何によって炎症が起きているかは分からない訳です。細菌性かもしれないし、免疫かもしれないし、ストレスかも分からないし、という。分からない。
リュウタロウ: そうですね。形態的に、形を見て判断するというところで。その主義がやはり違う、というところはありますね。
トシ: 一方EMMA・ALICEの方は細菌性だけを見ているものになります。だから炎症が起きている、起きていないとはちょっと離れた点ではありますけれども、ただ、病原菌がいると妊娠、着床するのは難しいところがあります。なので、こういった検査を紹介させていただきました。
ここで出てきた言葉に、ピンポン感染ってありましたね。奥さまがある病原菌を持ってた、治療してもなかなか治らない、となったときに、耐性菌かもしれない話もあるんですけれども、それとは別に、旦那さんからもらっているかもしれない。
リュウタロウ: そうですね、それはじゅうぶん可能性がありますね。
トシ: もう一つ上位に挙がったのが、PGT-A検査の重要性の話です。これはもう、流産率が下がるというのがやっぱり主流で、いま全世界で行われている検査です。5月はこういったところでしょうか。
西村: さあ、引き続きこの1年を振り返っていきます。6月は?
トシ: 6月は、東京HARTクリニックの小柳先生と、アクロスジャパンの小川さんに出ていただきましたね。これは、養子縁組の話でした。
なかなかこう、私たち日本では養子縁組って話は見聞きすることは無い訳なんですけれども、このアクロスジャパンの小川さんがそういった相談も、事業の方を展開しているということで、海外、日本との違いから、あと、子どもを持たないという選択肢もですね、っていう話がありましたね。
西村: 日本は6.2%、子どもを持たない選択。アメリカは14%、スペイン、イタリアは21%、ドイツは24%の方々が子どもを持たない選択をされている、と。
トシ: そうです。
西村: 各国で全然そのあたりの考え方とかもね。
トシ: 違いますね。
リュウタロウ: 社会の対応性といいますか、そのあたりも違うんでしょうかね。
西村: そして、7月でございますが。
トシ: はい。7月はクリオス・インターナショナルの伊藤ひろみさんに出ていただきました。ここは精子バンクの会社さんですね。本社は確かデンマークだったと記憶しております。
日本の方でその精子バンクというものを、匿名のドナーとか、非匿名のドナーとかそういった問題点も抱えながら、日本の方で小さくではありますが少しずつ展開をしていっている、という話がありました。
この中で、ちょっと驚いたのはあれですね、精子バンクのドナーになるための試験がすごい厳しい。厳しいだろうと想像はしてましたけど、思った以上に厳しかったですね。きちんと、どういった思いでその自分の精子をドナーとして登録するのかって思いまで聞くというのがありましたね。
西村: それから、東京HARTクリニックの小柳先生。
トシ: ここでは、化学流産についてお話いただきました。臨床的に意義がある化学流産というのは、妊娠4週でhCGが20以上だけれども、胎嚢(たいのう)が確認できない状態で化学流産という、と。これは胚側の問題、染色体の異数性の問題、子宮内膜側の問題、あとは免疫などがあります、という話でした。
あと、六本木レディースクリニックの小山先生に出ていただきましたね。ここでは良い話というか、日付診というERA検査に似た検査があるんですが、この日付診を2回やっても、何度も移植したけども妊娠しなかった患者さんがERA検査をして、着床の窓がずれてた、と。それで移植したら妊娠したという話がありましたね。
リュウタロウ: いろんな手法がある中で、ERA検査で結果が出たというのはすごく嬉しい。
トシ: ええ、私たちとしては開発したかいがある、嬉しい話です。
西村: この番組を通して、やはり先生方から実際にその患者さんからどんなお声があったか、どんな結果があったかとか、そういう具体的な話をお伺いできるのも嬉しいですね。
トシ: そうですね。本当にそれが嬉しいです。
で、8月。ここはちょっと大きなアレがありました。ERA検査が他の国で模倣品が出たんですね。
西村: あらっ。これ、私も結構、お伺いしたときにびっくりだったんです。名前も似てるんですって?
