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培養室からの情報発信について。AMHや採卵についても

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FM西東京にて毎週あさ10:00~放送中の「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」。毎週さまざまな先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。

番組内容

2021年6月6日放送分

 

西村:先週に引き続きまして、はらメディカルクリニックにお邪魔しております。

今日のゲストは、培養室長の中山順樹先生です。

中山:はい。はらメディカルクリニック培養室室長の中山順樹と申します。

はらメディカルクリニックは、都内で初めて日帰りで採卵が出来る施設として開院しまして、約30年間の歴史がある比較的古い、老舗的なクリニックでございます。

ことにですね、年間約1,400件の採卵を行っておりまして、培養士は9人で回しております。

 

培養室での業務内容について

トシ:中山先生、業務内容を簡単にお聞かせ願えますか?

中山:まず一番、朝はですね、前日に採ってきた卵が受精しているかどうかっていうのを観察しまして、それから同時進行でその日に移植をしていく卵の融解、卵を解かすっていうことを行っています。それが終わりましたら続きまして、卵を採卵をしていって、患者様から卵を採って、それと同時に旦那様から提出頂きました精子を調整していき、採卵用あるいは人工授精用に精子を調整していくという作業を行っています。

それから、一日を通してタイミングのいい時に卵がちゃんと大きく膨らんできた時点で卵を凍結をしていきまして、お昼ぐらいですかね、採ってきた卵の受精操作を行います。それから、移植が午前、午後と3枠ぐらい、大体11時、12時、それから14時前後と3枠散らばってまして、それを時間に合わせて行っていくと。

で、午後はですね、残った卵を凍結していったりですとか、あとはそうですね、午後の方が比較的時間が出来てきますので、データをまとめていったりだとかそういう作業を行います。

トシ:9名でそれをやっていく中で、もちろんお休みも必要かと思うんですけども、普段は何人体制でやってらっしゃるんですか?

中山:今、9人は9人なんですが、産休の者もいたりして、実際は8人で回していますので、大体1日6人体制で回しておりますね。たまに多いと7人とか。やっぱりちょっと土曜日がやっぱり混むので、少し寄せて8人全員出勤するような曜日も作ってたりするんですけども、基本的には6人ぐらいです。

西村:そして中山先生、トシさんとはどこか違うところでお会いになられてたことがある・・・?

中山:そうなんですよね。この間ですね、中山先生といろいろ話していく中で、出身の大学だったりとか、話の中で共通の知り合いもいてですね、すると私達、畜産系のラボの出身なんですけど、そうなるとどうしても同じ学会に出ていたことになるので。

トシ:年齢は私の方が上なんですけども、ただ被っている時はあるので、学会で必ず会ってたんですよね。で、私、中山先生がいた大学の研究医をよく知っていますし、それできっと会ってたんだろうなって(笑)

中山:びっくりです。

 

SNSでの情報発信

西村:さて、はらメディカルクリニックにお邪魔しておりますが、中山先生、このクリニックのSNS、ブログとかツイッターなどについて、是非リスナーの皆さんにご紹介いただけますか?

中山:はい。当院ですね、まずスタッフブログというかたちで培養部だけでなく、看護部や、それから受付と月に2回かな、スタッフのブログの更新をして情報発信をしておりまして。また培養部は培養部でツイッターを使いまして、1日2回ですね、更新をして情報発信を行っております。

トシ:発信頻度がすごく高くてですね、あとすごい可愛いキャラクターを使って。で、この中でERA検査についてのお話しもあったりとか。実は昨日もERA検査について話してもらってまして、いつもありがとうございます。

西村:やはりこういったSNSをご利用されてらっしゃる、見ていらっしゃる、っていう患者様も多いんじゃないでしょうか?

中山:そうですね。やっぱり患者様に「見てます」っていう風に言っていただいて、ああ、見てるんだ、って(笑)

 

AMHと年齢との関係

西村:続きまして採卵のお話を是非、トシさん。

中山先生とご一緒に。

トシ:こうやって培養士の室長と話すってなかなかないので聞きたいところですね。

採卵の話として、まずAMHと年齢の関係についてちょっと教えていただけますか?

中山:はい。AMHの値と年齢との関係ってことなんですが、まずAMH、やっぱり1以上あってくれれば、ある程度の刺激をすれば採卵ができますので、気にするべきは1より少ない、1未満のAMHの方ですね。

実際にAMHが1未満の方のデータをまとめまして、完全自然であるとか低刺激、ここらへんは平均どの年代の方であっても1個しか大体とれてこないと。で、中刺激でしてみると、うちでいう中刺激は大体600単位かあるいは高刺激に近い中刺激でいうと大体1,500単位くらいまでなんですが、そういった時ですと、若い年齢の方、35〜37歳ぐらいであれば中刺激であれば2から4単位ぐらい、ですね。

西村・トシ:はい。

中山:で、やっぱりそれが年齢がどんどん上がってきますと1個であったり、高刺激に近い刺激をしても2ぐらいしかとれてこないと。

ただ、これを高刺激、ある程度の刺激を与えてあげますと、どの年代の方でも大体4以上とれてきているっていうデータになってますので、結構そのAMHが低いと刺激してもしょうがないんじゃないか、っていうところもあるんですが、そんなことはなくて、ある程度高刺激を与えてあげることで、やっぱり1個と4個ではだいぶとれてくる数が違うと思いますので、その後の胚盤胞の出来る確率もだいぶ上がってくると思います。

もちろんその周期によって、刺激っていうのを考えて変えていくべきだとは思うんですが、高刺激っていうのも選択肢にあっていいのかなと思います。

トシ:ありがとうございます。

AMHって、卵巣から卵が採れる数がAMHの数字によって変わってくるって話なんですけども、年齢が高くなればなるほど、AMHの数字もちょっとずつ下がってくるっていうイメージがあるんですが、実は以前ちょっと問い合わせがあってですね、AMHが1.0、もしくは2近いぐらいあると。ただ年齢はややちょっと高くてですね。で、卵がこれでも採れますかね?、っていうのを私達検査会社は答えられなかったんですけども、そのあたり、もし質問されたらどうお答えしますか?

