PGT-A|流産とPGT-A検査|国内の流産検体は8割以上が染色体異常という結果に
FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。毎週さまざまな先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。
目次
番組内容
2020年2月23日放送分
リュウタロウ: 今回はトシとリュウタロウの二人でお届けいたします。
トシ: 今日のテーマは「アイジェノミクスのPGT-A検査 Part2」。先週に引き続いてです。
リュウタロウ: 先週は、正倍数性モザイク結果が出ないとかそういう特徴の話をしたと思うんですが、実際に患者さんあるいはクリニックさんからするとどういうことが分かるんでしょうかね?
PGT-A検査とは
トシ: このPGT-A検査、改めて簡単に説明させてください。これは胚盤胞期胚を移植する前に、胚盤胞期胚から細胞をちょっとだけ採って染色体の数を調べる検査です。
胚盤胞期胚は、将来胎盤になる部分と胎児になる部分があって、将来胎盤になる部分から調べるのがこのPGT-A検査ですので、本当に胎盤が例えば異常であっても、胎児になる部分は正常である可能性はわずかですが残っています。そういった検査であることをまずはお伝えします。
リュウタロウ: 可能性、ですよね。可能性だけれども、やっぱり知ってる知らないというのでは非常に大きな違いがある、と。
トシ: 選択肢の一つとして、知らなければ駄目だと思います。
リュウタロウ: その辺も今日いろいろまた話してくださいね。
PGT-A検査の結果の種類
トシ: この検査の結果のパターン、紹介させてください。まず、結果のパターンとしては6種類あります。
一つは正倍数性と言って、これはノーマル、正常ですよという結果があります。次は異数性。これは異常な胚としての異数性があります。
次に、その異数性の中でも2種類以上の染色体で数がおかしいと思われるときは、私たちは複数の異数性と言って。コンプレックスとか言ったりもします。
次、4つ目が、6種類以上の染色体で、染色体の数が多い少ないだったときは多数の異数性、カオスと言ったりします。
リュウタロウ: そっちの方がなんかイメージがわきますね。
トシ: 分かりやすいですね。で、5番目、6番目なんですけれど、これはモザイク。
リュウタロウ: あっ、先週出てきた。
トシ: ややこしいモザイクです。これは低頻度のモザイクと、高頻度のモザイク、2つに分けて検査結果の方をお伝えしています。こういった6種類のパターンで検査結果を出しています。
リュウタロウ: どれが多いとか少ないとかっていうのはあるんですか? 先週、モザイクは少ないっていう。
トシ: あっ、おっしゃるとおりです。モザイクの判定が出るのが一番少ないです。私たち日本のラボ、東京のラボの方で3年前から検査をしている訳ですが、アジアの検体、マレーシア・タイ・オーストラリア・ニュージーランドの方から検体が日々来て、検査しています。ある先生に言われました。アイジェノミクスさん、モザイク見えるんだよね? なんで出てこないの? って言われたことがあって。
リュウタロウ: あっ、なるほど。出てくるはずなのに、モザイクって診断してくれないじゃないの。
トシ: そうです。で、私たちは答えました。先生から来ている検体の中にモザイクの判定をしたものは今のところありません。判定できるんです。ただ、割合はとても少ないので、たまたま先生が見られてないだけです、と。
リュウタロウ: なるほど。
日本だけでも10社以上の検査会社
トシ: というのが、私たちのこの検査です。
あと話したかったのが、そのPGT-Aの特別臨床研究がどうなっているかということ。その中で私たちのこの検査会社というのは日本に10社ぐらいあるんですね。
で、認定されたクリニックさまがこう契約していく訳なんですけれども、各クリニックさんを見ていくと、私いろんなクリニックさん回って思ったのは、皆さん一つには絞ってらっしゃらないです。複数の選択肢を残して、もし決めた検査会社で何かトラブルがあったとか納期が遅れるとかあったときは違うところへ出そうという考えのもとだと思うんですけれども、複数と契約されています。
リュウタロウ: ノウハウをお持ちのクリニックさんだと、ご自身で検査される?