トシ: そうです。ER・・・
西村: ほにゃらら(笑)
トシ: ・・・そう(笑) すごい似ていて、何だろうこれは? って私思ったんですね。まあ、中国の方から出てましたね、これ。
で、これがまあ、出たんですけれども、本当に模倣するのは難しいんです。なぜなら、これは普通の遺伝子検査とは違います。普通というのは、DNAを見るのが普通の検査だと思います。ただ、このERA検査はDNAではなくRNAという遺伝子の発現量というものを詳しく見ている検査です。ですので、模倣するのはすごい難しいです。
リュウタロウ: これはね、私も技術革新をものすごく感じたところで。
15年ぐらい前にライフサイエンスの世界だと、RNAってすぐ壊れちゃうからなかなか分析できないよね、っていうのが主流だったんですけれども。RNAをきれいに保存するような技術革新ができて、診断ができるようになるという。ここはすごく驚かされた点です。
トシ: あと、それとプラス。やっぱり情報解析の。
リュウタロウ: そうですね、ITの技術ですね。
トシ: ここが大きく進歩しましたね。
リュウタロウ: スペインの本社に行くと、解析用のPCをサーバーとして何台も並べて、10人ぐらいのIT技術者が常に解析を。データがどんどん蓄積していって、より精度が高まっているかな、という感じも出てます。
トシ: まあ、これはやっぱり模倣は難しかったようで、中国の国内でもあまり広まってないことが分かりました。
次に、EMMA・ALICE検査の臨床研究を。JISARTという、日本でも著名なクリニックさまを代表するグループがあります、その中での臨床研究をスタートさせたんですね。
これはとても興味深い研究でして、私たちがEMMA・ALICE検査でラクトバチルス菌、膣剤を推奨している訳ですけれども、じゃあそれが本当に補充してあげたらどれだけ妊娠率が上がるのか? という明確な答えを持ってません。ここを、このJISARTのグループがやっていただいています。
いまはもう、ちょこちょこ情報が来てまして、良い話を聞いております。
リュウタロウ: EMMA・ALICEをスタートしていま1年少し経ったぐらいでしょうか。ようやくいろいろ蓄積ができてきて、このJISARTの研究ももう少しでアウトプットができるかな、と。
西村: そしてゲストの方。8月ご出演いただいたのが、亀田IVFクリニック幕張より、胚培養士としてお仕事をされていらっしゃる平岡先生にご出演いただきました。
トシ: 平岡先生はもう、胚培養士として卵に対しての思いがすごい強いですね。凍結技術の革命についてもお話ししていただきました。
西村: そう。瞬間凍結?
トシ: そうです。いままではゆっくり凍結する方法だったのが、瞬間凍結をすることで生存率が劇的に改善したという話がありましたね。
あとは、ピエゾの導入という、優しく丁寧に精子を卵子の中に注入するという、そういったストレス、卵に対する質を維持するために、良い技術をじゅうぶんに使いこなすということをすごくおっしゃってました。
リュウタロウ: 培養士さんは、本当にこう、胚という小さなものと向き合ってすごく神経を使うお仕事だと思いますので、そういった技術革新がどんどん取り入れられていくというのは培養士さんにとってもすごく心強いことかな、と思います。
西村: さて、「この1年を振り返って Part2」と題してお届けしましたが、来週は?
トシ: はい。Part3では、亀田IVFクリニック幕張の院長、川井先生にご出演いただきました。ERA検査で、やはりまた妊娠した話。また、ラボとドクターとの間での話し合い。これ、すごかったですね。そういったところの話をもうちょっと詳しく話せたらな、と思います。
あとは、PGT-Aの特別臨床研究についてのお話もちょっとあったので、新しく情報があるのを話したいですね。
西村: 振り返りを聴いて興味がわいたというこの情報、あの情報は、ぜひポッドキャストで振り返っていただいてお聴きいただけると嬉しいかと思います。
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