中山:そうですね。1から2未満ですと、当院のデータによりますとですね、中刺激くらいで若年層の方は8個から10個とか、それぐらいの平均になってます。ただやっぱり少し年齢が高くなってきて44歳以上になってくると4個ぐらいなので、そういった時は少し強めの刺激もいいのかなとは思います。

 

はらメディカルクリニックでのタイムラプスの導入について

トシ:次に、タイムラプスのことなんですけども、例えばいつからタイムラプスを入れてらっしゃいますか?

中山:タイムラプスの機械自体は結構昔から置いてあったんですが、オプションというかたちでご希望のある患者様にだけ使っていたんですね。

ただ、それも浸透もしていなくて、あんまり使われてなかったんですが、去年10月ぐらいから、タイムラプスの使い方を変えてみまして、少し安価に提供していくと。

で、一回データをまとめて、タイムラプスを使うことで胚の発生が良くなるってことが分かりましたので、それを全面にお知らせしまして、また、一回の費用も抑えて皆さんにお知らせしたところ今6、7割ぐらいの方はタイムラプスを使われている。

ただ、うち1台しかタイムラプスがないので、ちょっとどうしても満杯になっちゃうとご希望いただいても使えないっていうことがあるんですが、やっぱり少しでもいい環境で培養出来るってことでタイムラプスはすごい有用であるのかなと思ってます。

 

胚盤胞期胚とアシストハッチング

トシ:中山先生、さっきはですね、採卵の話をしたんですけども、次はですね、卵そのもの、胚盤胞期胚についてのお話をお聞かせください。

まずですね、胚盤胞期胚って一言で言ってもですね、胚盤胞になりたての、もしくは後期、胚盤胞から小さな卵、いろいろあると思うんですけど、まず凍結する際はどのステージで凍結されてますか?

中山:当院では、拡張期以降の胚盤胞、数字でいうと4以上になってくる胚盤胞の凍結を行っております。

トシ:それは何か理由があるんですか?4以上という。

中山:そうですね、やはり3までいってその後拡張しないで発生が停止してしまう卵も結構ありますので、やっぱり拡張出来る力のある卵を凍結をしていくっていうのを。

トシ:拡張するっていうことは、見た目ですごく大きくなるのが分かるぐらいなんですか?

中山:そうですね、特にタイムラプスを使っていけばその時点での直径っていうのが分かりますので、また普通の培養であっても、かなり胚盤胞がぐーっと膨らんできますので、それは見分けることが出来ます。

トシ:凍結する際なんですけども、よくアシストハッチングというのがあるかと思うんですけども、アシストハッチングをするタイミングっていうのは凍結する前にされるんですか?それとも?

中山:いえ、アシストハッチングは解かした後に行っていきます。

卵を凍結して解かした後は、卵の中身がぐーんと縮んだ状態になるんですね。そうすると、卵と透明体という膜との間が空いていますので、その時点でレーザーを打っていくと。

トシ:なるほど、そういうことなんですね。

 

ERA検査に出会った時の印象

トシ:卵の話をした後はやっぱり着床の話にいくんですけども、ERA検査ですね、いつもツイッターで書いていただきありがとうございます。

これはまず印象どうでしたか?ERA検査って最初聞いた時。

中山:そうですね。最初聞いた時は本当かなっていう、本当にそんなことがあるのかなっていう風に思ってたんですね。

トシ:そう思われる方も多いと思うんですよね。遺伝子の分野をやってきて、なおさら検査としてみた時に本当かなあって、ちょっと怪しく、疑うことあると思うんですけど、実際導入してみてどうでしたか?

中山:つい最近、またデータをまとめてみたんですけど、それまでは本当かなぁ、ってずっと思ってたんですけど、思ってた予想よりもだいぶいい結果が出て来まして。

大体うちでERA検査された方の27%ぐらいが適期ではない、いわゆる着床の時期がずれている方っていうのが27%ぐらいだったんですけども、そういった患者様の移植の結果をまとめてみたところですね、ERAをする前と後、時期をちゃんと正しくしてみたところですね、ERAをする前の結果っていうのは大体3%、4%ぐらいしか妊娠率がなかったのが、ERAを行った後は40%ぐらいの妊娠率っていうことでかなり劇的に変わりまして、本当だったんだって(笑)

トシ:ありがとうございます。

やはりこのERA検査で分かった時に、ずれてる方ってやっぱり一定数いるってことですね。で、さっき中山先生がおっしゃった27%っていう数値はですね、私達のデータと似ていて、約3割の方が大きくずれてらっしゃるんです。そういったずれてた患者さんに対して、調整してあげると、この数字が出るっていうことなんですね。ありがとうございます。

 

中山先生からリスナーの皆様へメッセージ

西村:中山先生、リスナーの皆様へ是非メッセージをお願いします。

中山:はい。はらメディカルクリニックでは、1か月に1回、患者様向けに体外受精説明会を開いております。

来場しての説明会と、それから同時にZoomで見ることも出来ますので、もしよろしければこちらにご参加いただけたらと思います。よろしくお願い致します。

西村:はい。ご出演いただきましたのは、はらメディカルクリニック培養室長、中山順樹先生でした。中山先生、ありがとうございました。

中山:ありがとうございました。

トシ:ありがとうございました。

西村:さて、お時間となりました。

今日は、はらメディカルクリニック、培養室長、中山順樹先生にお話を伺いました。

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