トシ: そういったケースもあります。
リュウタロウ: 結構いろんなバリエーションが。
トシ: あります、実際には。なので、もし患者さまがアイジェノミクスの検査をちょっと興味があるとかそういった場合は、一度先生等にご確認いただけたらすぐに答えてくれると思います。
私たちアイジェノミクスとして言いたいところは、その精度管理について。
リュウタロウ: 精度管理と聞くと、やっぱりまた難しそうだなっていう印象ですね(笑)
アイジェノミクスの「精度管理」
トシ: そうですよね。これはもう、分かりやすく言うと内部精度管理と外部精度管理というのがあります。
よく皆さん耳にするのはISOですね。これは今、私たちも取ろうとして必死に準備をしているところです。日本支社としてはまだ取れてない訳ですが、取ろうとしている。本社であったりとか他の支社を見ると、アイジェノミクスとしてはたくさん取ってます。ISOやCAPやいろんなところを取っているので、私たちもそういった精度管理を取っていくつもりです。
あと、外部の精度管理としてもう一つ。イギリスのGenQAという会社があって、私たちはそれを毎年受けてます。そういったところで受けて、日本支社のPGT-A検査はある一定以上のクオリティーを持ってます、と認められていますので。そういったところもよく患者さん気になると思います。どこの検査会社に出すんだろう?と。
リュウタロウ: そうですね、そこがしっかりしているというのはね。
トシ: ここはだいぶ違うと思います。これがようやく、少し話を戻して、PGT-Aの特別臨床研究がスタートしましたが、ようやくスタートしだしたところなので、認定施設もどんどん増えてくる。
リュウタロウ: まあ、そうでしょうね。
トシ: 実際、私たちもどこが認定されたのかってのはやっぱり知りたくて。検査会社なのでやっぱり営業をかけなきゃいけない。で、いろいろこう回っていると、認定されました、と。何月に承認が下りる予定ですとか聞いてます。なので、まだ今は少ないですが、これからどんどん増えていくと思いますので、最終的にはどこまでいくかなって思うんですけど、どう思いますか? どこまでいきますかね?
リュウタロウ: そうですねえ。特別臨床研究が進むスピードが私たちも見えないところはあるんですけど、それ次第かな。
トシ: 確かに、これが認定されて臨床研究である一定の効果があると見えたら、これでもう多分開放になるはずなんですよね、そういった流れに行く、と。だから、思ったよりも今はゆっくりな感じでは来てますけども、ある時点でたくさん増えるんじゃないかなあ、と。
リュウタロウ: 期待感は感じて。
トシ: 私やっぱり、この検査をどこの施設でも受けるようになって、レベルも技術も同じレベルなのが良いな、と。そこに持っていけるように、検査会社としてどんどんアプローチしていきましょう。
世界規模の臨床研究でわかった流産率とPGT-Aの関係
リュウタロウ: 後半も引き続きPGT-Aの話なんですけど、アイジェノミクスはグローバル企業だからこそっていうところもあると思うんですが。
トシ: 一番訴えたいのは実績です。おそらく患者さまも、実績があるところに頼んでいるか、そういう検査会社へ回しているか、というところを言われると思うんですね。
私たちの実績の例を言うと、前回のラジオのときに私たち年間15万検体やってますよという話をしました。実は、その前に実績はもっとあります。2017年に報告、なのでこれは実際に実施してたのは2015年、2016年だったんですけれども、RCT、臨床研究ですね。弊社独自に本社の方やっておりました、この臨床研究。
リュウタロウ: これは主にアメリカ・ヨーロッパですかね?
トシ: そうです。ここで臨床研究という形でアイジェノミクスのPGT-A検査というものを実施したんですね。ここで得られたデータとして分かったのは、流産率は大きく下げますよ、と。
リュウタロウ: なるほど。
トシ: これは本当に大きく下げます。PGT-Aをしていないグループはやっぱり数十%の割合で流産があるんだ、と。一方、PGT-Aを行ったグループでは数%、2~3%まで下がりますというのを出しました。これが一番大きなメリットであると言えます。
PGT-A検査の費用対効果
トシ: もう一つは費用対効果です。実際PGT-A検査をするとなると追加費用というのが生まれると思います。でもこの部分、妊活に費やす時間といいますか、それは大きく。
リュウタロウ: PGT-Aをやると胚をいくつ、っていう話になってくるので、瞬間的なインパクトは結構大きいのかな、と思うんですけど。
トシ: そのとおりだと思います。
リュウタロウ: だけど、長い目で見れば、ってことですかね?
トシ: 長い目で見たときに、トータルのコストとしては約1割減らすことができるというような発表があります。なので、妊活時間としても減らすことができて、コストとしても最終的にはやったほうが良かったんじゃないかというふうな結果が出ます。なかなかこれ難しいですよね。
リュウタロウ: そうです、本当に、その人によるんで。極端な話言うとね、本当にPGT-Aとかしなくても妊娠されていらっしゃる方もたくさんいますけど、その一方で何回も、っていうケースも多いと思いますね。
臨床研究からもちゃんと可能性の高い胚が順番で選ばれていると、そういう結果になると妊娠する、流産しない率あるいは費用という面でもメリットが。ということがちゃんと確認されているということですね。
日本での流産検体検査は8~9割が染色体異常という結果に
トシ: ここからは、もし流産したら。ちょっとこの話も入れたいなと思います。
流産検体も私たちは検査をもちろん実施しています。一般的に流産したときの原因は、6割は染色体の数が1本少ないとか多いと言われています。
リュウタロウ: なるほど、染色体の数ですね。染色体というと先週も話しましたけど、なかなかイメージ先行で。ある一部分が変異しているんじゃないかとかと思いがちですけど、数が異常があると6割。
トシ: これが世界的な発表をしているデータです。
あと、もう一つ大事な点として、弊社、日本支社ができて、日本支社で流産検体の検査をして見えてきたのは、染色体の異常である率は8割か9割です。世界平均より明らかに高いんですね。なので、ここもPGT-A検査というものが日本でスタートした意味っていうのは結構インパクトあるんじゃないかな、と私たちは見るべきなんじゃないかなと思っています。
流産をするということの精神的なダメージは計り知れないものがあるんですよ。実際流産をした方は、次の周期はまず移植はできない訳です。そういったものもあるけども、やはり精神的に半年ないし1年間はなかなか次にトライするのは厳しかったりするので。
そのためにも。流産予防のためにも、さっき私たちが話をした本社の方で実績として臨床研究をやって、流産の割合というのは大きく減らせる、というのはここにつながってくるかな、と思います。
リュウタロウ: やっぱり、その原因をしっかり確認しておくということですね。
胚と子宮内膜をシンクロさせることが大事
トシ: ここではPGT-Aの話とPOCの話をしたんですけども、やはり私たちの一番したい検査としてはERA検査、これですよ。
リュウタロウ: そうですね。
トシ: 私たちがすごく大事に言っているのは、大事な卵を準備できました、と。でもそれを戻す時期を誤っては元も子もないですよね。なんとかこのERA検査とPGT-A検査ってものを組み合わせて、より高い妊娠率を達成してほしいと思うんですけれども。
リュウタロウ: そうですね、やっぱり受精から出産までってかなりのロングジャーニーですから、その中でいろんなことが組み合わさって。
トシ: 本当、そうだと思います。原因を一つ一つつぶしていくという意味でも、そこは外したくないというか。
リュウタロウ: 一つでも多く原因をつぶしておきたいところですね。
トシ: 特にPGT-Aをしたのなら、とは思ってしまいます。海外の話をちょっとすると、ERA検査とPGT-A検査はやっぱりセットで販売しているんですよね。
リュウタロウ: なるほど、組み合わせることで確率を高める、と。
トシ: そうです、もうシンクロです。胚の状態と子宮内膜の状態というものをシンクロさせる、これがERA とERA検査とPGT-Aを組み合わせるメリットだと。
リュウタロウ: なので、どっちが、という話では無いということですね。一つ一つ違うハードル、違う原因をつぶしておく。
トシ: これと併せてEMMA・ALICEという子宮内の細菌叢検査ですね。もう今後はエンドメトリオ検査。
リュウタロウ: 胚が子宮に入ってくると最初に出会うのは細菌なので、そこをちゃんと良い環境にしておくというのは大事ですね。
コメント無し
コメント無し
コメントする